執務提要

第3章 平成元年から2000年プランの策定(平成8年)まで

1.国際的な動向

(1)ナイロビ将来戦略勧告

平成2年(1990年)5月、国連経済社会理事会において平成7年(1995年)に世界女性会議を開催することを国連総会に勧告する決議(国連総会により支持された) がなされるとともに、ナイロビ将来戦略の見直しと評価が行われ、「婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略に関する第1回見直しと評価に伴う勧告及び結論」 (ナイロビ将来戦略勧告)が採択され、1990年代においてナイロビ将来戦略の実施のペースを早めることが求められた。

勧告及び結論の構成

  • I 婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略の実施の加速化
    • A 平等 勧告1~勧告7
    • B 開発 勧告7~勧告19
    • C 平和 勧告20~勧告22
  • II ナショナル・マシーナリー 勧告23、24
  • III 1993年~1996年の優先テーマ
    • A 平等
    • B 開発
    • C 平和

なお、同勧告は、「政府、政党、労働組合、職業団体、その他の代表的団体は、それぞれ西暦2000年までに男女の平 等参加を達成するため、指導的地位に就く婦人の割合を、1995年までに少なくとも30%にまで増やすという目標を目指し、 それらの地位に婦人を就けるための募集および訓練プログラムを定めるべきである」との数値目標を設定している。

(2)第4回世界女性会議

世界女性会議の準備のために平成5年(1993年)10月、婦人問題企画推進本部長決定により、第4回世界女性会議日本国内 委員会(委員長:内閣総理大臣、委員:内閣官房長官、各省庁の事務次官等及び民間有識者33人)を設置した。同委 員会は平成6年1月、NGOなど国民各層の意見を広く求めるための組織として、 第4回世界女性会議日本国内委員会NGO部会を設置した。NGO部会では、国内NGOからの意見を聴取するとともに、 ニュースレターの発行(8回)や関連情報提供のための会合の開催等による情報提供を行った。

第4回世界女性会議は、平成7年(1995年)9月に北京で開催され、「北京宣言」及び「行動綱領」が採択された。この 行動綱領により各国政府は、平成8年(1996年)末までに自国の行動計画を開発し終えることを求められた。

なお、我が国は野坂浩賢内閣官房長官兼女性問題担当大臣を主席代表とし派遣した。また、超党派の国会議員23名 も顧問議員団として参加した。

行動綱領の構成

  • 第 I 章 使命の声明
  • 第 II 章 世界的枠組み
  • 第 III 章 重大問題領域
  • 第 IV 章 戦略目標及び行動
    • A 女性と貧困
    • B 女性の教育と訓練
    • C 女性と健康
    • D 女性に対する暴力
    • E 女性と武力紛争
    • F 女性と経済
    • G 権力及び意思決定における女性
    • H 女性の地位向上のための制度的な仕組み
    • I 女性の人権
    • J 女性とメディア
    • K 女性と環境
    • L 女児
  • 第V章 制度的整備
    • A 国内レベル
    • B 小地域/地域レベル
    • C 国際レベル
  • 第VI章 財政的整備
    • A 国内レベル
    • B 地域レベル
    • C 国際レベル

(3)その他

平成5年(1993年)6月、ウイーンで開催された世界人権会議では、女性に対する暴力は人権問題と位置付けられ、「ウイーン宣 言及び行動計画」で、公的及び私的な生活における女性に対する暴力の撤廃が示された。

また、平成5年(1993年)の第48回国連総会では、同年の第37回婦人の地位委員会における審議を踏まえ、「女性に対する暴力 の撤廃に関する宣言」を採択した。

2.国内における取組

(1)新国内行動計画(第一次改定)

婦人問題企画推進本部は、ナイロビ将来戦略策定及び新国内行動計画策定以降の4年間の成果並びに諸情勢の 変化を踏まえ、平成3年度から7年度までの具体的施策を定めるとともに、平成12年度(2000年度)までの基本的施策の見直し を行い、平成3年5月30日、「西暦2000年に向けての新国内行動計画(第一次改定)」を決定した。この改定に 当たって、本部長は婦人問題企画推進有識者会議に対して意見の開陳を求めた。同会議は平成3年4月に「男女共同参 画型社会システムの形成」を提言し、「変革と行動のための五年」と題する「意見」を本部長に報告した。

この第一次改定では、21世紀の社会が、男女のあらゆる分野へ平等に共同して参画することが不可欠であるという 認識の下に、「共同参加」から「共同参画」へ改められた。そして新国内行動計画の目標を大枠においては維持しつつ発 展させ、5つの基本目標と16の重点目標を定め、男女共同参画型社会の形成を目指すこととした。

ここで「参画」の用語が公式に使われたが、第一次改定に当たり、平成3年4月、婦人問題担当室は婦人問題企画推 進本部担当課に向けた「西暦2000年に向けての新国内行動計画(第一次改定)(仮称)第二次案の送付について」と題 する事務連絡の中で、「「参画」と「参加」及び「女性」と「婦人」の使用については以下のとおりとする」と通知している。


  • ア 「参加」については平仄を合わせるためにも一部「参画」に改められたい。
    • 「参画」とする場合・・・・・共同参画、政策・方針決定への参画
    • (理由)
      単に女性の参加の場を増やすだけでなく、その場において政策・方針のの決定、企画等に加わるなど、より 主体的な参加姿勢を明確にするため
  • イ 「婦人」については、法令用語、固有名詞、慣用になって固有名詞に準ずるものを除き、「女性」を使用する。
    • 「女性」とする場合・・・・・女性団体 女性の地位向上
      「婦人」とする場合・・・・・婦人週間 婦人会館 婦人問題
    • (理由)
      従来使われてきた「婦人」という言葉は、主として成人した女の人を指す言葉であり、今日では男性と対語で ある「女性」を使うことが社会で一般的となってきている。また、国の白書、調査等、さらには地方公共団体における組織 名においても「女性」が使用されるようになってきている。今後この傾向は一層進むと思われるので、西暦2000年に向け ての行動計画であることを勘案し、法令用語等を除き、できる限り、「女性」の表現とすることとする。

なお、政府は平成4年6月に「生活大国五か年計画」を策定したが、この計画においても女性がいきいきと活動する社 会の構築を図ることが重要であると認識し、男女共同参画型社会の形成を目指している。

(2)国内推進体制の整備

上記行動計画に基づき、本部の強化等について婦人問題企画推進本部機構に関する検討会の設置が平成3年 8月に決定され、同検討会は平成5年5月、「今後の婦人問題企画推進本部機構の在り方について」 を報告した。

これを受け、推進本部は同年7月、<1>本部の改組(閣僚をメンバーとすること、各省庁に局長級の担当官を置くことな ど)、<2>審議会等による国民の意見の取り入れ、<3>事務体制の整備、<4>地方公共団体におけるより積極的な施策の取組 の要請、を内容とする「男女共同参画型社会づくりに向けての推進体制の整備について」を決定した。

上記推進本部決定を受け、「総理本府組織令の一部を改正する政令(平成6年6月24日政令第157号)により総理 府に男女共同参画室及び男女共同参画審議会(平成9年3月31日までの時限)が設置された。ここで同審議会は、「内 閣総理大臣の諮問に応じて、男女共同参画社会の形成に関する基本的かつ総合的な事項を調査審議し、及び当該諮問 に関連する事項について、内閣総理大臣に意見を述べること」を所掌とされた。また、7月の閣議決定で従来総理府に置 かれていた婦人問題企画推進本部が、内閣に置かれる男女共同参画推進本部に改組され、本部員も事務次官から閣僚 に変更された。

なお、平成4年12月の宮澤喜一内閣改造内閣で、河野洋平内閣官房長官に対して、「婦人問題を総合的に推進する ため行政各部の所管する事務の調整を担当させる」旨発令があり、我が国で初めていわゆる婦人問題担当大臣が置か れた。平成5年8月の細川護煕内閣ではその名称が「女性問題担当」に変わり、その後の内閣においても引き続き内閣 官房長官が女性問題担当に指名された。(その後平成8年11月の第2次橋本龍太郎内閣では総務庁長官が女性問題担 当に指名されたが、平成9年9月の第2次橋本改造内閣からは内閣官房長官が「男女共同参画担当」とされた。平成12 年12月5日に改造された第2次森喜朗内閣改造内閣は、平成13年1月6日に中央省庁再編を迎えたが、この時に内閣官 房長官が内閣府設置法第9条に基づく特命担当大臣である「男女共同参画担当大臣」に任命され、現在に至っている。)

(3)男女共同参画2000年プランの策定

ア.男女共同参画ビジョンの策定

平成6年8月、村山富市内閣総理大臣は、政令により新たに設立した男女共同参画審議会(会長:縫田曄子)に対し て「男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき男女共同参 画社会の形成に向けて、21世紀を展望した総合的ビジョンについて」諮問を行った。

その後、男女共同参画審議会は、現状等のヒアリングを行い、平成7年1月からビジョンについての自由討議を開 催、平成7年4月には「男女共同参画社会への展望」、「男女共同参画の推進のための諸制度」、「国際的な関心事項」 を主たる検討事項とする3つの部会を設け、検討を進めた。平成7年12月には「男女共同参画審議会部会における論点 整理」を公表し、個人・団体等518件の意見・要望を受け取った。その後も審議を進め、諮問から約2年後の平成8年7月 に概ね西暦2010年(平成22年)までを念頭に、目指すべき方向とそれに至る道筋を提案する「男女共同参画ビジョン- 21世紀の新たな価値の創造-」を内閣総理大臣に答申した。

男女共同参画ビジョン(ビジョン)の構成

  • はじめに
  • 第1部 男女共同参画社会への展望
    • 男女共同参画社会の基本的な考え方
      • (1)男女共同参画社会とは
      • (2)男女共同参画社会の理念と目標
    • 男女共同参画と経済・社会環境
      • (1))少子・高齢化の進展
      • (2)国内経済活動の成熟化と国際化
      • (3))情報通信の高度化
      • (4)家族形態の多様化
      • (5)地域社会の変化
  • 第2部 男女共同参画社会への取組
    • 性別による偏りのない社会システムの構築
      • (1)性別による偏りにつながる制度・慣行の見直し・検討
      • (2)男女が共に有償労働と無償労働をバランスよく担える社会制度の構築
      • (3)生活者の視点が反映された社会基盤の整備
    • 職場・家庭・地域における男女共同参画の確立
      • (1)雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
      • (2)農林水産業,商工業等の自営業における男女共同参画の促進
      • (3))男女の職業生活と家庭・地域生活の両立支援
      • (4)高齢期における男女共同参画の促進
    • 政策・方針決定過程への男女共同参画の促進
      • (1)政策・方針決定過程への女性の参画の促進
      • (2)積極的参画推進措置(ポジティブ・アクション)の検討
    • 性別にとらわれずに生きる権利を推進・擁護する取組の強化
      • (1)女性に対する暴力の撤廃
      • (2)メディアにおける人権の推進・擁護
      • (3)リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康・権利)の確立
      • (4)男女平等を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実
    • 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献
      • (1)国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透
      • (2)「平等・開発・平和」の達成に向けた積極的貢献
  • 第3部 総合的な取組に向けた推進体制の整備・強化
    • 取組体制の明確化と国内本部機構の組織・機能等の拡充強化
    • 国、地方公共団体、NGO間の連携・協力の強化

なお、ビジョンの中には「男女共同参画社会の実現を促進するための基本的な法律について、速やかに検討すべき である」との記述がなされた。(法の性格、盛り込むべき内容等については言及なし。)


イ.男女共同参画2000年プランの策定

新国内行動計画(第一次改定)の対象時期は基本的施策が平成12年度まで、具体的施策が平成7年度末までであった ことから、平成8年度以降の具体的施策の策定が求められた。また、上述のとおり、第4回世界女性会議で採択された行 動綱領で1996年(平成8年)末までに行動計画を開発し終えることが求められていた。

このため、「行動綱領」やビジョンを踏まえ、従来の計画の成果、課題も継承しつつ抜本的に新たな計画の検討を行う こととした。しかし、その間の施策を進めることも必要であり、平成8年3月の男女共同参画推進本部で、内閣官房長官よ り「西暦2000年に向けての新国内行動計画(第一次改定)」の具体的施策については、その推進期間が平成7年度末ま でとなっており、この計画の見直しは男女共同参画審議会の答申を待ってということになりますが、それまでの間も間断な く施策を推進するよう一層の尽力をお願いします。」旨の発言が行われ、新計画策定までの経過措置が示された。

平成8年7月にビジョンが答申されたが、政府の行動計画の策定のため、更に国民各層から幅広く意見・要望を聴 き、寄せられた延べ1,100件以上の意見を反映するなどして、平成8年12月12日、内閣総理大臣は「男女共同参画2000 年プラン-男女共同参画社会の形成の促進に関する平成12年(西暦2000年)度までの国内行動計画-(案)」を策定し、 同案について男女共同参画審議会に意見を求めた。

同審議会は、同日、「計画案は、本審議会が平成8年7月30日に答申した「男女共同参画ビジョン」の趣旨に概ね沿 うもの」と同プラン(案)が妥当である旨の答申を行った。なお、審議会は「なお、本審議会は、政府が標記計画を推進す るに当たって、別紙の点について十分留意することを、強く要望する。」として、以下の「男女共同参画2000年プラン」の 推進に当たり政府に要望する事項」も要望した。


  1. 「男女共同参画ビジョン」が提起した21世紀における男女共同参画社会の実現のためには、多くの重要かつ緊急 な課題を解決していく必要があり、本計画は、そのための最初の一歩である。政府は、このことを強く認識し、国内本部機 構の更なる充実・強化を図るとともに、本計画に盛り込まれた施策を、できる限り早期に実現すること。

  2. 政府は、男女共同参画社会の実現を促進するための基本的な法律の制定に向けて、早急に検討を進めること。

  3. 政府は、男女共同参画社会の形成の基盤となる民法、税制、社会保障制度等の社会制度・慣行の検討・見直し については、早期にこれを行うとともに、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」、「生涯を通じた女性の健康支援」等今回の 計画において新たに取り上げられた行政課題については、女性の人権を推進・擁護する観点から、従来の施策の枠組み にとらわれず、法制度を含め抜本的かつ総合的な施策のあり方を検討し、実施すること。

    なお、男女共同参画社会の実現のためには、国及び地方公共団体のいずれにおいても政策の立案、決定過程へ の女性の参画が極めて重要であり、関係者による人材の育成、登用等一層の取組が行われることを期待する。

    また、本審議会の存置期限は、平成9年3月31日であり、わずかの期間を残すばかりとなっている。「男女共同参 画ビジョン」のフォローアップは、もとより本審議会の責務であるが、本審議会の存置期限到来後にあっては、男女共同 参画社会の形成に関する新たな審議会が設置され、同審議会がこの責務を十分に果たすことを強く希望する。


本答申を受け、翌12月13日、男女共同参画推進本部は、「男女共同参画2000年プラン-男女共同参画社会の形成 の促進に関する平成12年(西暦2000年)度までの国内行動計画-」(以下「2000年プラン」という。)を決定し、同日の閣 議に報告、了承された。(注:ビジョンは平成22年度を念頭としており、プランは10年短い。)

男女共同参画2000年プランの構成

  • 第1部 基本的考え方
  • 第2部 施策の基本的方向と具体的施策
    • 男女共同参画を推進する社会システムの構築
      • (1)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
      • (2)男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革
    • 職場、家庭、地域における男女共同参画の実現
      • (3)雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
      • (4)農山漁村におけるパートナーシップの確立
      • (5)男女の職業生活と家庭・地域生活の両立支援
      • (6)高齢者等が安心して暮らせる条件の整備
    • 女性の人権が推進・擁護される社会の形成
      • (7)女性に対するあらゆる暴力の根絶
      • (8)メディアにおける女性の人権の尊重
      • (9)生涯を通じた女性の健康支援
      • (10)男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実
    • 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献
      • (11)地球社会の「平等・開発・平和」への貢献
  • 第3部 計画の推進

これで「行動綱領」が各国政府に求めていた「出来得れば1996年中に自国の行動計画を策定する」という国際的な 要請にこたえたことになった。

本国内行動計画は政策・方針決定過程への参画等「社会システムの構築」という目標をまず第一に記載するなど従 来の行動計画と違った構成となっている。

 この間、平成8年3月には審議会女性委員の割合が16.1%となり、昭和52年に婦人問題推進本部決定で目標を設定 以来初めて目標を達成した。これを踏まえ5月21日には男女共同参画推進本部で新たな目標(12年度末までのできるだ け早い時期に20%)が決定され、プランにも記載されている。)

なお、ビジョンの審議を行っていた男女共同参画審議会では、ジェンダーに対するスタンスとして3つの案が示され、 「男女の特性、すなわち生物学的機能の性差に由来する社会的役割の違いを前提とせずに男女平等の実現を目指す立 場でして、「ジェンダー」からの解放、ジェンダーフリーを志向する方向性である」と説明された案が了承された旨、議事録 に記載されている。(第17回:男女共同参画局のホームページに議事録が開示されており、前後関係は参照願いたい。)

しかし、ビジョンの最終報告では、第一部の「男女共同参画の基本的な考え方」の中で、「この答申は、女性と男性 が、社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)に縛られず、各人の個性に基づいて共同参画する社会の実現を目指 すものである」と記述されており、上述の表現とは異なっている。

また、このビジョンのジェンダーに関する考え方がそのままプランに引き継がれて いるかどうかについては否定的意見が多い。男女共同参画審議会設置法案の国会審議が行われた平成9年3月6日の 衆議院・内閣委員会でも、民主党の松本惟子委員より、「男女共同参画ビジョンを受けて2000年プランが策定をされております。い わゆる民間の代表が入って政府に答申を申し上げました男女共同参画ビジョンと2000年プランの間には、多少の誤差が あると私は思っています。御努力をいただいたということを評価しつつもなお、ビジョンとして答申をいたしましたところの問 題が、やはり各省庁との兼ね合いもあってでございましょうか、後退をしたような表現になっている部分もございます。審 議会におかれましては、なお一層この点に御留意をされまして、前向きの対応をお願いしたいと思います。」との意見が出 されている。

(4)政治の場における検討

政治の場においても、平成8年1月の自由民主党、日本社会党、新党さきがけの政策合意(男女共同参画社会実現 のため、昨年北京で開かれた「第四回世界女性会議」の行動綱領に基づいて今年夏に出される男女共同参画審議会か らの答申を尊重し、法的整備を含む国内推進体制を整備し、総合的な施策の推進を図る。)を踏まえ、10月には「社民・さ きがけ両党提案の女性政策については、男女共同参画社会を実現するための「女性基本法」制定、男女雇用機会均等 法の改善・強化などについて概ね合意した」と三党政策協議で女性政策についての合意に至った。

なお、社会政策について、「社民党提案の社会政策に関する少子高齢化への対応や、部落差別をはじめとするあら ゆる差別意識の解消など、各項目について概ね合意したが、選択的夫婦別姓制度導入などを内容とする民法改正につ いては、国民生活や日本の伝統文化に大きな影響があることなどから、国民の意見を幅広く聞きながら検討する。」とさ れた。選択的夫婦別氏制度は、社会党(選択的夫婦別姓制度や婚外子差別の撤廃を含む民法改正案を提案し、成立を 期す)、さきがけ(選択的夫婦別姓制度の導入や婚外子差別の撤廃のため、現行の民法を改正する)が提案したもので あるが、合意には至らなかった。

また、新進党も新政策構想(平成8年1月)の基本政策の一項目に「男女共生型社会の建設」を提示した(基本法に ついては言及なし)。


(主な参考資料)

  • 婦人の歩み30年(労働省婦人少年局編。(財)労働法令協会)昭和50年10月
  • 国連婦人の十年1980年世界会議派遣議員団報告書 昭和56年2月
  • 婦人労働を中心とした国連婦人の10年に関する資料 (衆議院社会労働委員会調査室)昭和59年1月
  • 「国連婦人の十年」ナイロビ世界会議及び関連事業等報告書 (内閣総理大臣官房審議室編)昭和61年1月
  • 国連婦人の十年1985年世界会議派遣議員団報告書 昭和61年3月
  • 国際婦人年(昭和50年)及び「国連婦人の十年」(昭和51年~60年)の記録) (総理府)昭和61年3月
  • 女性の現状と施策-新国内行動計画に関する報告書(第4回) (総理府)平成6年12月
  • ナイロビから北京へ-10年の歩み- (総理府)平成8年3月
  • 女性関連法データブック (国際女性の地位協会編)平成10年9月
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