第1節 女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等

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第1節 女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等

1 メディアにおける男女共同参画の推進,人権尊重のための取組等

(1) メディアにおける女性の人権の尊重のための取組の支援

内閣府では,「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(以下「女子差別撤廃条約」という。)を紹介するために作成したDVDの内容を内閣府のホームページにおいて動画公開することなどにより,女子差別撤廃条約等の国際規範や女子差別撤廃委員会が勧告している固定的性別役割分担意識に基づく男女像に関する表現の是正等,我が国のメディアの課題について,その内容をメディア及び国民各層に周知した。また,男女共同参画週間等において,男女共同参画についての正しい理解を促進するため,メディアを通じた広報・啓発等を行った。


(2) 性・暴力表現を扱ったメディアの,青少年やこれに接することを望まない者からの隔離

内閣府では,「子ども・若者ビジョン」(平成22年7月子ども・若者育成支援推進本部決定)等に基づき,青少年を取り巻く有害環境への対応を図っている。青少年の保護育成に関する都道府県条例の最近の内容を紹介することにより地域における有害環境の浄化活動に関する取組を推進しているほか,青少年育成条例における有害図書類の指定制度の効果的な運用を図るため,都道府県との連携を密にしつつ,有害図書類等の指定状況等について情報提供している。

警察では,青少年保護育成条例により青少年への販売等が規制されている有害図書類について,関係機関・団体,地域住民等と協力して関係業界に対して自主的措置を講ずるよう働きかけるとともに,個別の業者に対する指導の徹底や悪質な業者に対する取締りの強化を図っている。

また,インターネット上の過激な暴力シーンや性的な描写を含むサイト等の少年に有害なコンテンツに少年が接することを防ぐため,スマートフォンを含めた携帯電話等インターネット接続機器へのフィルタリングの普及促進に努めており,特に,平成22年11月以降,関係府省等と連携し,児童が使用する携帯電話に係るフィルタリングの100%普及を目指して,関係事業者に対する要請活動,保護者に対する啓発活動等を強力に推進している。


(3) 児童を対象とする性・暴力表現の根絶

警察では,平成20年6月に規制の強化等の改正がなされた,出会い系サイト規制法を効果的に運用し,出会い系サイトの利用に起因する児童買春その他の犯罪からの児童の保護を図っている。また,「コミュニティサイトの利用に起因する犯罪から子どもを守るための緊急対策」(平成23年2月犯罪から子供を守るための対策に関する関係省庁連絡会議申合せ)に基づき,民間事業者による実効性のあるゾーニングの自主的導入の支援及び民間事業者による自主的なミニメールの内容確認の支援に係る取組を推進している。

さらに,児童ポルノは児童の性的搾取・性的虐待の記録であり,児童の人権を著しく侵害するものであることから,「児童ポルノ排除総合対策」等に基づき,警察庁において,ファイル共有ソフト利用事犯等の一斉取締りの調整や捜査員の技術向上を図るための研修の実施,外国捜査機関等との情報交換・連携の強化等により,児童ポルノ事犯の取締りの徹底を図るとともに,心身に有害な影響を受けた児童の保護等に努めている。内閣官房,内閣府,警察庁,総務省,経済産業省においては,インターネット・サービス・プロバイダ等の関連事業者による実効性のあるブロッキングの自主的導入に向けた環境整備に努め,平成23年4月から,インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の一環として,インターネット・サービス・プロバイダ等による自主的なブロッキングが開始されている。

警察では,サイト管理者等に対する児童ポルノ画像等の削除要請を行うほか,警察庁では,安心ネットづくり促進協議会や児童ポルノ流通防止対策専門委員会等に参加し,必要な情報提供や助言等を行うとともに,児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体に対して児童ポルノ情報を提供するなどし,民間の自主的な取組を支援している。


(4) 地域の環境浄化のための啓発活動の推進

文部科学省では,携帯電話やスマートフォン等を利用する際のインターネット上のマナーや家庭でのルール作りの重要性を保護者等に対して周知するため,ケータイモラルキャラバン隊を結成し,全国6か所で学習・参加型のシンポジウムを開催した。

また,青少年を取り巻くインターネット上の有害情報をめぐる深刻な問題に対応するため,メディア・リテラシー指導員の養成やフィルタリングの普及啓発,ネットパトロールの実施等,地域における有害情報対策の推進を総合的に支援するなど,学校・家庭・地域社会が連携した有害情報対策を推進している。

2 インターネット等新たなメディアにおけるルールの確立に向けた検討

(1) 現行法令による取締りの強化

警察では,インターネット上に流通する児童ポルノやわいせつ図画等の違法情報・有害情報を,サイバーパトロール等を通じて早期に把握し,検挙等の措置を講じている。

また,情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年法律第74号)により,刑法におけるわいせつ物頒布等の罪が改正され,わいせつな画像データ等の電磁的記録を不特定又は多数の者に電子メールで送信して頒布するなどの行為が処罰対象に含まれることが明確になったことから,捜査機関においては,これらの行為に対して改正法を厳正に適用し,適切な科刑の実現に努めている。

内閣府では,青少年インターネット環境整備法及び「青少年インターネット環境整備基本計画(第2次)」に基づき,関係省庁,団体等と連携し,青少年のインターネット利用環境実態調査や諸外国における青少年のインターネット環境整備状況等調査等の施策を総合的かつ効果的に実施するとともに,有識者による青少年インターネット環境整備法の施行状況等の検討を推進している。


(2) インターネット等新たなメディアにおける情報の規制等及び利用環境整備の在り方等に関する検討

内閣官房では,IT安心会議(インターネット上における違法・有害情報等に関する関係省庁連絡会議)の決定等に基づき,関係省庁における違法・有害情報対策に係る取組を督励している。

また,インターネット上の違法・有害情報に起因する問題に対し,官民横断的な実務家間での迅速かつ正確な情報共有を実現することにより,各業界における自主的な取組を推進するため,政府,事業者,関係団体等,関係セクターを横断したワンストップのスキームとして,「違法・有害情報対策官民実務家ラウンドテーブル」の枠組みを活用し,関係省庁,関係団体間の情報共有を図るとともに,関係団体における取組についての国民への情報提供を推進している。

さらに,「インターネット上の違法・有害情報対策ポータルサイト」19により,違法・有害情報への具体的対策や関係省庁及び関係団体の取組等について,分かりやすく利便性の高い情報提供を行っている。

19内閣官房 インターネット上の違法・有害情報対策ポータルサイト http://www.it-anshin.go.jp/index.html


総務省では,性や暴力に関するインターネット上の有害な情報から青少年を保護するための有効な手段の一つであるフィルタリングに関し,その導入促進及びサービスの多様化に向けた民間の取組を積極的に支援している。さらに,平成21年1月に策定された,インターネット上の違法・有害情報対策の総合的な政策パッケージである「安心ネットづくり」促進プログラムに基づき,同年に設立された「安心ネットづくり促進協議会」を中心とする民間団体等の自主的取組を支援している。また同年より,違法・有害情報相談センターを設置し,関係事業者等によるわいせつ情報等の違法・有害情報への対応を促進している。

また,スマートフォンが急速に普及する中,利用者に必要な情報を提供し,プライバシーや情報セキュリティ面での課題に関係者が適切に対応し,利用者が安心・安全にスマートフォンを利用できる環境を整備するため,総務省として取り組む事項を取りまとめた「スマートフォン安心・安全利用促進プログラム」を平成24年9月に公表した。

経済産業省では,セミナーの開催等を通じ,青少年のインターネット利用にかかるリスクとその対策を説明することで,関係者全体のインターネットリテラシーの向上と保護者等による実効的な自主的対策を促進し,インターネットの利用環境整備を実施している。

警察では,都道府県単位でのプロバイダ連絡協議会等の設置を推進し,有識者,関係機関・団体,産業界等を通じ,官民が一体となって児童ポルノやわいせつ図画等の違法情報・有害情報の排除を図っている。

3 メディア・リテラシーの向上

(1) メディア・リテラシー向上のための広報・啓発

総務省では,メディアの健全な利用の促進に必要となるメディア・リテラシーの向上を図るため,放送,インターネット,携帯電話等のメディアの特性に応じたメディア・リテラシーに関する教材等の普及を図っている。平成23年9月からは,青少年のインターネット・リテラシー指標に関する有識者検討会を開催し,青少年のインターネット・リテラシーを計測するテストの開発・実施に取り組むことにより,青少年のリテラシーの可視化を図っている。

内閣府では,メディア・リテラシーをテーマとした一般向けシンポジウムを開催するなど,男女共同参画に関する正しい理解の促進に努めている。


(2)情報教育の推進

文部科学省では,子どもたちが,情報を主体的に収集・判断し,インターネットを始めとする様々なメディアが社会や生活に及ぼす影響を理解することで情報化の進展に主体的に対応できる能力の育成を図っている。