第4節 性犯罪への対策の推進

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第4節 性犯罪への対策の推進

警察では,性犯罪捜査員の育成等により捜査体制の充実を図り,被害者が安心して被害を届け出ることができる環境づくり等の性犯罪の潜在化防止に向けた施策を推進する。また,関係機関・団体と連携を図りながら,性犯罪被害者のニーズを十分考慮した支援に取り組む。さらに,警察庁において,地方公共団体等と連携して,地域における関係機関・団体間の連携を促進するなどの取組を行う。

加えて,13歳未満の子供を被害者とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役し出所した者について法務省から情報提供を受け,各都道府県警察において,その所在確認を実施しているほか,必要に応じて当該出所者の同意を得て面談を行うなど,再犯防止に向けた措置を講じる。

内閣府では,地方公共団体の職員や性犯罪被害者等の支援を行う相談員を対象とした研修を引き続き行う。また,性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターについて,センターの運営の安定化及び質の向上が図られるよう,平成29(2017)年度に創設した性犯罪・性暴力被害者支援交付金により各都道府県の実情に応じた取組を支援し,性犯罪・性暴力被害者支援の更なる拡充を図る。加えて,性犯罪・性暴力被害者が相談しやすい相談体制の整備に向け,センターを対象とした調査を通して,相談受付体制等の在り方について検討を行う。

また,若年層の女性に対する性的な暴力である,いわゆるアダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等については,平成29(2017)年5月に策定した「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」に基づき,引き続き,問題の根絶に向けて取組を推進する。

警察では,アダルトビデオのスカウト行為に対する街頭での指導・警告及び悪質な事犯の検挙,いわゆる「JKビジネス」営業が多く見られる大規模繁華街における児童等の一斉補導,高校・大学等における被害防止教育や街頭キャンペーン,警察署,交番等の相談窓口においては24時間相談を受け付けていることを周知する活動等の対策を実施する。

法務省では,平成29(2017)年6月に成立し,同年7月に施行された,強姦罪の構成要件及び法定刑の見直し等並びに強姦罪等の非親告罪化を内容とする刑法の一部を改正する法律(平成29年法律第72号)の趣旨及び内容等を周知するなどして被害者の心情に配慮することを含め,適正な運用がなされるよう努めるとともに,同法附則第9条に基づいて同法の施行後3年を目途として実施する性犯罪に関する総合的な施策検討に資するよう,引き続き,性犯罪の実態把握に努める。

厚生労働省では,医師,保健師,精神保健福祉士等の医療従事者等を対象に,「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」を実施する。

また,都道府県,指定都市の精神保健福祉センターにおいて,性犯罪によってPTSD等の精神的な症状が引き起こされた者に対して,精神保健福祉に関する相談支援等を実施する。

さらに,若年被害女性等に対して,公的機関と民間支援団体が密接に連携し,アウトリーチによる相談支援や居場所の確保等を行うモデル事業を実施する。