第2節 仕事と子育て・介護の両立の状況

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第2節 仕事と子育て・介護の両立の状況

(女性の就業継続)

一般労働者の勤続年数の推移を男女別に見ると,10年以上勤続している者の割合は,男性が5割程度で推移しているのに対して,女性は,平成10(1998)年は29.3%であったが,平成30(2018)年は37.7%まで増加している(I-3-7図)。

I-3-7図 勤続年数階級別一般労働者の構成割合の推移(男女別)別ウインドウで開きます
I-3-7図 勤続年数階級別一般労働者の構成割合の推移(男女別)

I-3-7図[CSV形式:1KB]CSVファイル

第1子出産前後に女性が就業を継続する割合も上昇している。これまでは,4割前後で推移してきたが,最新の調査では約5割へと上昇した。特に,育児休業を取得して就業継続した女性の割合は,昭和60(1985)~平成元(1989)年の5.7%(第1子出産前有職者に占める割合は9.2%)から28.3%(同39.2%)へと大きく上昇した(I-3-8図)。

I-3-8図 子供の出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴別ウインドウで開きます
I-3-8図 子供の出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴

I-3-8図[CSV形式:1KB]CSVファイル

「正規の職員」と「パート・派遣」に分けて見ると,平成22(2010)年から平成26(2014)年に第1子を出産後に就業を継続した者の割合は,「正規の職員」では69.1%(うち育児休業制度利用者の割合は59.0%)であるのに対し,「パート・派遣」では25.2%(うち同10. 6%)にとどまっている(I-3-9図)。

I-3-9図 出産前有職者の就業継続率(就業形態別)別ウインドウで開きます
I-3-9図 出産前有職者の就業継続率(就業形態別)

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(男性の家事・育児の実施状況)

我が国では,平成28(2016)年における6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連に費やす時間(1日当たり)は83分である。平成23(2011)年と比べて時間は伸びてきてはいるものの,他の先進国と比較すると低水準にとどまっている。我が国の夫婦合計の家事・育児関連時間は,諸外国と比較して特段長いわけではないが,他方,うち育児の時間を見ると4時間34分となり,他の先進国と比較して際立って長くなっている(I-3-10図)。

I-3-10図 6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(1日当たり,国際比較)別ウインドウで開きます
I-3-10図 6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(1日当たり,国際比較)

I-3-10図[CSV形式:1KB]CSVファイル

1日当たりの行動者率で見ると,「家事」については,妻・夫共に有業(共働き)の世帯で約8割,夫が有業で妻が無業の世帯で約9割の夫が行っておらず,「育児」については,妻の就業状態にかかわらず,約7割の夫が行っていない(I-3-11図)。

I-3-11図 6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連行動者率別ウインドウで開きます
I-3-11図 6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連行動者率

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(男性の育児休業取得率等)

平成29(2017)年度における男性の育児休業取得率は,民間企業が5.14%,国家公務員が10.0%,地方公務員が4.4%で,近年上昇している(I-3-12図)。しかし,いずれも女性(民間企業83.2%,国家公務員100.8%67,地方公務員99.3%)と比較すると,依然として極めて低水準にあり,男女間で大きな差がある。

I-3-12図 男性の育児休業取得率の推移別ウインドウで開きます
I-3-12図 男性の育児休業取得率の推移

I-3-12図[CSV形式:1KB]CSVファイル

育児休業取得者における取得期間別割合を見ると,女性は1年弱以上が大多数であるのに対して,男性で同等の期間を取得する者はまれであり,女性に比して圧倒的に短期間の取得となっている(I-3-13図)。

I-3-13図 育児休業取得期間別割合別ウインドウで開きます
I-3-13図 育児休業取得期間別割合

I-3-13図[CSV形式:1KB]CSVファイル

配偶者出産休暇取得率は,国家公務員が79.6%(平成29(2017)年度,平成28(2016)年度は77.5%),地方公務員が74.0%(平成29(2017)年度,平成28(2016)年度は71.6%)であり,男性の育児参加のための休暇取得率は,国家公務員が63.2%(平成29(2017)年度,平成28(2016)年度は56.9 %), 地方公務員が36.1 %(平成29(2017) 年度, 平成28(2016) 年度は32.9%)である。国家公務員及び地方公務員のいずれも前回調査時点より上昇した。

67新規取得者数には,例えば平成29(2017)年度については,平成26~28(2014~2016)年度に取得可能となった職員が平成29(2017)年度中に新たに育児休業を取得した場合を含むため,取得率が100%を超えることがある。

(待機児童数等の推移)

男女とも仕事と育児を両立でき,多様な選択が可能となるよう,政府は育児の支援基盤の整備を積極的に進めている。厚生労働省によると,平成30(2018)年4月1日現在の保育所等定員(保育所及び幼保連携型認定こども園等の利用定員)は約280万人となった。また,同年5月1日現在の放課後児童クラブの登録児童数は約123万人で,前年比約6万3千人の増加となった。

他方,保育所等や放課後児童クラブの利用を希望するが利用できない児童数の推移を見ると,年により増減はあるが,平成30(2018)年は前年に比べ,保育所等の待機児童数が約6,200人減少し,放課後児童クラブの利用を希望するが利用できない児童数はやや増加した(I-3-14図)。

I-3-14図 保育所等待機児童数と保育所等定員及び放課後児童クラブの利用を希望するが利用できない児童数の推移別ウインドウで開きます
I-3-14図 保育所等待機児童数と保育所等定員及び放課後児童クラブの利用を希望するが利用できない児童数の推移

I-3-14図[CSV形式:1KB]CSVファイル

(介護離職の状況)

介護・看護を理由として過去1年以内に離職した者の状況を,総務省「労働力調査(詳細集計)」により見ると,平成30(2018)年には10万人となっており,その内訳は,女性8万人,男性2万人であり,女性が8割を占める(I-3-15図)。

I-3-15図 介護・看護を理由とした離職者数の推移(男女別)別ウインドウで開きます
I-3-15図 介護・看護を理由とした離職者数の推移(男女別)

I-3-15図[CSV形式:1KB]CSVファイル

また,総務省「就業構造基本調査」(平成29年)によると,平成29(2017)年に就業を希望しているにも関わらず,求職活動をしていない主な理由を「介護・看護のため」とする20~69歳の者は,女性が20万6,700人,男性が5万3,100人となっている。