平成22年版男女共同参画白書

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第3節 女性の能力発揮の必要性

(「賃金総額」でみた就業への女性の参画の状況)

ここでは,就業への女性の参画の状況を総合的に把握する指標として,「賃金総額」という指標を計算して,女性の「賃金総額」の男性の「賃金総額」に対する比率を求め,その国際比較を行う。

男性の「賃金総額」に対する女性の「賃金総額」の比率は以下の算式で計算される。

我が国の女性の「賃金総額」の対男性比が他国に比べて低い原因は,「就業者数」,「労働時間」,「時間当たり賃金」のそれぞれにおける男女の差が他国に比較して大きいことにある(第4図)。

第4図 M字カーブ解消による女性の労働力人口増加の試算
第4図 M字カーブ解消による女性の労働力人口増加の試算

(男女間賃金格差の背景)

我が国の男女間の賃金格差の要因についてみると,職場における役職や勤続年数の男女差が大きく影響している(第5表)。

第5表 男女間の賃金格差の要因(単純分析)
第5表 男女間の賃金格差の要因(単純分析)

(女性の高等教育在学率と高学歴女性の就業率)

我が国においては,女性の高等教育の在学率が54.1%と,9割を超えている米国や北欧諸国と比較してかなり低いものになっている(第6図)。

また,我が国は,高等教育を受けた女性(25〜64歳)の就業率がOECD諸国の中で最も低いグループに属している。

第6図 高等教育の在学率の国際比較
第6図 高等教育の在学率の国際比較

(女性が能力を十分発揮できる環境整備の必要性)

社会における固定的な性別役割分担意識や子どものころの職業のイメージが進路選択に影響を与えている可能性を考えると,教育の場等を通じて,女性の幅広い職業選択についての情報提供を行っていくことが重要である。

また,女性が就業を継続し,あるいはいったん休業しても再就業が容易にできる就業環境の整備が求められる。