III 男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備

第9分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備

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第1節 男女共同参画の視点に立った各種制度等の見直し

ア 働く意欲を阻害しない制度等の検討

1 働き方の多様化を踏まえつつ、働きたい女性が就業調整を意識しなくて済む仕組み等を構築する観点から、税制6や社会保障制度等について、総合的な取組を進めている。

  • 令和6(2024)年10月に予定されている短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大に向けて、準備・周知・広報を行っている。(再掲)また、いわゆる「年収の壁」については、壁を意識せずに働く時間を延ばすことのできる環境づくりを後押しするため、当面の対応として「年収の壁・支援強化パッケージ」を令和5(2023)年10月から実施している。【厚生労働省】
  • 配偶者の収入要件があるいわゆる配偶者手当については、社会保障制度とともに、就業調整の要因となっているとの指摘があることに鑑み、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう、労使に対しその在り方の検討を促すため、令和5(2023)年10月に見直しの手順をフローチャートで示す等分かりやすい資料を作成・公表するとともに関係団体等を通じて周知を行ったところであり、引き続き環境整備を図っている。【厚生労働省】

イ 家族に関する法制の整備等

1 現在、身分証明書として使われるパスポート、マイナンバーカード、免許証、住民票、印鑑登録証明書なども旧姓併記が認められており、旧姓の通称使用の運用は拡充されつつあるが、国・地方一体となった行政のデジタル化・各府省庁間のシステムの統一的な運用などにより、婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることのないよう、引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知を行った。【関係府省庁】

2 令和6(2024)年4月1日から不動産の所有権の登記名義人の氏名に旧姓の併記が可能になったことについて、ホームページ等において周知した。【法務省】

3 「規制改革実施計画」(令和5年6月16日閣議決定)に基づき、婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることがないよう、各府省庁及び地方公共団体宛てに、マイナンバーカードに旧姓併記できることの周知、旧姓使用者の本人確認に際しての旧姓併記したマイナンバーカードの活用推進及び旧姓併記したマイナンバーカードの署名用電子証明書の旧姓に係る仕様を踏まえたシステム構築への積極的な対応を依頼する通知文を発出するなどの取組を実施した。【内閣府、デジタル庁、総務省】

4 各種国家資格等における旧姓使用の現状等に関する調査を実施し、314の国家資格等(総務省平成23(2011)年「資格制度概況調査結果」に基づき整理)の全て(令和5(2023)年5月31日現在)で旧姓使用ができることをホームページ上に公表した。【内閣府】

5 婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることなどを背景に、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの声など国民の間に様々な意見がある。そのような状況も踏まえた上で、家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進めるものとされており、国民や国会議員による議論が活発にされるよう、法務省ホームページ等において、引き続き、積極的に情報提供を行った。【法務省、関係府省】

6 夫婦の氏に関する理解を深めるため、ホームページにおいて、婚姻した夫婦が選択した姓(夫の姓・妻の姓)の割合、世論調査の結果等の夫婦の氏に関するデータを掲載し、情報提供を行った。【内閣府】

ウ 男女の多様な選択を可能とする育児・介護の支援基盤の整備

1 子ども・子育て支援新制度の実施による幼児期の学校教育、保育、地域の子供・子育て支援の充実、幼児教育・保育の無償化、「新子育て安心プラン」を踏まえた保育の受け皿整備、「新・放課後子ども総合プラン」に基づく放課後児童クラブの受入児童数の拡大などにより、地域のニーズに応じた子育て支援の一層の充実を図っている。【こども家庭庁、文部科学省、厚生労働省】

  • 幼稚園・保育所・認定こども園を通じた共通の給付や小規模保育への給付、地域の事情に応じた認定こども園の普及及び地域子育て支援拠点や放課後児童クラブ等地域のニーズに応じた多様な子育て支援策を着実に実施している。
  • 待機児童の解消に向け、保育所等の整備を推進するとともに、それに伴い必要となる保育人材の確保や子育て支援員の活用等を推進している。
  • 多様な保育ニーズに対応するため、延長保育、休日保育、夜間保育、病児保育や複数企業間での共同設置を含む事業所内保育等の多様な保育を提供している。
  • 就業の有無にかかわらず、一時預かりや幼稚園の預かり保育等により、地域における子育て支援の拠点やネットワークを充実させている。
  • 幼児教育・保育の無償化の着実な実施や保育利用に係る支援等により、保護者の経済的負担の軽減等を図っている。
  • 放課後等デイサービス等の通所支援や保育所等における障害のある子供の受入れを実施するとともに、マザーズハローワーク等を通じ、きめ細かな就職支援等を行うことにより、そうした子供を育てる保護者を社会的に支援している。

2 子供の事故防止に関連する関係府省の連携を図り、保護者や教育・保育施設等の関係者の事故防止の意識を高めるための啓発活動や、安全に配慮された製品の普及等に関する取組を推進している。令和5(2023)年度は、平成29(2017)年度から定めている「こどもの事故防止週間」を7月17日から同月23日までとし、関係府省が連携して集中的な広報活動を行うなどの取組を実施した。【こども家庭庁、関係府省】

3 子供の安全な通行を確保するため、子供が日常的に集団で移動する経路等の交通安全環境の整備や、地域ぐるみで子供を見守るための対策等を推進している。【 警察庁、こども家庭庁、文部科学省、国土交通省】

4 安心して育児・介護ができる環境を確保する観点から、生活サービス機能や居住の誘導によるコンパクトシティの形成や、住宅団地における子育て施設や高齢者・障害者施設の整備、各種施設や公共交通機関等のバリアフリー化、全国の「道の駅」における子育て応援施設の整備等を推進している。【国土交通省】

5 医療・介護保険制度については、多様な人材によるチームケアの実践等による効率化・重点化に取り組みながら質の高いサービスの充実を図っている。その際、医療・介護分野における多様な人材の育成・確保や、雇用管理の改善を図っている。【厚生労働省】

6 医療・介護の連携の推進や、認知症施策の充実等により、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築に向けた取組を着実に進めるとともに、家族の介護負担の軽減を図っている。【厚生労働省】

7 男女ともに子育て・介護をしながら働き続けることができる環境の整備に向けて、育児・介護休業法の履行確保を図っている。

また、次世代法の周知を行うとともに、仕事と子育ての両立を推進する企業を対象とした認定及び特例認定の取得を促進している。【厚生労働省】

6 配偶者の所得の大きさに応じて、控除額を段階的に減少させる配偶者特別控除の導入によって、配偶者の給与収入が103万円を超えても世帯の手取り収入が逆転しない仕組みとなっており、税制上、いわゆる「103万円の壁」は解消している。