男女共同参画白書の刊行に当たって

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内閣府特命担当大臣(男女共同参画)

丸川珠代

平成13年に第1回の男女共同参画会議が開催されてから,既に20年が経過しました。この間,「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」の制定など,男女共同参画には一定の進展が見られていますが,いまだに多くの課題が残されています。

世界経済フォーラムが公表したジェンダー・ギャップ指数における我が国の総合順位は156か国中120位で,G7の中で最下位,G20の中でも下位という大変残念な状況であり,国際社会では当然の規範であるジェンダー平等の理念が必ずしも共有されていません。これらは,グローバル化が進む中,世界的な人材獲得や投資を巡る競争を通じて,日本経済の成長力にも関わる問題です。

加えて,今般の新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)の感染拡大は,女性の生活や雇用に大きな影響を与えており,男女共同参画・ジェンダー平等の遅れが改めて顕在化しました。

このような状況を打破するためには,昨年12月に策定された「第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~」を強力に推進し,具体的な成果に結びつけていく必要があります。

本計画の策定過程においては,これからの社会を生きる若い女性も含め,多くの方々から頂いた御意見を正面から受け止め,可能な限り反映されるように努めたところです。女性が直面する課題を一つ一つ解決していくことは,“すべての女性が輝く令和の社会” のために不可欠であり,スピード感を持って実行したいと考えております。

今回の白書の特集テーマは,「コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題と未来」です。

緊急事態宣言発令等によるステイホーム,テレワーク,学校休校等のため,飲食・宿泊業等のサービス業が大きな影響を被ったことなどから,非正規雇用労働者を中心に女性の雇用情勢が急速に悪化しました。同時にこれまで見過ごされてきたこと,潜在的にあったものの表面化してこなかった諸問題,例えば,経済的・精神的DV(配偶者暴力),ひとり親家庭,女性・女児の窮状,女性の貧困等が私たちの向き合うべき課題として社会に共有されました。

白書においては,女性の就業面と生活面を巡る環境の変化を様々なデータを用いて整理するとともに,新型コロナに対する政府の取組をまとめ,さらに改めて注目されることとなった「新しい暮らし方」「新しい働き方」についてジェンダーの視点から分析を行いました。

新型コロナの感染拡大という未曽有の危機の影響や対応を男女共同参画という観点から概括したこの白書が,国民の皆様に広く参照され,我が国の男女共同参画の取組と理解を着実に進めるための議論を深める材料になることを願っております。

令和3年6月