平成18年版男女共同参画白書

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第2節 配偶者等からの暴力への対策の推進

1 関係機関の取組及び連携の推進

配偶者暴力防止法及び同法に基づく「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針」(平成16年 内閣府,国家公安委員会,法務省,厚生労働省 告示第1号)に沿って,関係府省は,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策を積極的に推進している。

全国の都道府県等には,配偶者暴力防止法に基づいて,124か所(平成17年11月15日現在)の配偶者暴力相談支援センターが設置されており,配偶者からの暴力に係る相談,一時保護,自立支援等の業務を実施している。

内閣府では,配偶者暴力防止法に関する外国語,点字パンフレットの作成・配布を始めとした各種広報を実施したほか,被害者相談員の研修教材である「配偶者からの暴力 相談の手引き(改訂版)」を作成・配布した。

また,配偶者からの暴力の被害者支援に役立つ法令,制度及び関係施設についての情報等を収集し,平成14年4月より,内閣府のホームページを通じて提供している。

法務省の人権擁護機関は,婦人相談所等の関係機関との情報及び意見の交換を活発に行い,被害女性の救済について,より一層積極的に取り組んでいる。

厚生労働省では,配偶者からの暴力被害者の保護及び自立支援について,婦人相談所と関係機関等との連携の強化を図っている。具体的には,各都道府県において,婦人相談所と福祉事務所,民間シェルター等関係機関との定期的な連絡会議や事例検討会議を開催するとともに,事例集や関係機関の情報を掲載したパンフレットを作成・配布している。

2 相談体制の充実

警察では,各都道府県警察の相談窓口の利便性を向上させたり,事情聴取に当たっては,被害者を夫・パートナーから引き離して別室で行うなどして,被害者が相談・申告しやすい環境の整備を図っている。

また,厚生労働省では,配偶者の暴力が時間を選ばず発生し,被害者からの緊急相談への対応が求められることから,婦人相談所における休日夜間の対応を強化するなど相談体制の充実を図っている。

3 被害者の保護・自立支援

厚生労働省では,婦人相談所が被害者及び同伴する家族の一時保護を自ら実施するとともに,厚生労働大臣が定める基準を満たす民間シェルター等に一時保護を委託している。さらに,暴力加害者の追求が激しいなど,利用者の安全確保が図れない等の場合は,被害者本人の希望のもとに,自治体間の協議により他の都道府県の施設に入所させるなど適切な支援を行っている。また,婦人相談所一時保護所,婦人保護施設及び母子生活支援施設に心理療法担当職員を配置し,被害者の心理的な被害の回復を促すなど,被害者が自立に向けた取り組みを安心して行えるよう環境を整備し,自立支援の強化を図っている。

4 暴力行為への厳正な対処等

警察では,夫・パートナーからの暴力については,被害者の意思を踏まえ,検挙,指導・警告その他の適切な措置を講じ,被害者やその親族,支援者等に対するつきまとい等がある場合は,ストーカー規制法を活用し,加害者への警告を行うなどして被害女性への支援を行っている。

また,配偶者暴力防止法に基づき,裁判所から保護命令を発した旨の通知を受けたときは,関係する警察職員に周知し,被害者に防犯上の留意事項を教示するなど,事案に応じた必要な措置を講じている。保護命令違反を認めたときには,検挙措置を講じるなど厳正かつ適切に対処している。