平成20年版男女共同参画白書

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第2節 高齢者が安心して暮らせる介護体制の構築

1 介護保険制度の着実な実施

介護保険制度については,平成12年4月に施行されてから8年を迎え,高齢期の国民生活を支える制度として順調に定着しつつある。その一方で,利用の伸びに伴い費用も急速に増大しており,「制度の持続可能性」を確保するため,介護保険制度全般にわたる見直しを行った介護保険法の一部を改正する法律(平成17年法律第77号。以下「介護保険法改正法」という。)が17年6月に成立し,18年4月から施行された。

2 高齢者保健福祉施策の推進

(1)介護サービス基盤の整備

介護・福祉サービスの基盤整備に当たっては,身近な生活圏域で介護予防から介護サービスの利用に至るまでの必要なサービス基盤を整備していく必要があることから,厚生労働省では,地方公共団体が創意工夫し,整備を行うことができるよう,地方公共団体が策定する整備計画に対する助成制度である地域介護・福祉空間整備等交付金により,総合的な支援を行っている。

(2)介護予防のための取組

厚生労働省では,介護保険制度を予防重視型システムへ転換するため,介護保険法改正法において,新予防給付サービスや地域支援事業を創設し,平成18年度以降,要介護度が軽い者に対する介護サービスをより介護予防に効果的なものに見直すとともに,要介護・要支援状態になるおそれのある者を対象とした介護予防事業等を実施している。

(3)利用者保護と信頼できる介護サービスの確保

厚生労働省では,高齢者が介護サービスを適切に選択し,利用できるような環境づくりを進めるため,介護サービス事業者の運営基準の適切な運用を図るとともに,介護サービス事業者の参入促進,福祉用具の開発・普及などの施策を推進している。また,利用者の介護サービスの選択に資するため,平成18年4月から「介護サービス情報の公表」制度を施行し,都道府県が行う事業所調査,情報の公表等の総合的な支援を行っている。

3 介護に係る人材の確保

厚生労働省では,介護福祉士,介護支援専門員及び訪問介護員について,養成研修や資質の向上のための研修等を実施するとともに,その内容の充実等を図っている。また,介護・看護マンパワーを確保するために,福祉重点ハローワークを中核として介護・看護マンパワーの就職を重点的に推進している。

また,介護基盤人材確保助成金,介護雇用管理助成金の活用促進のほか,介護労働安定センターにおいて雇用管理改善のための相談援助を行っている。さらに,介護サービスの高度化・多様化に対応した教育訓練の積極的な実施を図っている。