平成23年版男女共同参画白書

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第1章 男女共同参画社会に向けた施策の総合的な推進

第1節 国内本部機構の組織・機能等の拡充強化

1 男女共同参画会議の機能発揮

(1) 男女共同参画会議の活動

平成22年は男女共同参画基本計画の改定の年に当たり,内閣府に設置された重要政策に関する会議の一つである男女共同参画会議は,内閣総理大臣,議長である内閣官房長官及び男女共同参画担当大臣のリーダーシップの下,第3次男女共同参画基本計画の策定に向けて精力的に調査審議等を行った。

平成22年4月15日に開催した第34回男女共同参画会議では,新たな男女共同参画基本計画の策定に向け,基本問題・計画専門調査会がまとめた「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」についての報告及び議論を行った上で,国民からの意見募集や全国各地での公聴会を行い,答申の取りまとめに向けて更に検討を進めていくこととなった。

平成22年7月23日に開催した第35回男女共同参画会議では,「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方について」の報告及び意見交換を行った。その後,内閣総理大臣に対して答申を行い,男女共同参画会議や基本問題・計画専門調査会において数値目標や基本計画案について議論するとともに,引き続き計画の策定に向け検討を進めていくこととなった。

平成22年11月22日に開催した第36回男女共同参画会議では,前会議での答申を踏まえて作成した第3次男女共同参画基本計画(案)について有識者議員を中心に活発な議論を行い,よりよい基本計画の策定に向けて,引き続き検討・調整を進めていくこととなった。

平成22年12月17日に開催した第37回男女共同参画会議では,内閣総理大臣からの諮問を踏まえ,第3次男女共同参画基本計画(案)について議論を行った。同計画(案)は,同年7月に答申した「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」を踏まえたものとなっており妥当である旨決定し,内閣総理大臣に対して答申を手交した。なお,第3次男女共同参画基本計画は,同日閣議決定された。

平成23年2月15日に開催した第38回男女共同参画会議では,22年12月に閣議決定された第3次男女共同参画基本計画を実効性をもって推進していくため,「今後重点的に取り組むべき課題」について精力的な議論を行った。この議論を受け,「基本問題・影響調査専門調査会」,「女性に対する暴力に関する専門調査会」及び「監視専門調査会」の3つの専門調査会の設置を決定した。


(2) 男女共同参画社会の形成に関する調査研究

内閣府では,平成22年8月に「男女共同参画センターの現状に関する調査」及び「地域における相談ニーズに関する調査」を公表した。


(3) 情報の提供,広報・啓発活動

ア 国際社会及び諸外国における取組の動向に関する情報の提供

内閣府では,ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women),国連婦人の地位委員会(CSW),女子差別撤廃委員会(CEDAW),アジア太平洋経済協力(APEC)関係会合,東アジア男女共同参画担当大臣会合,各種地域機関等,諸外国における先進的な取組の動向について情報を収集・整備し,男女共同参画推進連携会議企画委員会主催の情報・意見交換会,政府の広報誌,インターネット等を通じて,情報を提供している。

イ ホームページによる情報の提供

内閣府では,ホームページを通じて,国内外の男女共同参画社会の実現に向けた取組に関する情報を提供しているほか,本ホームページを男女共同参画に関する総合的な情報交流の拠点とするべく,一層の充実を図っている。

ウ 広報・啓発活動

内閣府では,男女共同参画に関する総合情報誌「共同参画」を定期的に発行し,内閣府や関係省庁,地方公共団体,女性団体等の活動状況等に関する情報を広く提供した。また,海外に我が国の男女共同参画の現状を紹介するため,英文パンフレット「Women and Men in Japan」を発行し,各国政府や国際機関等に配布している。

2 総合的な推進体制の整備・強化等

(1) 男女共同参画基本計画(第2次)に基づく施策の推進

平成17年12月27日に閣議決定された「男女共同参画基本計画(第2次)」は,12の重点分野を掲げ,それぞれについて,32年までを見通した施策の基本的方向と22年度末までに実施する具体的施策の内容を示したものとなっている。

内閣府では,地方公共団体に対し,男女共同参画社会基本法に基づく都道府県及び市町村男女共同参画計画の策定に当たって,情報提供を行っている。


(2) 第3次男女共同参画基本計画の策定

「男女共同参画基本計画(第2次)」では,平成22年度には計画全体の見直しを行うこととされており,22年7月に男女共同参画会議において取りまとめられた「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)」を踏まえ,22年12月17日に「第3次男女共同参画基本計画」を閣議決定した。

「第3次男女共同参画基本計画」では,15の重点分野を設け,平成32年までを見通した長期的な政策の方向性と,27年度末までに実施する具体的施策を示している(第2-1-1表)。

第2-1-1表 第3次男女共同参画基本計画の構成

第2-1-1表 第3次男女共同参画基本計画の構成


(3) 年次報告等の作成

男女共同参画社会基本法第12条に基づき,「平成22年版男女共同参画白書」(「平成21年度男女共同参画社会の形成の状況」及び「平成22年度男女共同参画社会の形成の促進施策」)を作成した。


(4) 国際機関・諸外国の国内本部機構との連携・協力の推進

平成22年9月の第15回APEC女性リーダーズネットワーク(WLN)会合及び10月の女性起業家サミット(WES)の開催や,国連において23年2月から3月に開催された第55回国連婦人の地位委員会(CSW)など男女共同参画社会の形成の促進に関する各種国際会議への出席,相互交流,インターネット等を活用した情報交換を通じて,国際機関,諸外国の国内本部機構との連携・協力に努めた。


(5) 男女共同参画担当大臣

平成4年,女性問題を総合的に推進するために行政各部が所管する事務の調整を行う婦人問題担当大臣が置かれ,内閣官房長官に兼務発令された。その後名称は「女性問題担当」,「男女共同参画担当」と変わるが,以後歴代内閣において男女共同参画を担当する大臣が置かれている。13年1月以降は,内閣府設置法(平成11年法律第89号)に基づき内閣府特命担当大臣が置かれ,男女共同参画社会の形成の促進に関する事項の企画立案及び総合調整を行っている。


(6) 男女共同参画推進本部及び男女共同参画担当官会議の開催

男女共同参画推進本部は,男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の円滑かつ効果的な推進を図るため,閣議決定により,内閣総理大臣を本部長,内閣官房長官及び男女共同参画担当大臣を副本部長,他の全ての閣僚を本部員として,内閣に設置されている。本部には,男女共同参画担当官が置かれ,本部員を補佐するとともに,関係行政機関において所要の調整の事務を行っており,また,関係行政機関相互の機動的な連携を図るために,男女共同参画担当官会議が置かれている。


(7) 男女共同参画に関する施策についての苦情の処理等に関する取組の推進

男女共同参画に関する施策についての苦情の処理や人権が侵害された場合における被害者の救済に関する取組を推進するため,関係機関の連携強化,従事者の知識・技能の向上及び活動の活性化等を図っている。

内閣府では,国及び地方公共団体に寄せられた男女共同参画に関する施策についての苦情内容及び男女共同参画に関する人権侵害事案の処理状況等について取りまとめ,監視・影響調査専門調査会に報告した。また,苦情解決に当たっての視点・方法論,苦情事例等を紹介する「苦情処理ガイドブック」を改定し,関係機関等に配布するほか,地方公共団体における苦情処理事務担当者,行政相談委員及び人権擁護委員を対象とする苦情処理研修を実施した。さらに,都道府県・政令指定都市が設置する男女共同参画センター等の管理者等との男女共同参画に関する施策についての情報交換会を開催した。

総務省では,行政相談委員の中から指名した男女共同参画担当委員(平成15年9月に全国で123名を指名。23年1月現在は191名)が,男女共同参画の認識を高めるための研修会等への参加や男女共同参画に係る自主研修会の企画に参画したほか,総合的な施設において行政相談所を開設し,男女共同参画社会に関する施策についての苦情等を受け付けている。

法務省では,人権擁護委員に対し,男女共同参画社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害された被害者の相談などに適切に対処するために必要な知識の習得を目的とする「人権擁護委員男女共同参画問題研修」を実施した。