平成17年版男女共同参画白書

コラム > 最近の農村における男女共同参画を支援する技術の進展の動きについて

●農産物直売におけるPOSシステムの導入

近年,地域農産物を活用した特産加工品づくりなど女性の起業活動への取組は増加しており,平成15年度には,8,186事例が報告されている(第1-序-10図)。最近では農産物直売施設においても,コンビニエンス・ストアなどで利用されている「販売時点情報管理システム」(POSシステム)を活用することで,消費者ニーズに合わせた商品づくりなど女性の起業活動に役立てているところが見られる。

第1-序-10図 農業分野における女性起業数の推移別ウインドウで開きます

POSシステムとは,出荷品にバーコードを付け,それをレジで読み取ることで,商品の売上に関する情報を販売時点で単品ごとに即時に収集し,分析するシステムである。このシステムは直売所の特徴である少量多品目の商品管理に適するとともに,出品者個人の時間的な売上げデータが個人ごとにわかるため,直売に参加する農業者は,消費者動向を迅速に把握し,戦略的に出荷することが可能になる。競合商品を避けて,多様な商品を揃えたり,加工品等では積極的な競争で質の高い商品が生まれる効果があり,売上げが増すとともに,消費者にも喜ばれる直売施設が実現している。

POSシステムを利用した農産物直売別ウインドウで開きます

●「酪農」を「楽農」に-搾乳ロボットの開発・導入-

酪農経営はもともと休日がない上に,牛の搾乳(乳搾り)は,手で搾っていた昔とは異なり現在は機械で搾っているものの,主に早朝と夜間に行われるとともに,作業者は腰を曲げた姿勢を強いられるなど,負担が大きい作業である。特に,女性は,家事・育児の負担のため,早朝から夜遅くまで働き詰めとなるケースが多い。しかし,近年,オランダで搾乳ロボットの実用機が開発され,国内にも導入されている。

この搾乳ロボットは,牛が部屋に入ると,センサーで乳頭の位置を検知し,自動的に洗浄と搾乳機の装着を行い,搾乳するものである。

従来の搾乳作業は朝晩2回行われていたが,ロボットによる搾乳では,ほぼ無人で長時間の稼働が可能となる。しかも,人の都合ではなく牛の生理的要求に合わせた搾乳が可能になることで1頭当たりの乳量が増加する効果も生じており,人にも牛にもメリットがある画期的な技術である。価格や適当な規模等といった諸条件から,現在はまだごく一部の先進的な農家に導入されているにすぎないが,将来的にはこうした条件をクリアした農家への普及が期待される。

搾乳ロボットを利用した搾乳作業風景別ウインドウで開きます

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