平成20年版男女共同参画白書

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第4節 多様な就業ニーズを踏まえた雇用環境の整備

1 パートタイム労働対策の総合的な推進

(1)パートタイム労働者の均衡のとれた待遇の推進

パートタイム労働者がその能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため,働き方の実態に応じた通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保や通常の労働者への転換の推進等を内容とする短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律(平成19年法律第72号)が,平成19年6月に公布されたところであり,厚生労働省では,改正法の円滑な施行に向け,周知啓発を行っている。

また,パートタイム労働者の均衡待遇に取り組む事業主や中小企業事業主団体への支援を図るため短時間労働者均衡待遇推進等助成金を支給している。

(2)パートタイム労働者の雇用の安定

厚生労働省では,パートタイム雇用に関する職業紹介サービス等を提供するパートバンクを設置し,パートタイム雇用に係る円滑な需給調整を推進している。

(3)パートタイム労働者に対する社会保険の適用拡大

厚生労働省では,パートタイム労働者が社会経済においてその役割や比重を増していく中で,被用者としての年金保障を充実させる観点などから,「正社員に近い」パートタイム労働者に社会保険の適用範囲を拡大するための「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」を第166回国会に提出し,継続審議とされたところである。

2 労働者派遣事業に係る対策の推進

厚生労働省では,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)に基づき,適正な事業運営が確保されるよう派遣元事業主,派遣先等に対し,制度の周知及び指導の徹底を図るとともに,派遣労働者等からの相談に対応している。

また,日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成20年厚生労働省告示第36号),派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示(平成20年厚生労働省告示第37号)及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第14号)を公布した(一部を除き,平成20年4月1日施行)。

3 在宅勤務等,新しい就業形態等に係る施策の推進

政府では,2010年までにテレワーカーを就業者人口の2割とする目標の実現に向けて,「テレワーク人口倍増アクションプラン」(平成19年5月テレワーク推進に関する関係省庁連絡会議決定,IT戦略本部了承)を策定し,政府一体となってテレワークの普及を推進している。

アクションプランの着実・迅速な実施に向けて,総務省,厚生労働省,経済産業省,国土交通省のテレワーク関係4省は,産学官からなる「テレワーク推進フォーラム」において,課題解決のための調査研究や普及活動を展開している。

総務省では,テレワークの普及のための実証実験(多くの企業等にテレワークを試行・体験してもらう機会の提供や,業務アウトソーシングにテレワークを活用することによる地域活性化等の提示・啓発など)の実施や,テレワーク環境整備税制(テレワーク設備導入の際の税制優遇措置)の実施,全国各地で普及啓発セミナーを開催するなど,アクションプランの着実・迅速な実施に取り組んでいる。また,総務省職員のテレワーク制度も導入し,国家公務員テレワークを率先実施している。

国土交通省では,職場や自宅以外での就労を可能にするテレワークセンターの必要性,課題等を検討するため,横浜市・鶴ヶ島市の2か所で実証実験を実施した。

厚生労働省では,在宅勤務の適切な労務管理の在り方を明確にしたガイドラインの周知や企業の労務管理担当者に対するテレワークの導入・実施に係る相談活動等により,テレワークの適切な導入及び実施を図った。

また,在宅ワークについて契約条件の文書明示や適正化などを示したガイドラインの周知・啓発を行うとともに,インターネット上で能力開発ができるシステムの運用やセミナーの開催,情報提供,相談等の支援事業を実施した。

4 男女のそれぞれ少ない職業分野への参画

内閣府では,関係省と連携し,女子高校生・学生等を対象に,平成17年度から,女性の進出が遅れている理工系分野に関する情報提供・意識啓発キャンペーンなどを実施している。