コラム1 女性の家事等の時間増加は世界共通

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コラム1

女性の家事等の時間増加は世界共通


コロナ下で女性の家事・育児に充てる時間が増えたのは,世界共通にみられる現象である。

UN Women(国連女性機関)が令和2(2020)年11月にまとめたレポート1によると,新型コロナウイルス感染症が拡大する前,世界各国・地域において,女性は男性の約3倍もの時間を家事等に費やしていた。一方,コロナ下では,外出自粛による在宅時間の増加等に伴い,男女ともに家事等の時間が増加した。しかし,男女間の不均衡は改善されず,依然としてその多くを女性が担っている。

同レポートで参照されている38か国2を対象に行われた調査では,家事等に費やす時間が増加したと回答した女性は60%,男性は54%であり,その大変さが増したと回答した女性は28%,男性は16%に上った。特に,女性は,料理・食事の提供,掃除・洗濯等,子供の世話で費やす時間が増えたと回答した割合が高い(図1)。

(図1)コロナ下で家族の世話や家事の時間が増えた人の割合別ウインドウで開きます
(図1)コロナ下で家族の世話や家事の時間が増えた人の割合

(図1)[CSV形式:1KB]CSVファイル

また,同レポートで参照されている16か国を対象に行った別の調査では,コロナ下で男女ともに子供の世話に費やす時間が増加したが,男女間の不均衡は変わらない(図2)。

(図2)子供の世話に費やす全ての時間(週平均)別ウインドウで開きます
(図2)子供の世話に費やす全ての時間(週平均)

(図2)[CSV形式:1KB]CSVファイル

UN Womenは,世界中の多くの女性が,仕事や収入源の維持と,増加する家事等への対応の二重の負担に直面している。各国・地域の政府は具体的な政策措置による支援として,保育環境の整備,柔軟な働き方の推進,学校休校等に伴う雇用面の支援措置,女性に対する経済支援等を実施すべきであるとしている3

1UN Women“Whose time to care? Unpaid care and domestic work during COVID-19”(2020年11月25日)(https://data.unwomen.org/publications/whose-time-care-unpaid-care-and-domestic-work-during-covid-19

2アジア太平洋(サモア,アフガニスタン,パキスタン,タイ,バングラデシュ,モルディブ,カンボジア,ネパール,インドネシア,フィリピン),アラブ諸国(チュニジア,レバノン,ヨルダン,パレスチナ,イラク,リビア,モロッコ,イエメン,エジプト),ヨーロッパ・中央アジア(キルギスタン,トルコ,コソボ,モルドバ,アゼルバイジャン,ベラルーシ,セルビア,アルバニア,ボスニア・ヘルツェゴビナ,グルジア,カザフスタン,北マケドニア),東南部アフリカ(エチオピア,ケニア),ラテンアメリカ(チリ,メキシコ),西中央アフリカ(セネガル,コートジボワール,ギニア)
 ※国名については,レポート掲載のまま引用。

3なお,IMFにおいても,米国及び英国,スペインの調査により,同様の分析結果を得ている(IMF“COVID-19:TheMoms’ Emergency”(2021年4月30日))