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第3節 行政分野
ア 国の政策・方針決定過程への女性の参画拡大
(ア)国家公務員に関する取組
国の各府省等は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)に基づき策定した行動計画の仕組みを活用して、取組を積極的に推進している。その際、働き方改革や女性の採用・登用の拡大等について定めた「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(平成26年10月17日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定)に基づき各府省等が策定した取組計画の内容と整合性を図っている。また、各府省等において、数値目標を設定した項目の進捗状況及び取組の実施状況を経年で公表している。各府省等は、令和5(2023)年度から施行された女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく特定事業主行動計画の策定等に係る内閣府令の一部を改正する内閣府令(令和4年内閣府令第66号)及び事業主行動計画策定指針の一部を改正する件(令和4年内閣官房、内閣府、総務省、厚生労働省告示第2号)に基づき、「職員の給与の男女の差異」の情報公表を行った。【内閣官房、内閣府、全省庁】
「第5次男女共同参画基本計画」(令和2年12月25日閣議決定)に基づく中間年フォローアップの結果を踏まえ、各府省における女性職員の採用・登用を推進するため、「第5次男女共同参画基本計画」に定める国家公務員の各役職段階に占める女性の割合に関する成果目標を踏まえ、各府省において、各役職段階に占める女性の割合に関する数値目標を定め、より一層の女性登用に向けた取組を検討・実行するよう各府省に対して要請を行った。【内閣官房、内閣府、こども家庭庁】
各府省等、衆議院事務局、衆議院法制局、参議院事務局、参議院法制局、国立国会図書館、最高裁判所等の取組について、「女性活躍推進法『見える化』サイト」で比較できる形での「見える化」を行っている。また、「職員の男女の給与の差異」の公表内容についても一覧性等を確保したサイトを整備し引き続き「見える化」を行っている。【内閣府】
女性の国家公務員志望者の拡大に資するため、内閣官房内閣人事局においては、各府省等や大学等と連携し、「女子学生霞が関体験プログラム」を1回開催した。このほか、性別に関わりなく技術系を含めた様々な切り口で公務への関心を高めてもらうことを目的として、内閣官房内閣人事局においては「大学ガイダンス」を13回、「少人数座談会」を27回、「国家公務員の出身高等学校への派遣」を11回、人事院では、各府省等と連携し、様々なテーマについて各府省の職員が体験談等を紹介する「WEB国家公務員テーマ別クロストーク」を10回、職場の見学及び当該職場の職員との意見交換を行う「国家公務員OPENゼミ」を3回開催した。また、外部人材の採用・登用に資するため、ホームページによる公募情報の統一的な情報提供、中途採用希望者向けの府省合同説明会の開催、民間主催の転職イベントへの出展を行った。加えて、X、Instagram、YouTube等のSNSやホームページを積極的に活用し、海外経験を含めた多様なキャリアパス、働き方改革の取組やワーク・ライフ・バランスの実践例、職業生活への多様な支援等について具体的で分かりやすい情報発信を行うなど、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動を行っている。【内閣官房、全府省庁、(人事院)2】
女性職員の登用拡大に向けて、職域の固定化を解消するなど積極的な職域の拡大、研修や多様な職務機会の付与による積極的・計画的な育成や相談体制の整備を進めている。また、出産・育児期等の前後又は育児期等で時間制約があるような場合でも、本人の意向を尊重し、働く場所や時間の柔軟化を活用するなどして重要なポストを経験させ、登用につなげるなどの柔軟な人事管理を進めている。
内閣官房内閣人事局及び人事院では、女性職員の主体的・積極的なキャリア形成を支援するための「女性職員のためのキャリア支援研修」や、男女問わず仕事と育児を両立しながらのキャリア構築を支援する「共働き・共育て時代の両立・キャリア支援セミナー」を実施した。【内閣官房、全府省庁、(人事院)】
キャリアパスにおける転勤の必要性について再検討を行い、育児、介護等がキャリアパスの支障にならないよう職員に対する十分な配慮を行うよう取り組んでいる。【内閣官房、全府省庁】
業務効率化・デジタル化、勤務時間管理の徹底、マネジメント改革等の働き方改革を進めている。また、職員の柔軟な働き方がより推進されるよう、内閣官房内閣人事局と人事院が連携して、令和7(2025)年4月に施行された改正後のフレックスタイム制に関し、その運用上のポイントを周知し、各府省等における円滑な活用を支援したほか、テレワークの更なる浸透・定着を進めた。さらに、勤務間のインターバル確保について、令和6(2024)年4月に人事院規則において努力義務が措置されたことも踏まえ、人事院では、実態を把握するため職員アンケート調査等を実施するなど、勤務間のインターバル確保に向けた課題の解消に資する取組を推進している。【内閣官房、全府省庁、(人事院)】
国家公務員(一般職)における男性の育児休業取得率について、「こども未来戦略」(令和5年12月22日閣議決定)において令和7(2025)年に1週間以上の取得率を85%、令和12(2030)年に2週間以上の取得率を85%とするよう目標が引き上げられたことを踏まえ、内閣官房内閣人事局は、目標達成に向けて、関係省庁と連携し、各府省等の取組が更に強化されるよう取り組んでいる。
また、子供が生まれた全ての男性職員が、1か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を取得できることや、「男の産休」(配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇)を合計5日以上取得することを目指し、取組を進めている。【内閣官房、全府省庁】
女性職員の活躍及びワーク・ライフ・バランスに関する管理職の理解促進や率先した行動変容を促すため、管理職向けの研修を実施した。【内閣官房、全府省庁】
女性職員の活躍及び男女のワーク・ライフ・バランスを進め、限られた時間を効率的にいかすことを重視する管理職を人事評価において適切に評価することを徹底するとともに、多面観察、職員のエンゲージメントや職場環境調査等の結果を踏まえた取組等を通じて管理職のマネジメント能力の向上を図っている。【内閣官房、全府省庁、(人事院)】
内閣官房内閣人事局では、「国家公務員健康増進等基本計画」(平成3年3月20日内閣総理大臣決定)において、各府省等におけるハラスメントに関する研修の受講必修化等の研修の強化、職員への啓発の推進やハラスメントに関する相談体制の整備について明記しているほか、各府省等が実施する研修の受講者以外を対象とした、セクシュアルハラスメントに関する内容を含んだハラスメント防止に関するeラーニング講習を、約1万人を対象に実施した。
人事院では、ハラスメントの防止等のための人事院規則等に基づき、各府省においてハラスメント防止対策が円滑かつ効果的に実施されるよう、全職員向けの自習用研修教材の改訂、苦情相談担当者に向けた動画教材の提供、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催を実施した。また、社会全体で、組織外からのハラスメントに関する関心が高まっている状況を踏まえ、幹部・管理職員等を対象とした研修等を通じて、各府省には、カスタマーハラスメントから職員を守る責務があることや過度な要求に対しては毅然とした対応も求められることについて認識を広げていくとともに、これらを周知・啓発するため、カスタマーハラスメントへの対応に特化したポスターを作成・提供した。【内閣官房、全府省庁、(人事院)】
各府省が実施する子宮頸がん検診・乳がん検診について、女性職員が受診しやすい環境整備を行っている。
内閣官房内閣人事局においては、「国家公務員健康週間」(毎年10月1日から同月7日まで)において、婦人科検診の重要性を含めた女性の健康に関する講演会を、約1,100人を対象に開催することにより、国家公務員の意識啓発を図った。また、eラーニングによる女性特有の健康課題と健康管理に関する研修動画を新たに作成し、各府省等の全ての管理監督職の職員を対象に当該動画を視聴させることにより、子宮頸がん検診・乳がん検診の受診を促すことの重要性について啓発した。
人事院においては、同週間において、女性職員に対する意識啓発や受診しやすい環境整備を行うよう各府省へ周知することにより取組を推進している。【内閣官房、全府省庁、(人事院)】
治安、矯正、安全保障等の分野で働く国家公務員の女性の採用、育成及び登用並びに生活環境・両立環境の整備を進めている。【警察庁、法務省、国土交通省、防衛省】
(イ)国の審議会等委員等の女性の参画拡大
「国の審議会等における女性委員の参画状況調べ」を実施し、各審議会等の女性委員の人数・比率について調査・公表するとともに、委員等に占める女性の割合が40%未満の全ての審議会等について、その要因と目標達成に向けた今後の方策について所管府省に回答を求め、その内容を公表している。【内閣府、関係省庁】
審議会等委員の選任に際しては、各府省において、性別のバランスに配慮するとともに、団体推薦による審議会等委員について、各団体等に対して、団体からの委員の推薦に当たって格段の協力を要請している。【関係府省】
(ウ)独立行政法人、特殊法人及び認可法人における女性の参画拡大
「独立行政法人等女性参画状況調査」を実施し、独立行政法人、特殊法人及び認可法人における役員や管理職に占める女性の割合等について調査し、公表している。【内閣府、厚生労働省、関係省庁】
イ 地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画拡大
(ア)地方公務員に関する取組
「第5次男女共同参画基本計画」の中間年フォローアップの結果を踏まえ、地方公共団体における女性職員の採用・登用を推進するため、女性職員の採用・登用拡大に向けた目標やその達成方法について、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号。以下「次世代法」という。)又は女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画等に盛り込むなど、更なる取組の強化を図るよう、地方公共団体に要請した。【内閣府、こども家庭庁、総務省】
女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画や女性の活躍状況に関する情報の公表について、数値目標を設定した項目の進捗状況及び取組の実施状況が経年で公表されることを徹底するとともに、各団体の取組について、「女性活躍推進法『見える化』サイト」で比較できる形での「見える化」を行っている。また、「職員の男女の給与の差異」の適切な公表に向けた公表方法の周知及び各団体における公表内容について一覧性等を確保したサイトを整備し引き続き「見える化」に取り組むとともに、公表内容の把握・分析や差異解消に向けた取組を促進した。【内閣府、総務省】
自治大学校による女性向け幹部登用研修の実施、女性職員の活躍や働き方改革の推進に取り組む地方公共団体の人事担当者等を支援すべく、大学教授等の専門家を地方公共団体に派遣し、専門的な立場から助言・情報提供を行うなど、女性職員の登用拡大に向けた人材育成を促進した。また、都道府県や政令指定都市のヒアリングを通じて、各団体の女性活躍に関する公表内容について一覧性等を確保した「女性活躍推進法『見える化』サイト」を求職者等に周知するよう要請した。【総務省】
フレックスタイム制や早出遅出勤務の導入等を通じた多様で柔軟な働き方を可能とする勤務環境の整備、テレワークの推進等による職場の働き方改革、適切な勤務時間の把握等による時間外勤務の上限規制の実効的な運用、時間外勤務に係る要因の整理、分析及び検証の結果を踏まえた時間外勤務縮減に向けた適切な対策の取組、休暇の取得促進について、各団体に対し必要な助言を行っている。【総務省】
「男性育休は当たり前」になる社会の実現に向けて、男性職員の育児等に係る状況を把握し、育児に伴う休暇・休業等の取得を積極的に呼び掛けるとともに、周囲のサポート体制や代替要員の確保を図り、全ての男性職員が子育て等に参画できる職場環境の整備を促進するため、国家公務員における取組を周知するとともに、男性育休取得率が着実に上昇している団体の取組事例をまとめた事例集を作成し、各団体に助言・情報提供を行っている。【総務省】
各地方公共団体の実情に即した主体的かつ積極的な取組を促進するため、刊行物において、地方公共団体における女性職員の活躍及び働き方改革の先進事例を収集・周知しているほか、男性育休取得率が着実に上昇している団体の取組事例をまとめた事例集を作成し、各団体に情報提供を行っている。事例集の取組事例の一つに、管理職の人事評価項目に育休取得促進に係る取組を取り入れた事例を掲載しており、地方公共団体の取組を促進している。また、より働きやすい職場環境の整備を促進するため、ハラスメント対策として抑止効果が感じられた取組等の収集を行っており、取りまとめの上、必要な助言や情報提供を行っている。【総務省】
「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況」の中で、地方公共団体における職員の通称又は旧姓使用に関する規定等の整備状況を調査し、公表した。また、職員が旧姓を使用しやすい職場環境づくりを促進している。【内閣府、総務省】
地方公共団体が実施する子宮頸がん検診・乳がん検診について、女性職員が受診しやすい環境整備を促進している。【総務省】
人事院が、令和6(2024)年12月に、子の看護休暇の対象となる子の範囲・取得事由の拡大、子の看護休暇等の対象となる非常勤職員の要件の緩和及び私傷病の休暇の有給化等をするための改正人事院規則等を公布・発出(令和7(2025)年4月施行)したことを踏まえ、地方公共団体で働く会計年度任用職員の休暇・休業について、国家公務員と同様の制度整備が行われ、職員への周知及び制度の活用が図られるよう、各地方公共団体の取組を促しており、各団体に対し必要な助言を行っている。
また、ハラスメント防止について、事業主が雇用管理上講ずべき措置の取組状況について調査を実施し、未措置団体には速やかに措置を講じるよう要請した。また、措置を講じている団体においても、体制を整備して終わりではなく、日頃から職員の意識啓発や職場環境に対するチェックを行い、特に未然の防止対策を十分に講ずることが重要である旨の助言を行った。あわせて、ハラスメント実態把握のための職員アンケート調査、ハラスメント対策として抑止効果が感じられた取組等の収集を行っており、取りまとめの上、必要な助言や情報提供を行っている。なお、男性に比べて女性の割合が高い非常勤職員について、令和6(2024)年度にも各地方公共団体における会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査を実施し、その結果を踏まえ、制度の適切な運用について助言を行った。【総務省】
消防庁では、消防吏員の女性比率について、令和8(2026)年度当初までに5%に増加させることを全国の消防本部との共通目標として掲げており、消防本部等に対し数値目標の設定による計画的な増員の確保、女性消防吏員の職域の拡大等、ソフト・ハード両面での環境整備に取り組むよう引き続き要請するとともに、消防署等における職場環境の整備が図られるよう、女性専用施設等(浴室・仮眠室等)の職場環境の整備について支援した。
また、消防吏員を目指す女性の増加を図るため、SNS広告の掲載や採用説明会への参加などのPR広報を実施するとともに、女性消防吏員活躍推進アドバイザーの派遣、女性消防吏員活躍推進支援事業(モデル事業)などの取組を通じた先進的な事例の全国展開に加え、外部講師による管理職員向け研修会を実施するなど、女性消防吏員が0名の消防本部の解消及び数値目標の達成に向け、女性消防吏員の更なる活躍に向けた取組を推進した。
警察では、令和8(2026)年度当初までに地方警察官に占める女性の割合を全国平均で12%程度とすることを目標として、各都道府県警察においてそれぞれが策定している計画等を踏まえて女性警察官の採用の拡大に向けた取組を推進しており、令和6(2024)年4月1日時点で、その割合は11.7%となっている。また、女性警察官の幹部への登用も進んでおり、都道府県警察で採用され警部以上の階級にある女性警察官は、令和6(2024)年4月1日時点で861人に上り、警察署長や警察本部の課長等にも登用されている。そのほか、男女共同参画に関する施策について、都道府県警察の幹部職員への教育を実施するなどの取組を推進した。【警察庁、総務省】
(イ)地方公共団体の審議会等委員への女性の参画拡大
各都道府県・政令指定都市が設定している審議会等委員への女性の参画に関する数値目標及びこれを達成するための様々な取組、女性比率の現状、女性が1人も登用されていない審議会等の状況等を調査し取りまとめて提供し、審議会等委員への女性の参画を促進している。【内閣府、関係省庁】
2 (人事院)とは、人事院に対して検討を要請するものである。以下同じ。