第2節 多様なライフスタイルに対応した子育てや介護の支援

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第2節 多様なライフスタイルに対応した子育てや介護の支援

(全ての子育て家庭に向けた子育て支援策の充実)

男女ともに,仕事と子育てを容易に両立できる社会の実現に向け,平成25年4月,内閣総理大臣から経済界に対して,子どもが3歳になるまでは,希望する場合には,男女とも育児休業や短時間勤務を取得できるよう要請を行っており,企業の取組を後押しするため,育児休業中・復職後の能力アップに取り組む企業への助成制度を始めとした女性の活躍促進等に取り組む企業へのインセンティブの付与,子育て等のため仕事のブランクが生じた者へのスキルアップ支援等を推進する。

子どもと子育てを応援する社会の実現に向けて,平成22年度から26年度までの5年間で目指すべき施策内容と数値目標を盛り込んだ,「少子化社会対策大綱」に基づき,総合的な子育て支援を推進していく。

厚生労働省では,「少子化社会対策大綱」で盛り込まれた平成22年度から26年度までの5年間で目指すべき施策内容と数値目標に基づき,保育の充実やワーク・ライフ・バランスの推進等を進めている。

「少子化危機突破のための緊急対策」(平成25年6月少子化社会対策会議決定)に基づき,「子育て支援」の強化,「働き方改革」の強化に「結婚・妊娠・出産支援」を加えた3本の矢で,結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」に取り組むこととしている。

子ども・子育て関連3法(子ども・子育て支援法,就学前の子どもに関する教育,保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第66号),子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育,保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成24年法律第67号))に基づく子ども・子育て支援新制度は,平成27年に予定されている消費税率10%への引上げの時期を踏まえ,早ければ同年4月に本格施行となる予定である。

このため,平成26年度には施行に向けた準備を進めるとともに,新制度への円滑な移行を図るため,待機児童が多い市町村等において「保育緊急確保事業」を実施する。

厚生労働省では,喫緊の課題である待機児童の解消に向け,子ども・子育て支援新制度の施行を待たずに,平成25年4月に策定した「待機児童解消加速化プラン」により,待機児童解消に意欲的に取り組む地方自治体に対しては,その取組を全面的に支援することとしている。

「待機児童解消加速化プラン」の取組を強力に進めるため,保育所等の受入れ児童数の拡大を図るとともに,小規模保育,幼稚園における長時間預かり保育等新制度の先取り,認可を目指す認可外保育施設への支援を実施するための経費を,平成25年度補正予算及び26年度当初予算で一体的に措置し,また,保護者の働き方や地域の実情に応じた多様な保育を提供するため,延長保育,休日・夜間保育,病児・病後児保育等の充実を図る。

さらに,「待機児童解消加速化プラン」を推進するためには,保育を支える保育士の確保が重要であり,平成26年度においても,安心子ども基金等を活用し,自治体における保育士確保の取組を支援するほか,厚生労働省としてもハローワークにおける保育士確保の取組等を実施していく。

文部科学省と厚生労働省は連携して,放課後における子どもの安全で健やかな居場所づくりを地域社会の中で推進するための総合的な対策として「放課後子どもプラン」の着実な推進を図る。また,小学校の余裕教室などを活用して,地域の多様な方々の参画を得て,学習やスポーツ・文化活動の取組を行う「放課後子供教室」や共働き家庭など保護者が仕事などで昼間家庭にいない子どもに,授業の終了後などにおいて,児童館や学校の余裕教室等を利用して遊びや生活の場を提供する「放課後児童クラブ」の推進を進める。

厚生労働省では,保育の利用者が就学後に引き続き放課後児童クラブが利用できるよう,平成26年度末までに受入児童数を111万人とすることを目指し,箇所数の増(2万7,029か所→2万7,750か所)を図る。

文部科学省では,平成26年度より全ての子どもたちの土曜日の教育活動の充実のため,地域の多様な経験や技能を持つ人材・企業等の協力により,土曜日に体系的・継続的な教育プログラムを企画・実施する取組を支援し,教育支援体制等の構築を図る。

また,「家庭教育支援の推進に関する検討委員会報告書」や,平成25年度に取りまとめた「家庭教育支援チームの在り方に関する検討委員会」審議の整理の提言を踏まえ,全ての親が家庭教育に関する学習や相談が出来る体制が整うよう,家庭教育支援チームの組織化等による相談対応,保護者への学習機会や親子参加行事の企画・提供等の家庭教育を支援する活動の推進を図る。

また,子どもの発達段階に応じた学習プログラムの開発・普及促進,父親やシニア世代などの多様な主体の参画を促進する研究協議の開催のほか,家庭への訪問型支援として,学校等関係機関との連携強化を図った取組を委託事業として実施することとしている。さらに,家庭教育の基盤となる,食事や睡眠等を始めとする子どもの基本的な生活習慣の定着を図るため,「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進するとともに,平成25年度に取りまとめた「中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会」審議の整理の提言を踏まえた普及啓発や,関係府省や企業との連携協力を図るなど,子どもの生活習慣づくりを推進する。

加えて,児童虐待の防止のため,これまで発出した通知に基づき,学校等から児童相談所等への定期的な情報提供や児童虐待の早期発見・早期対応,通告後の関係機関との連携等を一層促進する。

警察では,子ども連れでも安心して歩くことができるよう,生活道路等において,最高速度30キロメートル毎時の交通規制の実施や,信号機等の交通安全施設等の整備を行い,通過交通の進入抑制や速度抑制,外周となっている幹線道路における交通流円滑化等の道路交通環境の整備に努める。また,衝撃実験映像等を活用したチャイルドシートの正しい使用方法に関する講習会や幼児二人同乗用自転車の安全利用に関する自転車教室等の開催,子育て支援の効果をも有する交通安全対策を幼稚園・保育所等と連携して推進するとともに,地方公共団体等に対して各種支援制度の充実を働きかけることにより,チャイルドシートや幼児二人同乗用自転車の普及を促進する。

国土交通省では,引き続き良質なファミリー向け賃貸住宅の供給を促進するとともに,持家の取得の支援を行う。また,公的賃貸住宅等における保育所等の子育て支援施設の一体的整備や,子育て世帯の居住の安定確保を図る民間事業者等による先導的な取組を支援するほか,地方公共団体においても,地域の実情を踏まえ,子育て世帯に対し当選倍率を優遇するなどの対応を行う。さらに,職住近接で子育てしやすい都心居住,街なか居住を実現するため,住宅の供給や良好な住宅市街地等の環境整備を行う。加えて,安全で安心な道路交通環境の整備として,歩道,自転車道等の設置,歩行者等を優先する道路構造の整備,無電柱化,交通安全施設等の整備を推進するほか,公共交通機関,公共施設等におけるバリアフリー化を踏まえ,ベビーカーの利用等,子育てしやすい環境づくりに向けた取組を行う。

このほか,文部科学省,国土交通省,警察庁では,学校,教育委員会,道路管理者,警察などの関係機関が連携して実施する通学路の交通安全対策や地域における定期的な合同点検などの継続的な取組を支援するなど,通学路の交通安全の確保に向けた取組を推進する。

独立行政法人国民生活センターでは,消費生活や消費者問題に関する専門性を有した講師を,子育て中の保護者等の要望に応じた場所に派遣し,消費生活や消費者問題に関する情報提供や相談機関の周知を行う。

(多様なライフスタイルに対応した介護支援策の充実)

厚生労働省では,介護支援策の充実を図るため,介護予防対策の推進や介護・福祉サービスの基盤整備,介護サービスの質の確保を図るとともに,介護従事者の処遇改善や人材の養成・確保対策を推進する(第9章第1節参照)。