我が国では近年，「すべての女性が輝く社会」の実現を成長戦略の中核に据えて集中的に施策を講じてきている。こうした中，女性が置かれている状況や女性の活躍に関する意識は地域により一様ではないことから，国に限らず，地方や企業等においても，それぞれの立場で主体的に取組を進めるとともに，相互に連携することが重要である。

そこで，本特集では，政府が近年進めてきた取組を概観するとともに，女性の活躍の現状や男女の仕事と暮らしについて，都道府県別の状況を明らかにしながら，各地域が女性の活躍を通じて活力を高めていくための課題等を整理する¹。

特集のポイント

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第１節　すべての女性が輝く社会づくりに向けた政府の動き

• 成長戦略等に基づき，政府は「すべての女性が輝く社会」の実現に向けた様々な取組を実施。
• 平成24年から26年にかけて，女性の就業者数及び就業率は大幅に増加。

第２節　地方の政治・行政・経済分野における女性の活躍

（政治分野）

• 女性議員割合が高い地方議会は，東京圏や近畿地方で多い傾向。
• 平成23年統一地方選挙では，女性の立候補者割合が高い都道府県で，女性の当選人割合が高い傾向が見られた。

（行政分野）

• 都道府県や市区町村の管理職に占める女性の割合は，地方公共団体による差が大きい。
• 管理職に占める女性の割合が少ない都道府県でも，近年の女性の採用割合が多いところもあり，将来の伸びが期待される。

（経済分野）

• 管理的職業従事者に占める女性の割合が高い都道府県は，近畿地方以西に多い傾向。
• 女性の昇進意欲は，昇進制度や昇進の条件により高まる可能性がある。
• 女性の有業者に占める起業者割合が高い都道府県は，中国・四国・九州地方に多い。
• 女性の起業者は，前職が非正規雇用の者や主婦も多く，起業は自己実現の場としても重要。

第３節　地域における男女の仕事と暮らし

（就業・労働時間）

• 女性の有業率は地域差が大きいが，就業意欲は実際の有業率よりも差が少ない。
  また，女性の有業率が高い地域では正規雇用も多い傾向。
• 東京圏，大阪圏等では，男性の長時間労働者の割合が高く，かつ女性の有業率が低い傾向。男性の長時間労働者の割合が少ない島根県，秋田県，鳥取県，岩手県，北陸地方，東海地方等では，女性の有業率が高い。
• 性別役割分担意識の強い都道府県で，男性の長時間労働者の割合が高く，かつ女性の有業率が低くなる傾向。

（子育て・地域活動）

• 合計特殊出生率は，東京圏，大阪圏等で低い。
• 理想の子供数を実現するために必要なこととして，経済的な負担の問題のほか，女性は周囲からのサポートを男性よりも重視する傾向。
• ボランティア活動の行動者数は女性の方が多い。
  男性は，長時間労働者の割合が少ない地域でボランティア行動者率が高い傾向。

（人口移動）

• 東京圏への転入超過数は，近年，女性が男性を上回る傾向。また，男女とも若年層が中心。
• 生産年齢人口（15～64歳人口）の女性の就業の場の拡大は，東京圏に集中。
• 都市部か地方かにかかわらず，地域とのつながりが女性の居住意向に影響している可能性。

第４節　まとめと今後の展望

• 政治分野では，地方政治そのものを活性化させていく過程で，女性の立候補者を増やしていくことが期待される。
• 行政・経済分野では，女性の採用・登用等に関する総合的な取組を計画的に進めていくことが重要。
• 女性がその希望に応じた就業を実現できるよう，男性の家事や育児への参画意識を高め，男性の長時間労働の是正を図ることが重要。
• 子育てを女性だけの負担にせず，家庭や職場，社会が支えることで，理想の子供数の実現につなげていくことが重要。
• 地域のつながりを生かしつつ，地方で女性の就業の場の拡大が進めば，地方は女性にとってより魅力のある場所になると考えられる。

¹本特集では，国内の地方及び圏域について，以下の区分により記述している。
　東北地方：青森県，岩手県，宮城県，秋田県，山形県，福島県
　関東地方：茨城県，栃木県，群馬県，埼玉県，千葉県，東京都，神奈川県，山梨県，長野県
　北陸地方：新潟県，富山県，石川県，福井県
　東海地方：岐阜県，静岡県，愛知県，三重県
　近畿地方：滋賀県，京都府，大阪府，兵庫県，奈良県，和歌山県
　中国地方：鳥取県，島根県，岡山県，広島県，山口県
　四国地方：徳島県，香川県，愛媛県，高知県
　九州地方：福岡県，佐賀県，長崎県，熊本県，大分県，宮崎県，鹿児島県
　東京圏：埼玉県，千葉県，東京都，神奈川県
　大阪圏：京都府，大阪府，兵庫県，奈良県