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第2節 就労の場における女性
（有配偶者で低い女性の労働力率）
女性の年齢階級別労働力率を未婚者，有配偶者別にみると，20歳代から40歳代にかけて有配偶者の労働力率は未婚者の労働力率よりかなり低くなっている。未婚者は20歳代後半をピークに年齢とともに徐々に下降するのに対し，有配偶者では40歳代後半がピークとなっており，この傾向は昭和50年，平成2年，21年とも変わらない。
有配偶女性について，年齢階級別に年を追ってみると，20歳代後半の労働力率は過去に比べ大きく上昇しているが，30歳代前半の変化はそれほど大きくなく，平成21年の30歳代後半の労働力率は，むしろ2年よりも低くなり，昭和50年の水準に近づきつつある。これは，子育ての時期が遅くなったことにより，労働市場から離れる時期が高い年齢層に移行したことも影響していると考えられる（第1－2－9図）。
（女性の勤続年数は長期化傾向）
女性雇用者の勤続年数には長期化傾向がみられる。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」（平成21年）によると，平成21年の雇用者のうち女性の平均年齢は39.4歳，平均勤続年数は8.6年であった。男性は平均年齢42.0歳，平均勤続年数12.8年となっている。女性の雇用者構成を勤続年数階級別にみると，10年以上の勤続者割合も上昇傾向にある（第1－2－10図）。
第1－2－10図 勤続年数階級別雇用者構成割合の推移（性別） 
（管理職に占める女性割合の推移）
女性の勤続年数は徐々に長期化傾向にあるが，管理職に占める女性割合は依然として少ない。 総務省「労働力調査」（平成21年）によると，管理的職業従事者（公務及び学校教育を除く）に占める女性の割合は，平成21年は10.5％で，依然として低い水準にある。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」（平成21年）で女性管理職を役職別にみると，係長相当職の割合が最も高く，平成21年は13.8％となっている。また，上位の役職では女性の割合が低く，課長相当職は7.2％，部長相当職では4.9％と上昇傾向にはあるものの極めて低くなっている（第1－2－11図）。
（就業形態や役職，勤続年数の違いを背景とした男女の給与所得格差，女性の6割以上が300万円以下の所得者）
男女の給与所得には大きな差がある。
国税庁「民間給与実態統計調査」（平成20年度）により1年間を通じて勤務した給与所得者について男女別に給与水準をみると，300万円以下の所得者の割合が男性では22.3％であるのに対し，女性では66.4％に達している。また，700万円超の者は，男性では21.0％となっているのに対し，女性では3.3％に過ぎない（第1－2－12図）。
この状況の背景としては，正社員に比べて賃金水準が低い短時間労働に女性の就労が多いなど，雇用形態において男女間に違いがあること，また，パートタイム等に従事する女性では，収入が一定範囲を超えないよう調整する者もいることなどが考えられる。さらに，正規雇用者であっても，役職や残業時間，勤続年数の男女差が大きく影響しているものと考えられる。
（所定内給与格差は，一般男女労働者間は長期的には縮小傾向，短時間労働者と一般労働者間も長期的にはやや縮小）
一般労働者における男女の平均所定内給与額の差は，長期的に縮小傾向にあり，平成21年については，男性一般労働者の給与水準を100としたとき，女性一般労働者の給与水準は69.8となっている（第1－2－13図）。
一般労働者のうち，正社員・正職員の男女の所定内給与額の差は72.6となっており4年連続で格差は縮小した。
次に男性一般労働者と男女の短時間労働者の1時間当たり平均所定内給与額の差についてみると，平成21年では，男性一般労働者の給与水準を100としたとき，男性短時間労働者は54.8となっており，前年に比べ1.5ポイント縮小したが，依然としてその格差は大きい。また，男性の一般労働者と女性短時間労働者では，女性の短時間労働者の給与水準は男性一般労働者の40台をほぼ横ばいで推移しており，21年は49.1と，前年に比べ0.6ポイント格差が縮小しているものの，依然非常に低い水準にとどまっている（第1－2－14図）。
第1－2－13図 男女間所定内給与格差の推移（男性の所定内給与額＝100）
