平成18年版男女共同参画白書

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第1章 男女共同参画社会に向けた施策の総合的な推進

第1節 国内本部機構の組織・機能強化

1 男女共同参画会議の機能発揮

(1)男女共同参画会議の活動

内閣府に設置された重要政策に関する会議の一つである男女共同参画会議は,内閣総理大臣,議長である内閣官房長官及び男女共同参画担当大臣のリーダーシップの下,男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な方針,基本的な施策及び重要事項などについて調査審議を進めてきた。

平成17年度は,7月に内閣総理大臣に対して,「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について」答申を行い,「男女共同参画基本計画」(平成12年12月閣議決定)の改定に当たっての基本的な考え方を示した。また,12月には,内閣総理大臣から,男女共同参画基本計画の変更について諮問を受け,答申を行った。

(2)各専門調査会の活動

基本問題専門調査会では,平成17年10月以降,国の審議会等における女性委員の割合の新たな目標設定及び積極的改善措置の目標(2020年,30%)に向けた取組のフォローアップ等について調査検討を行い,18年3月には,「国の審議会等委員への女性の参画の拡大について」を取りまとめた。

女性に対する暴力に関する専門調査会では,平成16年12月以降,男女共同参画基本計画の重点目標7「女性に対するあらゆる暴力の根絶」に関する施策の実施状況及び今後の課題について調査審議を進め,17年7月,報告書「女性に対する暴力に関する施策についての基本的な考え方」を取りまとめた。

監視・影響調査専門調査会では,本専門調査会の前身である苦情処理・監視専門調査会報告「男女共同参画にかかわる情報の収集・整備・提供に関する調査検討結果について(平成15年7月16日)」を受けて各府省の取組についてフォローアップを行った。また,苦情処理・監視専門調査会報告「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について(平成16年7月28日)」を踏まえ,平成15年8月7日に女子差別撤廃委員会から公表された最終コメントに対する政府の取組状況について,フォローアップを行った。さらに,16年度の各府省及び地方公共団体における施策についての苦情の処理状況について,調査検討を行った。なお,今後重点的に監視・影響調査の対象とする施策は,「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習に係る施策」とし,監視の対象とする施策は,「都道府県・政令指定都市における審議会等の委員についての国の法令に基づく職務指定」として,調査検討を進めている。

また,男女共同参画基本計画に関する専門調査会では,男女共同参画基本計画改定に当たっての基本的な考え方について調査検討を行い,平成17年7月に調査会報告を男女共同参画会議に提出した。その後,「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)の表現等について調査検討を行い,同年10月31日に整理を公表した。

少子化と男女共同参画に関する専門調査会では,統計データ等の分析を通じて,少子化と男女共同参画の関係について調査検討を行っている。平成17年9月に「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」報告書を取りまとめた(69ページ,コラム参照)。また,同様の指標に係る国内データに基づく調査検討を行っている。

(コラム:女性の労働力率と出生率の国際比較)

2 総合的な推進体制の整備・強化等

(1)男女共同参画基本計画に基づく施策の推進

政府は,「男女共同参画基本計画」に沿って,関係行政機関が連携を保ちつつ,総合的に諸施策を推進している。

「男女共同参画基本計画(第2次)」については,平成16年7月に男女共同参画会議に対して内閣総理大臣から計画の策定に当たっての基本的考え方について諮問がなされた後,男女共同参画基本計画に関する専門調査会及び女性に対する暴力に関する専門調査会において,調査検討を行っていたが,17年7月25日に参画会議への報告を行い,同日,同会議から内閣総理大臣へ答申を行った。その後,政府内で計画案を作成し,参画会議へ諮問答申を経た後,17年12月27日に閣議決定された(第2-1-1表)。

第2-1-1表 男女共同参画基本計画(第2次)の構成 別ウインドウで開きます
第2-1-1表 男女共同参画基本計画(第2次)の構成

(2)年次報告等の作成

男女共同参画社会基本法(平成11年法律第76号)第12条に基づき,「平成16年度男女共同参画社会の形成の状況」及び「平成17年度男女共同参画社会の形成の促進施策」(男女共同参画白書)を作成した。

(3)国際機関・諸外国の国内本部機構との連携・協力の推進

男女共同参画社会の形成の促進に関する各種国際会議への出席,相互交流,インターネット等を活用した情報交換を通じて,国際機関,諸外国の国内本部機構との連携・協力に努めた。

(4)男女共同参画担当大臣

平成4年の宮澤内閣の改造に際し,女性問題を総合的に推進するために行政各部が所管する事務の調整を行う婦人問題担当大臣が置かれ,内閣官房長官が指定された。その後名称は「女性問題担当」,「男女共同参画担当」と変わるが,以後歴代内閣において男女共同参画を担当する大臣が置かれている。13年1月以降は,内閣官房長官が内閣府設置法(平成11年法律第89号)に基づく特命担当大臣とされていたが,17年10月に,専任の特命担当大臣として,少子化・男女共同参画担当大臣が置かれ,男女共同参画社会の形成の促進に関する事項の企画立案及び総合調整を行っている。

(5)男女共同参画推進本部及び男女共同参画担当官会議の開催

男女共同参画推進本部(以下この節において「本部」という。)は,男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の円滑かつ効果的な推進を図るため,閣議決定に基づき,内閣総理大臣を本部長,内閣官房長官及び男女共同参画担当大臣を副本部長とし,全閣僚を本部員として内閣に設置されている。本部には,男女共同参画担当官が置かれ,本部員を補佐するとともに関係行政機関において所要の調整の事務を行っており,また,関係行政機関相互の機動的な連携を図るために,男女共同参画担当官会議が置かれている。

(6)男女共同参画に関する施策についての苦情の処理に関する取組の推進

男女共同参画に関する施策についての苦情の処理や人権が侵害された場合における被害者の救済に関する取組を推進するため,関係機関の連携強化,従事者の知識・技能の向上及び活動の活性化等を図っている。

内閣府では,国及び地方公共団体に寄せられた男女共同参画に関する施策についての苦情内容等について取りまとめ,監視・影響調査専門調査会に報告した。また,苦情解決に当たっての視点・方法論,苦情事例等を紹介する「苦情処理ガイドブック」を改定し,関係機関等に配布するほか,地方公共団体における苦情処理事務担当者,行政相談委員及び人権擁護委員を対象とする研修を実施した。さらに,都道府県・政令指定都市が設置する女性センター等の管理者等が一堂に会する機会を設け,苦情の処理等に関する意見を聴取した。

総務省では,行政相談委員の中から指名した男女共同参画担当委員(平成15年9月全国で123名を指名し,17年度には182名に増員)と連携し,男女共同参画の認識を高めるための研修会,シンポジウム等の開催や関係施策の説明資料の配布を行ったほか,男女共同参画社会に関する施策についての苦情等を受け付けるための行政相談所を開設した。また,平成17年9月には,各地の担当委員が集合して,地域における活動内容の発表や事例研究,意見交換等を行い,苦情処理等の機能の充実方策,今後の活動の活性化等について検討を深めた。

法務省では,人権擁護委員に対し,男女共同参画社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害された被害者の相談などに適切に対処するために必要な知識の習得を目的とする「人権擁護委員男女共同参画問題研修」を実施した。