第2節 男女共同参画の視点を取り込んだ政策の企画立案及び実施等の推進

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第2節 男女共同参画の視点を取り込んだ政策の企画立案及び実施等の推進

(1) 男女共同参画会議の活動

第54回男女共同参画会議(平成30(2018)年5月23日)では,重点方針専門調査会における計4回の調査検討を踏まえ,次年度予算等に反映することなどにより重点的に取り組むべき事項について,男女共同参画社会基本法第22条第3号に基づく意見として,「男女共同参画・女性活躍の推進に向けた重点取組事項」が決定された。これを受けて,すべての女性が輝く社会づくり本部は, 平成30(2018)年6月に「女性活躍加速のための重点方針2018」(以下「重点方針2018」という。)を決定した。

平成30(2018)年9月及び10月には,重点方針専門調査会を2回,女性に対する暴力に関する専門調査会を1回開催し,「重点方針2018」に盛り込まれた施策の平成31(2019)年度予算概算要求への反映状況及び主要施策の取組状況等について,各府省からのヒアリングも踏まえ調査検討し,第55回男女共同参画会議(平成30(2018)年10月31日)に報告した。同会議では,これら2つの専門調査会の報告を受け,「重点方針2018」に基づく施策の取組状況について審議した。また,第56回男女共同参画会議(平成31(2019)年1月11日)では,女性活躍推進法の施行後3年の見直し等の方向性について審議した。

女性に対する暴力に関する専門調査会では,セクシュアルハラスメントに対する社会的な関心の高まりを受け,セクシュアルハラスメントの国内における取組状況や諸外国における法制度等について,調査検討を行った。

(2) 男女共同参画推進本部及び男女共同参画担当官会議の活動

男女共同参画推進本部は,男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の円滑かつ効果的な推進を図るため,内閣総理大臣を本部長とし,全閣僚を本部員として,閣議決定により内閣に設置されている。同本部には男女共同参画担当官が置かれ,本部員を補佐するとともに,関係行政機関において所要の調整の事務を行っている。また,本部には,関係行政機関相互の機動的な連携を図るために,男女共同参画担当官会議が置かれている。

(3) すべての女性が輝く社会づくり本部の活動

すべての女性が輝く社会づくり本部は,平成26(2014)年10月,様々な状況に置かれた女性が,自らの希望を実現して輝くことにより,日本の最大の潜在力である「女性の力」が十分に発揮され,社会の活性化につながるよう,内閣総理大臣を本部長とし,全閣僚を構成員として,閣議決定により内閣に設置された。平成30(2018)年6月,女性活躍の動きを更に加速するため,今後政府が重点的に取り組むべき事項として「重点方針2018」を決定するとともに,メディアと行政の間で起きたセクシュアルハラスメント事案を踏まえ,「セクシュアル・ハラスメント対策の強化について~メディア・行政間での事案発生を受けての緊急対策~」を決定した。

(4) 男女共同参画推進連携会議を通じた連携強化

内閣府では,各界各層との情報・意見交換やNPO,NGOとの交流による連携を図ることを目的として,男女共同参画推進連携会議を開催している。同会議においては,全体会議のほか,平成29(2017)年10月から,「経済分野における女性の活躍促進」及び「次世代への働きかけ」という2つのチームを組織し,情報・意見交換,普及促進の活動を通じて,取組の裾野の拡大や連携の強化を図った。第37回全体会議(平成30(2018)年10月30日)では,各チームの活動や,国・地方連携会議ネットワークを活用した男女共同参画推進事業についての報告等が行われた。また,同会議の企画委員会主催による情報・意見交換会として,「聞く会」を開催した。

(5) 国際機関・諸外国の国内本部機構との連携・協力の推進

我が国は,男女共同参画社会の形成の促進に関する各種国際会議への出席,相互交流,情報交換等を通じて,国際機関及び諸外国の国内本部機構との連携・協力に努めた(第13章第2節参照)。

(6) 年次報告書及び男女共同参画社会の形成に関する調査研究

内閣府では,男女共同参画社会基本法第12条に基づき,「平成30年版男女共同参画白書」(「平成29年度男女共同参画社会の形成の状況」及び「平成30年度男女共同参画社会の形成の促進施策」)を作成した。これに併せて,第4次基本計画に掲げられた施策の推進に関連した予算額及び決算額を取りまとめ,公表した。

また,「平成30年度 多様な選択を可能にする学びに関する調査」を実施した。

(7) 男女の置かれている状況を客観的に把握するための統計(ジェンダー統計)の充実等

「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成30年3月閣議決定)においては,第4次基本計画等でジェンダー統計の充実の観点から性別データの把握等に努めることが求められていることを踏まえ,可能な限り性別ごとのデータを把握し,年齢別・都道府県別にも把握・分析に資する統計の作成・提供を推進するとされている。

総務省統計研究研修所においては,ジェンダー統計に関する講義を行い,国内外の統計担当者の育成を図った。

厚生労働省では,「働く女性の実情」を取りまとめ,毎年公表するほか,「女性就業支援バックアップナビ」1において,働く女性に関する統計の情報提供を行っている。

内閣府では,「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成30年度)」の中で,地方公共団体で行われている調査や統計における男女別等統計の状況について調査し,公表した。

1「女性就業支援バックアップナビ」 http://joseishugyo.mhlw.go.jp/

(8) 苦情の処理及び人権侵害に対する被害者救済の実

内閣府では,国及び地方公共団体(都道府県及び政令指定都市)における男女共同参画社会の形成に関する苦情処理や人権侵害事案の被害者救済体制,平成29(2017)年度の苦情処理件数等の把握を行い,取りまとめ結果を重点方針専門調査会に報告した。

総務省では,行政相談委員の中から指名した男女共同参画担当委員(平成31(2019)年2月1日現在全国で199人を指名)が,男女共同参画の認識を高めるため,研修会等に参画した。また,男女共同参画センターに開設された行政相談所等において,男女共同参画に関する施策についての苦情等を受け付けている。

法務省では,人権擁護委員に対し,「人権擁護委員男女共同参画問題研修」を実施している。