第3節 ストーカー事案への対策の推進

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第3節 ストーカー事案への対策の推進

警察では,ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。以下「ストーカー規制法」という。)やその他の法令を積極的に適用したストーカー行為者の検挙を行っているほか,同法に基づき,つきまとい等に対する警告,禁止命令等の行政上の措置を適切に講じている。

特に,平成28年12月にストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律(平成28年法律第102号)が成立し,29年6月14日までに,規制対象行為の拡大,禁止命令等の制度の見直し,罰則の見直し,国,地方公共団体等の責務に係る改正規定が施行されたことから,改正後のストーカー規制法の規定を積極的に適用している。

また,ストーカー規制法その他の刑罰法令に抵触しない事案についても,防犯指導,関係機関の教示等や,必要に応じて相手方に対する指導警告を行うなど,被害女性の立場に立った対応に努めている。

さらに,「被害者の意思決定支援手続」の実施等の取組を推進しているほか,ストーカー規制法に基づき,自衛措置の教示等の警察本部長等による援助を被害者からの申出内容に応じて的確に実施している。

加えて,関係機関・団体,関係事業者等との連携を強化するとともに,警察庁ウェブサイト内にポータルサイトを開設するなどの広報啓発活動,ストーカー加害者に対する精神医学的・心理学的アプローチ,ストーカー対策実務担当者の教育等を進めている。

内閣府では,地方公共団体におけるストーカー被害者支援の充実を図るため,ストーカー事案に係る効果的な支援を行うための対応マニュアルを作成し,地方公共団体等へ配布した。

その他,「すべての女性が輝く政策パッケージ」(平成26年10月10日すべての女性が輝く社会づくり本部決定)中で「ストーカー対策の抜本的強化につき総合対策をとりまとめる」とされたことを受け,内閣府と共催している関係省庁会議において「ストーカー総合対策」(平成27年3月20日ストーカー総合対策関係省庁会議)を取りまとめ,平成29年4月に改訂を行い,被害者支援の取組や加害者対策の更なる強化を着実に推進することとした。また,「重点方針2017」においても,同対策等に基づき,引き続き,ストーカー事案への厳正な対処等に取り組むこととされた。

厚生労働省では,「『ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律』(平成28年法律第102号)の施行に対応した婦人保護事業の実施について」(平成28年12月27日雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長通知)を発出し,婦人相談所職員等のストーカー被害者を支援する職務関係者による配慮等を周知し,被害者の安全確保の体制を強化している。

また,「『婦人相談所が行う一時保護の委託について』の一部改正について」(平成28年3月31日雇用均等・児童家庭局長通知)を発出し,平成28年度からストーカー被害の女性についても,より適切な支援が可能な民間シェルター等への一時保護委託を可能とした。