男女共同参画白書(概要版) 平成29年版

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第4章 地域・農山漁村,防災・復興における男女共同参画

第1節 地域・農山漁村における男女共同参画

(地方公共団体における男女共同参画計画の策定状況)

市区町村計の男女共同参画計画策定率は,平成14年以降一貫して上昇しており,28年4月1日現在73.8%(前年比0.5%ポイント増)となっている。しかし,市区の策定率が95.9%である一方,町村の策定率は54.3%にとどまっており,いまだ半数近くが策定していない(I-4-1図)。

I-4-1図 市区町村における男女共同参画計画策定割合の推移

(農山漁村における女性の参画)

農業就業人口は平成28年2月1日現在2で約192万人であり,そのうち女性の割合は46.8%で約半数を占めている。

また,平成28年度における農業委員会に占める女性の割合は8.1%(前年比0.7%ポイント増)であり,改正農業委員会法の施行後新制度に移行した農業委員会に占める女性の割合は11.2%となっている。また,28年度における農業協同組合の役員に占める女性の割合は7.5%(同0.3%ポイント増)となっており,年々上昇している。

2東京電力福島第1原子力発電所の事故による避難指示区域(平成26年4月1日時点の避難指示区域である,福島県楢葉町,富岡町, 大熊町,双葉町,浪江町,葛尾村及び飯舘村の全域並びに南相馬市,川俣町及び川内村の一部地域。)を除く。

第2節 防災・復興における男女共同参画

(防災会議の委員に占める女性の割合)

地方公共団体の防災会議の委員に占める女性の割合は,平成28年4月1日現在,都道府県防災会議が14.0%(前年比0.8%ポイント増),市区町村防災会議が8.0%(同0.3%ポイント増)といずれも上昇傾向にある(I-4-5図)。

市区町村防災会議のうち女性委員のいない会議数は,全体の約3割であり,そのうち町村の防災会議が8割以上を占めている。

I-4-5図 地方防災会議の委員に占める女性の割合の推移

(防災の現場における男女共同参画)

消防吏員に占める女性の割合は,平成28年4月1日現在で2.5%,女性消防吏員のいない消防本部数は,同日現在で264となっている。

消防団員に占める女性の割合は,平成28年4月1日現在で2.8%であり,消防団員総数が減少する中で,女性の割合は一貫して上昇傾向にある。

(復興における男女共同参画)

平成23年に発生した東日本大震災からの復興に向けて,被災地方公共団体は,今後の復興の道筋を示す復興計画を策定している。復興庁において,岩手県,宮城県,福島県及び同3県の全市町村を対象に復興と男女共同参画等に関する調査を実施したところ,27年度における,復興計画の策定や推進のための委員会等の委員に占める女性の割合は,14.4%となっている。なお,設置された83の委員会等のうち,女性委員がいない委員会等は15となっている。

(平成28年熊本地震における男女共同参画)

男女共同参画の視点から,平成28年熊本地震の被災自治体の対応状況について調査を実施した3ところ,取組ごとに自治体の対応に違いはあるものの,男女別トイレや避難所の運営体制への女性の参画は取組が進んでおり,発災後1週間以内に男女別トイレの整備に取り組んだ自治体は約7割,避難所の運営体制への女性の参画に取り組んだ自治体は6割近くに上った。また,間仕切りによるプライバシー確保,女性用更衣室の整備,授乳室の整備なども,5割前後の自治体で,発災後1か月以内に実施された(I-4-10表)。

3アンケート調査において,指定避難所の設置・運営を行ったと回答した熊本県内及び大分県内の34市町村のうち,被害が軽微であったため,避難所の数や運営期間が短く,男女共同参画の視点を反映した取組に対するニーズが少なかったと思われる市町村(自主避難所のみ,家屋被害等が少なく運営期間が短かった避難所のみ等と回答した市町村)を除く24市町村(指定避難所を1箇所以上開設し,中長期的に運営を行った市町村)を対象とした。

I-4-10表 避難所における男女共同参画の視点を反映した取組の実施状況(熊本地震で被災し,1箇所以上の指定避難所を中長期的に運営した24市町村に対する調査結果)