第2節 男女共同参画の視点に立った国際貢献

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第2節 男女共同参画の視点に立った国際貢献

開発援助の実施に当たっては,2015(平成27)年を期限とするミレニアム開発目標の達成及び北京行動綱領の実現に向けて,「政府開発援助(ODA)大綱」や「政府開発援助(ODA)に関する中期政策」の下,「ジェンダーと開発(GAD:Gender andDevelopment)イニシアティブ」に基づき,ODAの計画立案から実施,評価に至るプロセスにおいて,人間の安全保障及び男女共同参画の視点に立ってODAプログラム・プロジェクトを効果的に実施し,開発途上国におけるジェンダー主流化の促進を通じて,男女共同参画の推進並びに女性のエンパワーメントの達成及び地位向上に積極的に寄与する。

具体的には,男女共同参画の推進及び女性のエンパワーメントに取り組む行政機関の能力強化を引き続き支援する。また,ジェンダー主流化の観点から,あらゆる分野や課題の支援に当たって,社会における男女双方の多様な役割や責任の違いを把握し,男女で異なる課題・ニーズを把握して取り組むなど,ジェンダーの視点に立った事業実施を推進する。また,ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(以下「UN Women」という。)を始め,国連を中心として展開する世界の女性のエンパワーメントのための諸活動に対する積極的な協力に努める。さらに,平和構築の観点から,女性を被害者の側面で捉えるだけでなく,紛争の予防・管理・解決を含む政策・方針決定過程への女性の積極的な参画を促進する。

保健分野においては,「国際保健政策2011─2015」の下で引き続き人間の安全保障の実現へ向けた取組を行う。特に2015(平成27)年に達成期限を迎えるミレニアム開発目標(MDGs)では,目標4(乳幼児死亡率削減)及び目標5(妊産婦の健康改善)について進捗の遅れが指摘されていることから,産前から産後まで切れ目ない手当を確保することを目指す母子保健支援策を通じて,他の開発パートナーとともに,母子の命や三大感染症10によって失われる命を救うことに積極的に貢献していく。また,国際保健外交戦略を展開し,女性の医療アクセス改善を含む,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を推進していく。

10エイズ,結核,マラリアを指す。これらの感染症は,その伝播性や対策に要する経費負担の大きさから,一国のみで解決できる問題ではなく,世界各国が協力して対策を進めなければならない地球規模の問題である。特に開発途上国にとっては,住民一人一人の健康への驚異であるだけでなく,社会・経済開発への重大な阻害要因となっている。 

教育分野では,「教育協力政策2011─2015」の下,万人のための教育(EFA)及びMDGs達成のために,女子を含む全ての人に質の高い教育環境を提供できるよう,他の開発パートナーと協力しつつ,包括的な学習環境の改善を推進する「スクール・フォー・オール(School for All)」モデルを通じての支援を継続する。

法務省では,国連と共同で運営する国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)において,途上国の刑事司法実務家を対象として,女性犯罪者を含む特別な配慮を有する犯罪者への処遇を主要課題とする国際研修を実施するとともに,2015(平成27)年に予定されている第13回犯罪防止刑事司法コングレスにおける女性犯罪者の社会的統合と処遇についてのワークショップの準備会合を開催する。