男女共同参画白書(概要版) 平成28年版

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第2章 男性中心型労働慣行等の変革と女性の活躍

  • 長時間労働の是正を始めとした「働き方改革」の実現を目的とする実行計画の策定等に係る審議に資するため,内閣総理大臣を議長とする「働き方改革実現会議」が平成28年9月以降開催され,同会議では,29年3月,時間外労働の上限規制の導入について,仕事と子育てや介護を無理なく両立させるためには長時間労働の是正が必要等の基本的考え方を示した上で,連合と経団連による労使合意を踏まえて,法改正の方向性を明記するなどした「働き方改革実行計画」が取りまとめられた。
  • 労使や地方公共団体の代表者,関係閣僚などにより構成される仕事と生活の調和推進官民トップ会議の下に設置された仕事と生活の調和連携推進・評価部会において,平成29年3月に取りまとめられ,公表された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2016」では,労使等の各主体が仕事と生活の調和の実現に向けた取組を加速していくとしている。
  • 女性活躍推進法及び「公共調達・補助金取組指針」に基づき,国の契約のうち,総合評価落札方式等を採る事業において,ワーク・ライフ・バランス等推進企業を加点評価する取組を開始し,国の全機関で平成28年度から取組が開始された。また,独立行政法人等での実施や地方公共団体での国に準じた取組,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会や民間企業等の各種調達でも,国と同様の取組が進むよう働きかけを行った。
  • 厚生労働省では,妊娠,出産,育児休業等に関するハラスメントの防止措置を講じることを事業主に新たに義務付ける改正男女雇用機会均等法及び改正育児・介護休業法の平成29年1月施行に向けて,都道府県労働局において説明会及びハラスメント対応特別相談窓口を開設し,周知を図った。
  • 内閣府では,特に若年夫婦を対象として,夫婦がお互いの考えや気持ちを確認しながら,家事シェアや,近い将来の家族のことを話し合うことを目的としたコミュニケーションツール「夫婦が本音で話せる魔法のシート ○○家作戦会議」を作成・公表するとともに,「○○家作戦会議」を活用したワークショップを開催した。
  • 内閣府では,平成28年9月,女性活躍推進法に基づく国・都道府県・市町村の行動計画や,女性の活躍状況に関する情報公表等を一覧化して掲載した「女性活躍推進法『見える化』サイト」及び上場企業の女性役員登用状況を一元的に集約・発信する「女性役員情報サイト」を開設した。
  • 厚生労働省では,女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業に対して,女性の活躍を推進している企業として「えるぼし」認定を行っており,平成29年3月末現在で291社が認定されている。また,女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・届出等が義務である301人以上の一般事業主(民間企業等)のうち,未届けになっている企業に対して「ローラー大作戦」を実施し,個別に強力に届出等を促している。
  • 厚生労働省では,企業が自社の女性の活躍状況や,仕事と家庭の両立支援に係る情報を掲載できる「女性の活躍・両立支援総合サイト」を整備しており,当該サイトのコンテンツである,企業における女性の活躍状況に関する情報を一元的に集約したサイト「女性の活躍推進企業データベース」を活用した女性の活躍状況の情報開示を働きかけるとともに,「ポジティブ・アクション情報ポータルサイト」によりポジティブ・アクションに関する総合的な情報提供を行っている。
  • 経済産業省では,多様な人材の能力を活用し,経営成果につなげている企業を「新・ダイバーシティ経営企業100選」として表彰しており,平成28年度は,「長時間労働の是正,多様で柔軟な働き方の推進」「経営層への多様な人材の登用」等の重点テーマを設定し,31社を表彰した。また,女性活躍推進に優れた企業を「なでしこ銘柄」として,28年度は,47社を選定した。
  • 税制に関しては,平成29年度税制改正において,女性を含め,働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる仕組みを構築する観点から,配偶者控除等について,配偶者の収入制限を103万円から150万円に引き上げるなどの見直しを行うこととし,29年3月に所得税法等が改正された。
  • 社会保障制度については,平成28年10月から,大企業において,週に20時間以上働く等の一定の要件を満たす短時間労働者を対象に被用者保険の適用拡大が実施され,中小企業等で働く短時間労働者についても,労使合意を前提に企業単位で適用拡大の途を開くこと等を内容とする年金改革法が第192回臨時国会において成立した。
  • 国家公務員の配偶者に係る扶養手当については,平成28年8月の人事院勧告において,29年4月1日から段階的に配偶者に係る手当額を他の扶養親族と同額まで減額するなど,扶養手当の見直しを行う,と勧告されたことを踏まえ,同勧告を実施するための一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律が第192回臨時国会において成立した。
  • 民間企業における配偶者手当については,厚生労働省において,「配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項」について広く周知を図り,労使に対しその在り方の検討を促した。平成29年1月の経済財政諮問会議において,民間企業においても配偶者手当の見直しに前向きに取り組むよう,内閣総理大臣から要請が行われた。