平成19年版男女共同参画白書

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第1節 就業者をめぐる状況

(労働力人口の推移)

総務省「労働力調査」によると,労働力人口は平成18年平均6,657万人で,2年連続の増加となった。性別にみると,男性が3,898万人(前年比3万人減)で9年連続での減少となった一方,女性は2,759万人(前年比9万人増)で3年連続の増加となった。昭和50年以降でみると,労働力人口に女性が占める割合は昭和63年に4割を超え,平成18年は41.4%となっている。

労働力人口比率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合。以下,「労働力率」という。)をみると,平成18年平均は60.4%となっており,性別の労働力率では,女性は48.5%で前年比0.1ポイントの上昇,男性は73.2%で前年比0.1ポイントの低下となった。

(女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)の変化)

女性の年齢階級別労働力率について昭和50年からほぼ10年ごとの変化をみると,現在も依然として「M字カーブ」を描いているものの,そのカーブは以前に比べかなり浅くなっており,M字部分の底となっている年齢階級も変化している。

昭和50年では25~29歳(42.6%)及び30~34歳(43.9%)の2つの年齢階級が底となっていたが,25~29歳の労働力率は次第に上がり,平成18年(75.7%)では,年齢階級別で最も高い労働力率となっている。M字の底は平成7年では30~34歳(53.7%)のみとなり,18年をみると30~34歳(62.8%)及び35~39歳(63.6%)の2つの年齢階級が底となっている。しかしながら,昭和50年から現在まで継続して底となっている30~34歳においても,平成7年からの11年間だけで労働力率が9.1ポイントも上昇しており,M字カーブは台形に近づきつつある。

このM字カーブの変化は,女性の晩婚・晩産化による子育て年齢の上昇を反映したものと考えられる(第1-2-1図)。

第1-2-1図 女性の年齢階級別労働力率の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-1図 女性の年齢階級別労働力率の推移

(女性の約8割が第3次産業従事者)

産業別に就業者割合をみると,男女ともに第1次産業はほぼ一貫して低下する一方,第3次産業の割合が高まってきている。女性で特にその傾向が顕著であり,第1次産業,第2次産業の割合はほぼ一貫して低下し,平成18年には約8割が第3次産業の就業者となっている。これに対し男性は,女性に比して第1次産業,第2次産業とも低下が緩やかであり,18年においてもその就業者は4割程度を占めている(第1-2-2図)。

第1-2-2図 産業別就業者構成比の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-2図 産業別就業者構成比の推移

職業別の就業者割合についてみると,男女とも農林漁業作業者の割合が大きく減少してきたことが目立っている。製造・制作・機械運転及び建設作業者の割合は,女性はほぼ一貫して低下しており,男性は近年低下傾向にあるものの,現在でも最も割合が高くなっている。男女とも専門的・技術的職業従事者,事務従事者,保安職業・サービス職業従事者の割合は増加傾向にあり,特に女性において顕著であって,平成18年にはこれら3つの職業で6割を超えている(第1-2-3図)。

第1-2-3図 職業別就業者構成比の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-3図 職業別就業者構成比の推移

(就業者に占める雇用者割合の上昇)

就業者を従業上の地位別にみると,就業者に占める雇用者の割合が上昇し続け,自営業者及び家族従業者の割合は低下し続けている。平成18年では,就業者に占める雇用者割合は女性85.9%,男性85.6%となっている(第1-2-4図)。

第1-2-4図 就業者の従業上の地位別構成比の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-4図 就業者の従業上の地位別構成比の推移

(増加する非正規雇用者)

雇用者のうち,正規の職員・従業者に占める女性割合は約3割で,昭和60年以降,おおむね横ばいで推移している。一方,全体の女性雇用者数は増加しており,非正規雇用者数の増加がみられる。非正規雇用者は男性でも徐々に増加している。

正規の職員・従業員が役員を除く雇用者(非農林業)全体に占める割合を男女別にみると,女性は昭和60年に68.1%であったが,平成18年には47.3%にまで低下している。男性についても,昭和60年は92.8%であったが,平成18年には82.2%に低下している。これに伴い,男女ともパート・アルバイト1などの非正規雇用者の割合が上昇している。特に女性はその割合が昭和60年の31.9%から平成18年には52.7%にまで上昇しており,過半数を占めるに至っている(第1-2-5図)。

第1-2-5図 雇用形態別にみた役員を除く雇用者(非農林業)の構成割合の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-5図 雇用形態別にみた役員を除く雇用者(非農林業)の構成割合の推移

また,近年,パート・アルバイトという形態の非正規雇用のほかに,派遣労働者が増加している。厚生労働省「労働者派遣事業報告書」によると,平成17年度の年間の派遣労働者数は約255万人で前年より12.4%増となっている。また,実際の労働量を示す指標である常用換算派遣労働者数は増加が続いており,前年比で約4割増の124万人となっている(第1-2-6図)。

第1-2-6図 労働者派遣された派遣労働者数等の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-6図 労働者派遣された派遣労働者数等の推移

(企業が進める非正社員の雇用)

独立行政法人労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」によると,パートタイマー2や派遣労働者,契約社員などの非正社員の割合が3年前と比較して「上昇している」とした事業所の割合は33.9%である。また,これら非正社員の割合が上昇しているとする事業所に,その影響についてきいたところ,「人件費の総額を削減できた」(78.3%),「正社員の数を減らすことができた」(62.7%)など,人件費削減効果について肯定する事業所が多くなっている(第1-2-7図)。

第1-2-7図 非正社員の割合が上昇することによる影響 別ウインドウで開きます
第1-2-7図 非正社員の割合が上昇することによる影響

(雇用者の高学歴化の進展と依然つづく男女格差)

雇用者の学歴構成の推移をみると,男女ともに中卒,高卒は減少傾向にある一方で高専・短大卒及び大卒は増加傾向にある。これは,近年の高等教育機関への進学率上昇に伴い,新規学卒就職者が高学歴化しているためと考えられる。

性別でみると,女性は,雇用者に占める大学・大学院卒の割合は上昇傾向にあり,平成18年では16.8%となっている。しかしながら,女性雇用者全体に占める構成は,高専・短大卒の方が大学・大学院卒より依然高くなっている。男性については,大学・大学院卒の割合は18年で35.7%と,女性よりもかなり高くなっている(第1-2-8図)。

第1-2-8図 学歴別一般労働者の構成割合の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-8図 学歴別一般労働者の構成割合の推移