「共同参画」2016年12月号

「男女共同参画社会に関する世論調査」結果の概要
内閣府男女共同参画局総務課

内閣府は、平成28年10月、「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果を公表しました。ここではその概要をご紹介します。

内閣府では、数年おきに、「男女共同参画社会に関する世論調査」を実施しており、本年夏に調査した結果を10月に公表しました。前回は平成24年の実施でしたが、平成26年に「女性の活躍推進に関する世論調査」を実施した際に、いくつかの調査項目は継続して調査し、数値を得ています。

これまでの調査との大きな違いは、今年度の世論調査から、対象年齢が20歳以上から「18歳以上」に引き下げられたことです。ここでは、いくつかの結果について御紹介します。

なお、今回調査は標本数5,000人に対し、有効回収数3,059人(61.2%)でした。うち男性1,404人(45.9%)、女性1,655人(54.1%)でした。

(1)女性の就業継続を支持する考え方が男女共に初めて50%超えに(図表1)

一般に女性が職業をもつことについての考え方を問う質問では、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」といういわゆる就業継続を支持する回答が54.2%と最も多く、次いで「子どもが大きくなったら再び職業を持つ方がよい」(26.3%)となっています。男女別にみても、男性が52.9%、女性が55.3%となり、全体の数値でも、男女別の数値でも揃って50%を超えたことは初めてです。

時系列的にみると、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」との考え方は、これまで増加傾向にあり、24年調査では47.5%でしたが、26年調査では44.8%と減少しました。今回は大きく数値を回復しました。こうした結果は、女性が職業をもつことを肯定的にとらえる考え方が、男性も含めて、より一般的になったことによるものではないかと考えられます。


図表1 女性が職業を持つことについて


(2)固定的性別役割分担意識は、「賛成」が過去最少に(図表2)

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」との考え方、いわゆる固定的性別役割分担意識を問う質問では、「賛成」は40.6%と、過去最少の割合となりました。

「反対」は54.3%となり、こちらは過去最多とはなりませんでしたが、歴代2番目に高い数値となりました。これまで長期的には「賛成」が減少傾向、「反対」が増加傾向となる中で、24年調査においては、「賛成」と「反対」が逆転したものの、26年調査では再度反転し、今回も引き続き、「反対」が「賛成」を上回っています。

「賛成」もしくは「反対」と考える理由についてもあわせて聞きましたが(複数回答)、その結果をみると、「賛成」とする理由としては、「妻が家庭を守る方が、子どもの成長などに良い」が60.4%、「両立しながら、妻が働き続けることは大変」が45.6%となっています。また、「反対」とする理由としては、「固定的な役割分担意識を押し付けるべきではない」が52.8%、「妻が働いた方が、個人や社会にとって良い」が46.8%となっています。


図表2 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方


(3)男性の家事・育児への参加には夫婦のコミュニケーションが必要(図表3)

男性が家事、子育て、介護、地域活動に積極的に参加するためにはどのようなことが必要と思うかを問う質問では(複数回答)、「夫婦や家族間でのコミュニケーションをよくはかること」(59.4%)との回答が最も多く、次いで「職場における上司や周囲の理解を進めること」(57.0%)、「男性自身の抵抗感をなくすこと」(57.0%)となっています。2番目に多かった「職場における上司や周囲の理解を進めること」は前回(24年調査)では選択肢になかったのですが、今回支持が多いことが確認できました。

最も多かった「夫婦や家族間でのコミュニケーションをよくはかること」については、男女共同参画局が先般公表した「夫婦が本音で話せる魔法のシート ○○家作戦会議」の趣旨と合致するものです。このシートの活用が拡がることで、夫婦間のコミュニケーションが一層はかられることが期待されます。


図表3 男性が家事・育児に参加するために必要なこと


(4)女性が地域活動のリーダーになるためには(図表4)

今回調査では初めての設問もありました。その一つ、自治会長やPTA会長など、女性が地域活動のリーダーになるためには、どのようなことが必要だと思うかを問う質問では(複数回答)、「男性の抵抗感をなくすこと」(52.1%)との回答が最も多く、次いで「社会の中で女性がリーダーになることについてその評価を高めること」(39.9%)、「女性自身の抵抗感をなくすこと」(39.7%)等となっています。

「男性の抵抗感をなくすこと」の回答を男女別にみると、男性が54.1%、女性が50.5%という結果でした。


図表4 女性が地域社会のリーダーになるために必要なこと


(5)女性が増える方がよいと思う職業や職種(図表5)

職業や役職について今後女性がもっと増える方がよいと思うのはどれか、という質問はこれまで選択肢を見直し、入替えながら継続してきました。今回新たに「小中学校・高校の教頭・副校長・校長」、「医師・歯科医師」、「企業の技術者・研究者」を加えたところ(複数回答)、「国会議員、地方議会議員」(58.3%)が最も多く、次いで「企業の管理職」(47.0%)、「閣僚(国務大臣)、都道府県・市区町村の首長」(46.1%)、「小中学校・高校の教頭・副校長・校長」(42.0%)、「国家公務員・地方公務員の管理職」(41.0%)等となっています。政治分野や企業、行政における管理職などの女性がもっと増える方がよい、という回答が多くなりました。


図表5 女性が増えるとよいと思う職業・職種


(6)男女共同参画に関する用語の認知度(図表6)

男女共同参画に関する言葉のうち、見たり聞いたりしたことがあるものを問う質問も、これまで継続して調査してきました。今回調査(複数回答)でも、「配偶者などからの暴力(DV)」が 82.1%、「男女雇用機会均等法」が80.1%と8割を超える高い認知度がありました。 次いで「男女共同参画社会」(66.6%)、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」(42.2%)、「ジェンダー(社会的・文化的に形成された性別)」(40.3%)等となっています。今回新たに選択肢に加わった「女性活躍推進法」は39.3%となりました。概ね24年調査から数値が上昇する結果となりました。


図表6 男女共同参画に関する用語の認知度


最後に

今回調査では、これまでに紹介したもののほかに、男女の平等感、ワーク・ライフ・バランス、女性に対する暴力、JKビジネス、旧姓使用などについての意識を問いました。

これら調査結果については、女性の活躍推進及び男女共同参画社会の形成の促進に向けた施策の検討及び実施に係る参考資料として活用していきます。

今回調査結果の詳細につきましては下記URLを御参照ください。

http://survey.gov-online.go.jp/h28/h28-danjo/index.html