本編 > コラム1 ポジティブ・アクションとダイバーシティ
コラム1
ポジティブ・アクションとダイバーシティ
第3次基本計画では,誰もがその能力を十分に発揮することができる社会づくりは,ダイバーシティ(多様性)の推進につながり,経済社会の活力の源という点からも重要な意義を持つとしている。
この点,米国では,人種的少数派を優遇する入試制度が逆差別にあたり違憲か否かが争われた訴訟(ミシガン州立大学訴訟)において,学生集団のダイバーシティ(多様性)は極めて強い公の利益であり,人種を入学者選考における一つの要素として考慮することは正当であるとの判断が連邦最高裁判所によってなされた。
これは,教育現場におけるポジティブ・アクションの目的として多様性の確保という観点があることを認めたものである。
もっとも,ミシガン州立大学訴訟では,入試制度においては人種と並んで学生集団の多様性に資するあらゆる要素が考慮されなければならず,人種的少数派の志願者に自動的に20点を付与するといった措置は人種が合否に当たって決定的な要素となるものであるから違憲と判断されており,人種という要素の取扱いについては厳格にとらえている。