第3節 子どもの健やかな成長と安全で安心な社会の実現

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第3節 子どもの健やかな成長と安全で安心な社会の実現

(子どもに対する暴力・虐待への総合的な対策)

警察では,子どもに対する犯罪被害を防止するため,関係機関・団体,地域住民等との連携による予防対策や子どもに対する犯罪被害防止教育を推進するとともに,性犯罪等の前兆とみられる声掛け,つきまとい等の段階で行為者を特定し,検挙・警告等の措置を講じる活動(先制・予防的活動)を積極的に推進する。また,各種活動を通じて児童虐待の早期把握に努め,児童の生命・身体を保護するための措置を積極的に講じる。

文部科学省では,犯罪の被害者を含めて児童生徒等の相談等に適切に対応できるよう,スクールカウンセラー等の配置を推進するなど,学校における教育相談体制の充実を支援する。また,児童虐待の防止のため,学校・教育委員会において,これまで発出した通知に基づき,学校等から児童相談所等への定期的な情報提供や児童虐待の早期発見・早期対応,通告後の関係機関との連携等を一層促進する。

また,地域ぐるみで学校内外における子どもの安全を見守る体制を整備するため,各地域における子どもの見守り活動に対する支援等を行う。

厚生労働省では,市町村における児童虐待防止対策の推進を図るため,「乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)」等を引き続き推進するとともに,相談対応職員の専門性の向上等を図る。併せて,児童相談所の専門性を高めるため,弁護士,警察官OB等の雇上げや家族再統合のための支援等を促進する。

また,子どもや保護者への相談・支援体制を強化するため,児童家庭支援センターの設置推進を図るとともに,当該センターにおける心理療法担当職員による支援体制の強化を図る。

さらに,虐待を受けた児童等要保護児童等が入所する児童養護施設等や里親における受け入れ児童数の拡大を図るとともに,施設におけるケア単位の小規模化等を推進する。

(メディア・リテラシーの向上)

内閣府では,青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成20年法律第79号)及び「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第2次)」(平成24年7月子ども・若者育成支援推進本部決定)に基づき,関係省庁や民間団体等と連携して,青少年及び保護者等に対する広報啓発活動や国内外の調査等の施策を実施する。

総務省では,子どもの健全な育成とメディアの健全な利用の促進に必要となるメディア・リテラシー(メディアからの情報を主体的に読み解き,自ら発信する能力)向上の育成を図るため,放送,インターネット,携帯電話等のメディアの特性に応じたメディア・リテラシーに関する教材等の普及を図る。さらに,子どもを取り巻くインターネットのトラブルについて,保護者・教職員が知っておくべき事項等をまとめた「インターネットトラブル事例集」6をウェブ上に公開し,普及を図るとともに,地域における啓発講座等において活用する。また,青少年のインターネット・リテラシーを可視化する取組を行い,リテラシー向上施策の推進に努める。

6総務省インターネット利用におけるトラブル事例等に関する調査研究 インターネットトラブル事例集 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jireishu.html

経済産業省では,今後も引き続き関係者と連携して,ゲーム機等の新たなインターネット接続機器の利用状況を踏まえたフィルタリング等に関する情報提供・普及啓発活動を通じて,保護者や青少年のインターネットを適切に活用する能力の向上及びフィルタリングの普及を行う。

(児童ポルノ対策の推進)

「児童ポルノ排除総合対策」(平成22年7月犯罪対策閣僚会議決定)に基づき,関係省庁が連携して,児童ポルノの排除に向けた国民運動の推進,インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進等に引き続き取り組む(第10章第4節参照)。

(児童買春対策の推進)

児童買春の被害者となった児童に対し,相談,一時保護,児童養護施設等への入所等を行い,場合により心理的治療を行うなどその心身の状況に応じた適切な処遇を行う。

警察では,引き続き,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号。以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)等に基づく取締りを強化するとともに,被害児童に対する保護及び支援等を推進する。さらに,悪質性の高い福祉犯に対する積極的な取締り等に努める。

学校教育の場においても,児童買春等により心身に被害を受けた児童生徒を発見した場合には,プライバシーに十分配慮した上で,学級担任や養護教諭,スクールカウンセラー等の学校の職員等が一体となって相談に乗ったり,関係機関と連携をとるなど,より適切な措置を講じる(第10章第4節参照)。

(「人身取引対策行動計画2009」の積極的な推進)

人身取引対策に関する関係省庁では,「人身取引対策行動計画2009」に基づき,子どもが被害者となる人身取引対策の取組を進める。

(安心して親子が生活できる環境づくり)

文部科学省では,生活上の困難の次世代への連鎖を断ち切るための取組として,初等中等教育段階, 高等教育段階それぞれにおいて教育費の負担を軽減するための取組を行う(第8章第3節参照)。

また,障害のある子どもへの対策の充実については,障害のある子どもの自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,障害の状態等に応じ,特別支援学校や特別支援学級,通級による指導において,特別の教育課程や少人数学級編制の下,特別な配慮をもって作成された教科書,専門的な知識経験のある教職員,障害に配慮した施設・設備等を活用して適切な指導及び支援を行う特別支援教育を推進する。

さらに,いじめや不登校,児童虐待等,課題を抱え孤立しがちな家庭への地域人材によるサポート体制の構築のため,国と地方公共団体等が共同して実証的研究を実施する。

子どもが地域において,いつでも安心して医療サービスを受けられるよう,小児初期救急センターや小児救急医療拠点病院,小児救命救急センター等の整備を支援することなどにより,小児救急医療を含め,小児医療の充実を図る。

(社会全体で子どもを支える取組)

男女とも子どもに関われるような仕事と生活の調和の実現に向け,国民運動を通じた気運の醸成,制度的枠組みの構築や環境整備等の促進・支援策に積極的に取り組む。