平成17年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 序説 科学技術の進展と男女共同参画

日本の経済は1960年代に高度経済成長期に入り,高い経済成長率を記録した。国民所得が拡大する中,科学技術の進歩によって多くの家電製品が家庭に普及した。これらの技術は,家事負担への影響等を通じて人々の生活に変化をもたらした。

例えば,電気洗濯機,電気炊飯機,電気冷蔵庫等の家電製品の普及等による家事負担の軽減は,女性の社会進出を可能にし,女性の社会進出が更なる家事負担を軽減する製品の開発の必要性をもたらし,新たな技術進歩を生み出すといった循環が見られた。

このように,技術進歩はライフスタイルに大きな変化をもたらすとともに,ライフスタイルの変化が技術進歩を引き出すという意味で両者の間には相互依存関係があった。

また,高度経済成長期を通じて核家族化が進行し,女性が家事・育児を担い,男性はサラリーマン化するという固定的な性別役割分担の形成が進んだ。専ら女性が家事・育児を分担するという固定的な性別役割分担を維持した社会構造の中,科学技術は,女性の社会進出を可能にした一方で,核家族化の進行による家事の担い手の減少を受けて,家事負担の軽減要望にもこたえていったと考えられる。

翻って,男女共同参画の視点から科学技術を見ると,近年,科学技術の担い手としての女性に対する期待が高まってきている。

しかしながら,研究者全体に占める女性割合は国際的に見ても低いものにとどまっているなど,現時点で女性が十分に活躍できる環境が整備されたとは言い難い。

科学技術の諸活動を支える究極の要因は人材であるが,少子化やいわゆる「理科離れ」などにより,我が国の科学技術関係人材の質的・量的な不足が懸念されている。こうした中,多様性の確保の観点からも,女性研究者等の活躍がより一層重要になっている。

我が国では,平成11年6月に男女共同参画社会基本法が施行されて以降,科学技術分野において男女共同参画を推進する動きが広まっており,各団体においても男女共同参画に向けた自主的な取組が見られる。13年3月に閣議決定された第2期科学技術基本計画においても,男女共同参画の観点から,女性研究者への採用機会等の確保及び勤務環境の充実を行う旨が明記されている。さらに,政府は,社会のあらゆる分野において,2020年までに,指導的地位に女性が占める割合が,少なくとも30%程度になるよう期待するという目標を掲げている。

以上を踏まえ,序説第1節では,特に家事,住まい,職業,医療などの観点から技術とライフスタイルの相互関係についてみることにする。

第2節では,科学技術分野で活躍する女性のチャレンジ支援や仕事と生活の両立支援という観点から,女性研究者及び次代を担う女性若年層の現状と可能性をみることとする。

  
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