平成24年版男女共同参画白書

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第1節 高齢男女をめぐる状況等

(高齢化の現状)

平成23年10月1日現在,我が国の総人口は1億2,780万人であった。一方で,高齢化率(総人口に占める高齢者人口の割合)は前年の23.0%から23.3%となり,男性では5人に1人,女性では4人に1人以上が65歳以上の高齢者となっている。75歳以上では6割以上を女性が占めている(第1-5-1表)。

第1-5-1表 高齢化の現状 別ウインドウで開きます
第1-5-1表 高齢化の現状

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(高齢単身世帯の増加)

孤立や貧困等の状況に置かれやすい高齢の単身世帯は,未婚や離婚が増える中で今後急速に増えていくと考えられる。特に単身世帯の割合の増加が著しいと予測されるのが男性である。平成42年(2030年)には女性は高齢者の5人に1人,男性は高齢者の6人に1人が一人暮らしの社会になると予測されている(第1-5-2図)。

第1-5-2図 65 歳以上人口に占める単独世帯数の将来推計 別ウインドウで開きます
第1-5-2図 65 歳以上人口に占める単独世帯数の将来推計

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(女性で高い相対的貧困率)

貧困の状況には男女で違いが見られ,高齢になると女性の相対的貧困率は男性の相対的貧困率を大きく上回るようになる(第1-5-3図)。特に高齢単身女性世帯や母子世帯の貧困率が高い状況が見られる(第1-5-4図)。

第1-5-3図 男女別・年齢階層別相対的貧困率(平成22年) 別ウインドウで開きます
第1-5-3図 男女別・年齢階層別相対的貧困率(平成22年)

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第1-5-4図 世代・世帯類型別相対的貧困率(平成19年, 22年) 別ウインドウで開きます
第1-5-4図 世代・世帯類型別相対的貧困率(平成19年, 22年)

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女性は家事・育児や介護等のために就業中断が生じやすいこと,給与所得が男性に対して低いこと,非正規雇用の割合が高いことなどの就労環境等により,所得や貯蓄が十分でないという状況がある。母子家庭の母の就業率が高いにもかかわらず,母子家庭の貧困率が高いという状況や,若い時からの働き方の影響と平均寿命の長期化とがあいまって,高齢期になるほど女性が経済的に厳しい状況に置かれるという状況が見られる。高齢者の中でも,経済的に厳しい状況に置かれているのが高齢単身女性である。中でも特に厳しい状況に置かれているのが離別女性である。離別女性は,夫の収入や遺族年金に頼ることもできず,安定した再就職もままならないことが少なくない。また,その3人に1人が年収120万円未満であるが(第1-5-5図),就労経歴を見ると,雇用者のうち約4割が非正規雇用中心であったことなどが影響しているとみられる(内閣府「高齢男女の自立した生活に関する調査」(平成20年))。

第1-5-5図 単身世帯(55~74歳)における低所得層の割合(年間収入) 別ウインドウで開きます
第1-5-5図 単身世帯(55~74歳)における低所得層の割合(年間収入)

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(単身男性の問題)

他方,男性については,単身男性の地域における孤立が深刻化している。内閣府「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査」(平成22年)では,「つきあいはほとんどない」割合は,男性の一人暮らし世帯の場合,同条件の女性の6.6%に対して,17.4%となっている(第1-5-6図)。また,「困ったときに頼れる人がいない」人の割合も,男性の一人暮らし世帯の場合は,同条件の女性が7.3%であるのに対して19.8%と高い(第1-5-7図)。男性で単身の場合は,約半数は子どもがいないため,家族による支えも期待しにくいといえる。

第1-5-6図 近所づきあいの程度 別ウインドウで開きます
第1-5-6図 近所づきあいの程度

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第1-5-7図 困ったときに頼れる人がいない人の割合 別ウインドウで開きます
第1-5-7図 困ったときに頼れる人がいない人の割合

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特に未婚の単身男性について,約1割が年収60万円未満であるなど,一部に経済的に厳しい状況があることも分かる(第1-5-5図(再掲))。

(多様な働き方~非正規雇用の増加)

雇用就業をめぐる状況が変化する中,非正規雇用が若年層も含めて増加傾向にある(第1-3-6図(再掲))。

非正規雇用者は,現状においては厚生年金等被用者保険の適用から除外されやすい状況にあるとの指摘もあり,その増加は将来において老後の生活設計を描きにくい層の増加に結び付く可能性がある。

(到達した教育段階が賃金等に及ぼす影響)

教育は価値観の形成・確立に大きな影響を与え,生涯を通じた知識・技能習得の基盤となって人的資本を形成し,生涯にわたって様々な影響を及ぼす。

相対的貧困率を,到達した教育段階(学歴)別に見ると,特に中学校卒業の若年の女性において高い傾向が見られる(第1-5-8図)。

第1-5-8図 男女別・学歴別・年齢階層別相対的貧困率(平成22年) 別ウインドウで開きます
第1-5-8図 男女別・学歴別・年齢階層別相対的貧困率(平成22年)

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この背景には,学歴によって異なる雇用形態や賃金水準等があると考えられる(第1-5-9図,第1-5-10図)。

第1-5-9図 男女別20~24歳層(在学者を除く)人口に占める正規雇用者の比率(平成19 年) 別ウインドウで開きます
第1-5-9図 男女別20~24歳層(在学者を除く)人口に占める正規雇用者の比率(平成19 年)

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第1-5-10図 雇用形態別・年齢階層別 時間当たり収入(15~34歳) 別ウインドウで開きます
第1-5-10図 雇用形態別・年齢階層別 時間当たり収入(15~34歳)

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一方,我が国の女性の高等教育在学率は,男性と比較しても,また先進諸国と比較しても低い傾向が見られる(第1-8-2図(再掲))。