第3節 様々な分野における女性の参画

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第3節 様々な分野における女性の参画

(着実に増加する司法分野における女性の割合)

裁判官,検察官(検事),弁護士に占める女性の割合は,いずれも着実に増加しており,裁判官が20.7%(平成27年12月現在),検察官(検事)が22.9%(28年3月末現在),弁護士が18.3%(同年9月末現在)となっている。なお,27年12月現在,女性3人が最高裁判所の裁判官に任命されている。

司法試験合格者に占める女性の割合は,平成4年以降はおおむね2~3割で推移しており,28年は23.4%と前年より増加した(I-1-10図)。なお,法曹養成に特化した教育を行う専門職大学院である法科大学院では,女子学生が約3割を占めていることから(第5章第1節参照),今後の司法分野での女性の参画拡大が期待される。

I-1-10図 司法分野における女性の割合の推移別ウインドウで開きます
I-1-10図 司法分野における女性の割合の推移

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(医療分野における女性の割合)

医療施設で働いている医師,歯科医師に占める女性の割合は上昇傾向にある。医師のうち女性の割合は昭和51年の9.4%から平成26年の20.4%まで上昇を続けている。薬剤師に占める女性の割合は,14年まで上昇したが,それ以降はほぼ横ばいとなっている(I-1-11図)。

I-1-11図 医療施設従事医師,同歯科医師,薬局・医療施設従事薬剤師に占める女性の割合の推移別ウインドウで開きます
I-1-11図 医療施設従事医師,同歯科医師,薬局・医療施設従事薬剤師に占める女性の割合の推移

I-1-11図[CSV形式:2KB]CSVファイル

医師を取り巻く状況を見ると,慢性的な長時間労働,夜勤や当直等不規則な勤務形態等の指摘があり,女性医師の中には,育児,介護等と仕事との両立が難しい者もいると考えられる。特に,産婦人科医及び小児科医については,新規に医師になる者の多い25~29歳の医師に占める女性の割合がそれぞれ65.7%,43.5%となっているが,年齢が上がるにしたがって低くなる傾向がある(I-1-12図)。

I-1-12図 年齢階級別産婦人科及び小児科の医療施設従事医師数(男女別,平成26年)別ウインドウで開きます
I-1-12図 年齢階級別産婦人科及び小児科の医療施設従事医師数(男女別,平成26年)

I-1-12図[CSV形式:2KB]CSVファイル

(メディアにおける女性の参画)

新聞や放送等のメディア分野における女性の参画は,提供する情報の内容が偏ることの防止や,性・暴力表現に関する有効な対策等,メディアが自主的に女性等の人権に配慮した取組を進めていく上で重要な役割を果たすものと期待されている。

新聞及び放送業界における女性の参画状況について見ると,平成28年における新聞・通信社等の管理職に占める女性の割合は5.6%,新聞・通信社等の記者に占める女性の割合は18.4%,民間放送及び日本放送協会の管理職に占める女性の割合はそれぞれ13.7%,7.0%となっており,おおむね上昇傾向にある(I-1-13図)。

I-1-13図 各種メディアにおける女性の割合の推移別ウインドウで開きます
I-1-13図 各種メディアにおける女性の割合の推移

I-1-13図[CSV形式:2KB]CSVファイル

(国際的に見て低い水準にある我が国の状況)

政策・方針決定過程において「指導的地位28」に占める女性の割合は緩やかに上昇しており,その水準は依然として低いものの,政府が定める「2020年30%の目標」を達成している分野も出てきている(I-1-14図)。

I-1-14図 各分野における主な「指導的地位」に女性が占める割合別ウインドウで開きます
I-1-14図 各分野における主な「指導的地位」に女性が占める割合

I-1-14図[CSV形式:1KB]CSVファイル

28「 指導的地位」の定義:男女共同参画会議決定(平成19年2月14日)において,「(1)議会議員,(2)法人・団体等における課長相当職以上の者,③専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者とするのが適当」とされている。
 なお,当該決定において「指導的地位」の定義に該当する者として掲げられた分野・項目は,代表例・例示という位置づけであって,それに含まれないことをもって指導的地位ではないということを意味するものではないとされている。

国際的には,2017(平成29)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書2016」によると,我が国は,人間開発指数(HDI)が測定可能な188の国と地域中17位,ジェンダー不平等指数(GII)は測定可能な159か国中21位となっている。一方,世界経済フォーラムが2016(平成28)年に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)は,測定可能な144か国中111位となっている。

GGIの順位はHDIやGIIの順位と比べて著しく低くなっており,我が国は,寿命や妊産婦死亡率といった健康分野や教育等,人間開発の達成度では実績を上げているが,政治・経済活動や意思決定に参加する機会においては,諸外国と比べて男女間の格差が大きいと考えられる(I-1-15表)。

I-1-15図 HDI,GII,GGIにおける日本の順位別ウインドウで開きます
I-1-15図 HDI,GII,GGIにおける日本の順位

I-1-15図[CSV形式:4KB]CSVファイル

(注)

HDI 人間開発指数(Human Development Index)

国連開発計画(UNDP)による指数で,「長寿で健康な生活」,「知識」及び「人間らしい生活水準」という人間開発の3つの側面を測定したもの。具体的には,出生時の平均寿命,知識(平均就学年数及び予想就学年数),1人当たり国民総所得(GNI)を用いて算出している。

GII ジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index)

国連開発計画(UNDP)による指数で,国家の人間開発の達成が男女の不平等によってどの程度妨げられているかを明らかにするもの。次の3側面5指標から構成されている。

【保健分野】・妊産婦死亡率 ・15~19歳の女性1,000人当たりの出生数

【エンパワーメント】・国会議員女性割合 ・中等教育以上の教育を受けた人の割合(男女別)

【労働市場】・労働力率(男女別)

GGI ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index)

世界経済フォーラムが,各国内の男女間の格差を数値化しランク付けしたもので,経済分野,教育分野,政治分野及び保健分野のデータから算出され,0が完全不平等,1が完全平等を意味しており,性別による格差を明らかにできる。具体的には,次のデータから算出される。

【経済分野】・労働力率 ・同じ仕事の賃金の同等性 ・所得の推計値 ・管理職に占める比率 ・専門職に占める比率

【教育分野】・識字率 ・初等,中等,高等教育の各在学率

【保健分野】・新生児の男女比率 ・健康寿命

【政治分野】・国会議員に占める比率 ・閣僚の比率 ・最近50年の国家元首の在任年数