第4節 防災における男女共同参画の推進

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第4節 防災(復興)における男女共同参画の推進

1 防災(復興)分野における女性の参画の拡大

平成24年6月の災害対策基本法の改正では,地域防災計画の策定等に当たり,多様な主体の意見を反映できるよう,地方防災会議の委員として,充て職となっている防災機関の職員のほか,自主防災組織を構成する者又は学識経験のある者を追加することとされた。内閣府では,地方防災会議における女性委員の割合を高めるために工夫している地方公共団体の事例を紹介するなどして,地方公共団体に対し,地方防災会議への女性の参画拡大や地域防災計画等への男女共同参画の視点の反映を働きかけている。

また,全国の市区町村を対象に,市町村防災会議の委員に占める女性割合や地域防災計画における男女共同参画関連の記載の状況等を調査し,平成26年2月に公表した。

なお,男女共同参画会議監視専門調査会では,防災・復興における男女共同参画の推進に関する政府の施策の取組状況についてのフォローアップを行い,平成26年2月に意見を取りまとめた(第1章第2節1参照)。

2 防災(復興)現場における男女共同参画

内閣府では,東日本大震災を含め,過去の災害対応における経験を基に,男女共同参画の視点から必要な対策・対応について,予防,応急,復旧・復興等の各段階において地方公共団体が取り組む際の指針となる基本的事項を示した「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」(以下「取組指針」という。)を平成25年5月に公表した。取組指針の内容については,関係府省の協力を得て,地方公共団体の防災・復興担当部局に通知したほか,同年10月から11月にかけて内閣府及び消防庁が全国9か所で開催したブロック会議において説明を行った。26年2月には,取組指針の内容を分かりやすく紹介する英文パンフレットを作成・公表した。

また,平成24年度に引き続き,岩手県,宮城県及び福島県において,地方公共団体,警察及びNPO等との協力の下,震災に関連する女性の悩み全般や,女性に対する暴力に関する相談窓口を設け,電話や面接により相談を受け付けるとともに,仮設住宅等を訪問するなどして直接相談を受け付けている。

復興庁では,被災自治体や復興に向けて各地で活躍する方々の参考となるよう,東日本大震災からの復興にあたり,女性が活躍している事例や被災地の女性を支援している事例等を収集し,「男女共同参画の視点からの復興~参考事例集~」を公表している。この中では,「まちづくり」「仕事づくり」「健康づくり」「居場所づくり」「人材育成」「情報発信」のそれぞれの分野について,取組の背景や概要のほか,工夫した点,特色,取組の効果などを取りまとめている。平成26年2月に作成した第5版では,48事例を公表した。

また,被災地において,女性が中心となって起業し,女性に就業の場を提供している4つのプロジェクトの過程について,ケーススタディとして立ち上がりから起動に乗るまでの経緯や工夫等について取りまとめ,公表した。

これらの事例集等も活用しながら,被災地において,男女共同参画の視点に立った具体的な取組を働きかけている。

厚生労働省では,被災労働者等に係る産前産後休業や育児休業等を理由とする解雇や性別を理由とする解雇等の相談があった場合には,被災地域等の都道府県労働局雇用均等室においてきめ細かく対応するとともに,トラブルの未然防止に向けた指導を実施することとしている。また,被災し,避難している妊産婦等について,優先的に住まいの確保に努めることを地方公共団体に依頼した。さらに,被災地における女性関連施設等による女性就業支援を促進するため,相談対応及び講師派遣等支援施策を行った。

3 国際的な防災協力における男女共同参画等

我が国は,安倍総理が平成25年9月の国連総会で言及したように,第58回国連婦人の地位委員会において「自然災害とジェンダー」決議案を提出し,79か国の共同提案国を得てコンセンサスで採択された。

この決議は,2年前の第56回国連婦人の地位委員会に提出した決議をフォローアップするための決議であり,自然災害と女性に関する様々な課題について,我が国の自然災害の経験や教訓を各国と共有し,国際社会の理解を深めることを目指して提出したもの。

前回決議案では,防災,災害対応,復旧・復興の各段階での女性への配慮を強調していたが,今回はそれに加え,災害に強い社会づくりと,それに向けた平時からの女性の参画の重要性,第3回国連防災世界会議(仙台),世界人道サミットを含む平成27年以降の各種プロセスに繋げていく点を強調している。