平成15年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 第2章 > 第2節 雇用の分野における女性

第2節 雇用の分野における女性

(賃金,登用に関する差別感)

内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(平成14年)で,女性が職場において不当に差別されていると思う具体的内容をみると,「賃金に差別がある」が60.4%と高く,次いで「能力を正当に評価しない」31.3%,「昇進・昇格に差がある」30.6%となっている(第1-2-4図)。

第1-2-4図 不当に差別されていると思う理由 別ウインドウで開きます
第1-2-4図 不当に差別されていると思う理由

(所定内給与の男女差は縮小傾向,パートタイム労働者と一般労働者の格差は拡大傾向)

厚生労働省「毎月勤労統計調査年報」(平成13年)によると,常用労働者(一般労働者,パートタイム労働者からなる)1人の平均月間現金給与額は,男性44万196円,女性22万727円であり,女性は男性の50.1%にすぎず,平成元年以降ほとんど変化がみられない。

雇用形態別にみると,女性一般労働者の時間当たり平均所定内給与額は,平成13年で男性一般労働者の66.1%であり,依然として大きな開きがあるものの,縮小傾向にある(第1-2-5図)。

第1-2-5図 労働者の時間当たり平均所定内給与額の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-5図 労働者の時間当たり平均所定内給与額の推移

パートタイム労働者(同一企業の一般労働者より1日の所定労働時間又は1週間の労働日数が少ない労働者をいう。以下同じ。)と一般労働者の賃金格差は年々拡大しており,女性パートタイム労働者の時間当たり所定内給与額は男性一般労働者の43.9,男性パートタイム労働者と男性一般労働者の格差は,50.7と大きくなっている。一方,女性パートタイム労働者と男性パートタイム労働者の賃金格差は年々縮小傾向にあり,平成13年では86.5となっている。

パートタイム労働者と一般労働者の賃金格差は,男女共通の課題となっている。

(男女で大きな差がみられる給与所得)

男女の給与所得には大きな開きがある。1年間を通じて勤務した給与所得者を給与階級別にみると,女性では300万円以下が63.8%(男性17.0%),100万円以下も15.3%(男性は1.9%)と多い反面,700万円超は3.2%(男性23.3%)と男女差が大きい(第1-2-6図)。

第1-2-6図 給与階級別給与所得者の構成割合 別ウインドウで開きます
第1-2-6図 給与階級別給与所得者の構成割合

序説でも触れたように,女性では家庭との両立等を考慮して就業時間が短いパート等で働く者が多く,女性パートタイム労働者の収入分布をみると,年収90から100万円の占める割合が最も高く,年収100万円未満の人の割合は,平成7年の約5割から改善はみられるものの,13年では全体の約4割を占めている(第1-2-7図)。

第1-2-7図 女性パートタイム労働者の収入分布 別ウインドウで開きます
第1-2-7図 女性パートタイム労働者の収入分布

このように,パートタイム労働者の所得の低さと,そのようなパートタイム労働に女性が多く就いていることが,男女間の収入格差にも影響を与えている。

(役職別管理職に占める女性割合は年々増加)

次に,登用の状況をみると,管理職に占める女性の割合は総じて増加傾向にある。

役職別にみると,係長相当職では増加傾向にあり,平成13年では8.3%となっている。しかし,役職が上がるにつれて女性の割合は減り,課長相当職では3.6%,部長相当職では1.8%と低くなっている(第1-2-8図)。

第1-2-8図 役職別管理職に占める女性割合の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-8図 役職別管理職に占める女性割合の推移

(昇級・昇格に差がつく理由)

大卒標準労働者の昇級・昇格に差がつく理由をみると,「女性と男性では,おおむね就いている職種が異なるから」が54.1%と最も多く,次に「女性の勤続年数が短いので昇級・昇格の要件に該当する者がいない」が33.9%となっている(第1-2-9図)。

第1-2-9図 大卒標準労働者の昇級・昇格に差がつく理由 別ウインドウで開きます
第1-2-9図 大卒標準労働者の昇級・昇格に差がつく理由

また,昇級・昇格に差がつく時期は,「入社してから6~10年目まで」が32.9%と最も多く,次に「入社してから5年目まで」が24.3%となっている。

(主要業務への男女の配置)

事業所の主要部門における管理職以外の配置状況をみると,「新入社員が1~2年で習熟する業務」においては,男女ともに就いている事業所が72.1%と高くなっているが,年数が上がるにつれて減少する。一方,男性のみ就いている業務は,年数が上がるにつれて増加し,「新入社員が6年以上で習熟する業務」においては,男女ともに就いているが55.7%,男性のみ就いているが20.4%となっている(第1-2-10図)。

第1-2-10図 男女別主要部門への配置状況… 別ウインドウで開きます
第1-2-10図 男女別主要部門への配置状況…

入社後6年以降の,昇級・昇格に差がつく時期に,男性のみが主要部門に配置されることが多くなっている。

(女性の勤続年数は長期化)

雇用者の平均勤続年数は上昇傾向にあり,平成13年では,女性8.9年,男性13.6年(昭和60年は6.8年,11.9年)と上昇している。同年の勤続年数階級別構成比をみても,男性は30年以上が増加しているが,女性では20年以上が11.3%と昭和60年の5.5%から上昇するなど全体に勤続年数が長期化し,10年以上が約3分の1を占めるに至っている(第1-2-11図)。

第1-2-11図 勤続年数階級別雇用者構成割合の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-11図 勤続年数階級別雇用者構成割合の推移

(ポジティブ・アクション実施企業は徐々に増加)

(財)21世紀職業財団「ポジティブ・アクションに関するアンケート結果」(平成14年)によると,女性を登用するための取組として,「人事考課基準を全従業員に周知する」,「人事考課を男女差別なく公正に適用するよう評価者研修を実施する」などの男女両方を対象とするような取組は,4割の企業で実施しているものの,「女性の管理職を増やすための目標数を設定する」,「地方勤務や現場経験等女性が満たしにくい昇任要件を見直す」といった,女性のみに直接影響を与えるような取組は1割の企業でしか実施されていない。

しかし,約4割の企業で「目標数の設定」や「女性の管理職候補を対象とした研修の実施」についてこれから取り組むとしており,企業の積極的な取組により,女性管理職の増加が期待される(第1-2-12図)。

第1-2-12図 女性を登用するための取組 別ウインドウで開きます
第1-2-12図 女性を登用するための取組

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019