第3節 行政分野における女性の参画の拡大

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第3節 行政分野における女性の参画の拡大

女性国家公務員の採用・登用の拡大については,第3次基本計画における政府全体の目標(平成27年度末までに,国家公務員採用試験からの採用者に占める女性の割合について30%程度,国の地方機関課長・本省課長補佐相当職以上に占める女性の割合について10%程度,国の本省課室長相当職以上に占める女性の割合について5%程度,国の指定職相当に占める女性の割合について3%程度)を掲げているところである。各府省は,「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(平成26年10月17日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定。以下「取組指針」という。)及び各府省等の取組計画に基づき,女性国家公務員の活躍の推進に向けた取組を進める。

女性国家公務員の採用の拡大については,国家公務員採用試験の女性申込者・合格者拡大に向け,多用な媒体を活用した情報発信の強化や,広報資料の充実を図るとともに,積極的かつきめ細やかな広報活動等を実施する。女性国家公務員の登用の拡大については,各府省等の取組計画において設定した平成27年度末までの目標の達成と28年度以降の更なる登用の拡大に向けて,多くの女性職員が活躍することができるよう,女性職員の職域の拡大や研修等を通じたキャリア形成支援と計画的な育成に取り組む。

また,女性職員の活躍を推進するためにも,男女全ての職員の「働き方改革」によるワークライフバランスを実現することが不可欠である。そのため,各府省は,「働き方改革」として,働き方に対する価値観・意識を改革するとともに,職場ごとの改善策の策定等による職場における仕事改革,テレワークや早出遅出勤務の活用等による働く時間と場所の柔軟化を進める。また,「育児・介護等と両立して活躍できるための改革」として,育児休業等の仕事と家庭の両立支援制度を利用しながら活躍できる職場環境の整備に取り組む。その際,両立支援等のための新たな定員措置について,適切に活用を図る。なお,各府省等は,取組計画に基づく取組状況を毎年度1回フォローアップし,女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会に報告することとなっている。

人事院は,各府省と協力して引き続き積極的な人材確保活動を展開する。また,平成26年8月の人事院勧告時の報告において,女性職員の登用に向けた研修の拡充等を図る旨を述べたところであり,引き続き積極的に取り組んでいく。具体的には,女性職員を対象とした研修の実施を通じて,女性職員に対して相互啓発等による業務遂行能力の伸長を図る機会を付与するとともに,マネジメント能力開発や人的ネットワーク形成の機会の付与等を図る。特に,27年度からは,地方機関に勤務する女性職員の能力・意欲の向上の機会がより適切に付与されるよう,それらの女性職員を対象とした研修の拡充を図る。また,「女性職員登用推進セミナー」の実施を通じて,各職場における人事管理・人材育成の責任を有する管理職員の意識啓発を図るとともに,「メンター養成研修」の実施を通じて意欲と能力のある女性職員を支援するなど,女性職員の働きやすい勤務環境の整備に努める。

職業生活と家庭生活の両立支援については,両立支援策について,職員の具体的なニーズ,民間法制や民間企業における措置状況,公務運営への影響等を考慮しながら,引き続き検討を進める。また,「仕事と育児・介護の両立支援に関する連絡協議会」の開催等を通じて,育児休業制度を始めとする両立支援制度の周知や各府省における両立支援の取組の共有を図るなど,引き続き両立支援制度の利用を促進する。

国の審議会等委員への女性の参画の拡大については,第3次基本計画における目標(平成32(2020)年までに,政府全体として,男女のいずれか一方の委員が委員の総数の40%未満とならない状態(女性委員の割合が40%以上60%以下)を目指すなど)の達成に向け,委員の改選時等の機会を捉えて,女性委員の登用を再度徹底するなど,積極的な取組を推進する。

地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大については,第3次基本計画を踏まえた女性職員の採用・登用促進,審議会等委員等への女性の参画の拡大や仕事と生活の調和の推進に向けた取組を更に推進するよう要請を行ったところであり,引き続き取組を推進する。

消防庁では,消防組織における女性消防職員の更なる積極的な採用と職域の拡大等を推進するため,各消防本部に対し,男女の区別ない平等な受験機会の提供,警防業務における職域の拡大,女性職員のための仮眠室やトイレ等の環境整備等に積極的に取り組むよう要請を行う。また,女性消防団員のいない市町村に対して積極的な取組を求めるとともに,様々な媒体を通じて,消防団への参加を呼びかける広報を行う。さらに,意見交換会や交流を通じて女性消防団員相互の連携を深めるため,全国女性消防団員活性化大会を開催するとともに,女性団員等の消防技術向上と士気の高揚を図るため,地域における消防活動の充実に寄与することを目的として全国女性消防操法大会を開催する。

警察では,平成23年12月までに,各都道府県警察において,定員に占める女性警察官の割合を35年4月時点で約10%(全国平均)とすることなどを盛り込んだ計画が策定されており,25年5月に有識者による検討会が取りまとめた「警察における女性の視点を一層反映した対策の推進に関する報告書」等を踏まえ,今後,更に前倒して目標数値を達成できるよう,女性警察官の採用・登用の拡大を図っていく。