平成16年版男女共同参画白書

コラム > 家事・育児への協力は結婚相手の重要な条件

高学歴,高収入,高身長を表す「3高」という言葉が流行した時代もあったが,今や学歴や容姿よりも,家事や育児に協力してくれることが,女性が重視する結婚相手の条件となっている。国立社会保障・人口問題研究所「第12回出生動向基本調査」(平成14年)によると,女性が結婚相手の条件として重視する項目として「家事・育児に対する能力や姿勢」を挙げる者の割合は,前回調査より大きく増加してほぼ6割に達し,最多の「人柄」に次いでいる(第1-序-40図)。

第1-序-40図 独身女性が重視する結婚相手の条件別ウインドウで開きます
第1-序-40図 独身女性が重視する結婚相手の条件

男女ともに女性が働き続けることを肯定する者は増えてきているが(第1-序-15,16図参照),

現実には,結婚後の家事や育児の負担は女性に偏ることが多く,出産を機に就業を中断する者は多い(第1-序-43図参照)。

しかし,子育ての一段落後に再就職を希望しても,厳しい雇用環境の中,いったん就業を中断すると望むような就職口が見つかる保障はない。実際,女性が35歳を過ぎてから就職する場合,一般労働者よりも労働条件が不利であることの多いパートタイムでの入職が多くなっている(第1-序-54図参照)。

専業主婦になる場合にも,現下の経済状況下では夫の賃金減少や失職のリスクがある。また,子育ての費用は高く,将来の社会保障負担は今よりも重くなるかもしれないという経済面での懸念もある。何よりも,平均初婚年齢の27.4歳,第1子出産平均年齢の29.3歳は,社会に出てから数年がたち,ようやく仕事に手ごたえを感じ始める時期でもある。以上のような状況からすると,重視する結婚相手の条件は「学歴」や「経済力」よりも「家事・育児に対する能力や姿勢」となるのであろう。家事や育児をサポートする社会的環境は整いつつあるが,やはり夫の協力なくして働き続けることは困難なのである。

このような女性の期待に応じてか,家事や育児に協力的な男性が増え,花婿修行に料理を習う男性もいるという。日本の長時間労働慣行が男性の家事や育児への参加を阻んでいるという指摘もあるが,家庭での男女の役割分担の在り方と働き方は相互に影響を与えるものであり,男性の家事や育児への協力は,身近で重要な男女共同参画社会実現のための第一歩でもある。

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