平成23年版男女共同参画白書

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第3節 子どもの健やかな成長と安全で安心な社会の実現

(子どもに対する暴力・虐待への総合的な対策)

警察では,従来の検挙活動や防犯活動に加え,全国の警察本部に設置した「子ども女性安全対策班」による先制・予防的活動の積極的な推進により,子どもや女性を被害者とする性犯罪等の未然防止に努める。

文部科学省では,犯罪の被害者となった児童生徒及びその保護者の相談等に対し,スクールカウンセラーの配置を推進するなど,適切な対応ができるよう学校内の教育相談体制の充実を支援する。また,児童虐待の防止のため,学校・教育委員会において,平成22年3月の通知に基づき,学校等から児童相談所等への定期的な情報提供や児童虐待の早期発見・早期対応,通告後の関係機関との連携等を一層促進する。

また,地域ぐるみで学校内外における子どもの安全を見守る体制を整備するため,各地域における子どもの見守り活動に対する支援などを行う。

厚生労働省では,市町村における児童虐待防止対策の推進を図るため,乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)等について引き続き支援を行うとともに,相談対応職員の専門性の向上等を図る。併せて,児童相談所の専門性を高めるため,弁護士,警察官OBなどの雇上げや家族再統合のための支援など促進する。

また,子どもや保護者への相談・支援体制を強化するため,児童家庭支援センターの箇所数を増加させる(104か所→108か所)とともに,当該センターにおける心理療法担当職員による支援体制の強化を図る。

さらに,虐待を受けた児童など要保護児童等が入所する児童養護施設等や里親について受け入れ,児童数の拡大を図るとともに,施設におけるケア単位の小規模化等を推進する。

(メディア・リテラシーの向上)

内閣府では,青少年インターネット環境整備法及び青少年インターネット環境整備基本計画に基づき,関係省庁や民間団体等と連携して,青少年及び保護者等に対する広報啓発活動や国内外の調査等の施策を実施するとともに,同基本計画のフォローアップを行い,同法及び同基本計画の見直しに向けた検討を推進する。

総務省では,子どもの健全な育成とメディアの健全な利用の促進に必要となるメディア・リテラシー向上の育成を図るため,放送,インターネット,携帯電話等のメディアの特性に応じたメディア・リテラシーに関する教材等を開発し,普及を図る。さらに,子どもを取り巻くインターネットのトラブルについて,保護者・教職員が知っておくべき事項等をまとめた「インターネットトラブル事例集」を地域における啓発講座等において活用する。

経済産業省では,今後も引き続き関係者と連携して,フィルタリング等に関する情報提供・普及啓発活動を通じて,保護者や青少年のインターネットを適切に活用する能力の向上及びフィルタリングの普及を行う。

(児童ポルノ対策の推進)

「児童ポルノ排除総合対策」(平成22年7月27日犯罪対策閣僚会議決定)に基づき,関係省庁が連携して,児童ポルノの排除に向けた国民運動の推進,インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進などに取り組む。

警察では,事業者によるブロッキングの自主的実施がより実効性のあるものとなるように,関連する情報を提供する。

総務省では,児童ポルノサイトのブロッキングに関する実証実験を行う等,インターネット利用者の通信の秘密や表現の自由に不当な影響を及ぼさない運用に配慮しつつ,関連事業者がブロッキングを自主的に実施することが可能となるよう環境整備に努める。

経済産業省では,関係省庁と連携の下,青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため,フィルタリングの普及促進やインターネットの適切な利用等に関する啓発活動,民間事業者の自主的な取組としてのインターネット上の児童ポルノの流通 ・閲覧防止措置の導入の推進等を行う。 。

(児童買春対策の推進)

児童買春の被害者となった児童に対し,相談,一時保護,児童養護施設等への入所などを行い,場合により心理的治療を行うなどその心身の状況に応じた適切な処遇を行う。

学校教育の場においても,児童買春等により心身に被害を受けた児童生徒を発見した場合には,プライバシーに十分配慮した上で,学級担任や養護教諭,スクールカウンセラーなどの学校の職員等が一体となって相談に乗ったり,関係機関と連携をとるなど,より適切な措置を講じる(第10章第4節(児童買春対策の推進)参照)。

(「人身取引対策行動計画2009」の積極的な推進)

「人身取引対策行動計画2009」(平成21年12月犯罪対策閣僚会議決定)に基づき,子どもが被害者となる人身取引対策の取組を進める。

(安心して親子が生活できる環境づくり)

文部科学省では,生活上の困難の次世代への連鎖を断ち切るための取組として,初等中等教育段階,高等教育段階それぞれにおいて教育費の負担を軽減するための取組を行う(第8章第3節参照)。

また,障害のある子どもへの対策の充実については,障害のある子どもの自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,障害の状態などに応じ,特別支援学校や特別支援学級,通級による指導において,特別の教育課程や少人数学級編成の下,特別な配慮をもって作成された教科書,専門的な知識経験のある教職員,障害に配慮した施設・設備などを活用して適切な指導及び支援を行う特別支援教育を推進する。

子どもが地域において,いつでも安心して医療サービスを受けられるよう,小児初期救急センターや小児救急医療拠点病院,小児救命救急センター等の整備を支援する等により,小児救急医療を含め,小児医療の充実を図る。

(社会全体で子どもを支える取組)

男女とも子どもに関われるような仕事と生活の調和の実現に向け,国民運動を通じた気運の醸成,制度的枠組みの構築や環境整備などの促進・支援策に積極的に取り組む。