平成16年版男女共同参画白書

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序説のポイント


第1節 法律・制度の充実と男女共同参画の進展

  • 「国際婦人年」である昭和50年(1975年)に第1回世界女性会議が開催されて以来,世界女性会議は4回開催されているが,そのほかにも,採択事項,宣言事項の検討など,様々な活動が行われてきた。日本も積極的にこれらの活動に参加し,会議での議論や採択事項に対応した形で,男女共同参画を推進するための国内本部機構の構築・充実,様々な法律の整備や制度の充実などを進めてきた。民間団体・企業等も国の法律・制度に敏感に対応し,それぞれの領域において男女共同参画の進展に努力してきている。
  • 昭和50年に,国内本部機構として内閣総理大臣を本部長とする婦人問題企画推進本部が設置され,事務局として婦人問題担当室が設けられたが,その後も国内本部機構の充実が図られてきた。平成6年(1994年)には,総理府に男女共同参画審議会及び男女共同参画室が設置され,13年(2001年)には中央省庁等改革に伴い,内閣府に男女共同参画会議及び男女共同参画局が設置され,現在の国内本部機構の姿となった。
  • 雇用分野の取組として一部企業においては,企業戦略の一環や企業の社会的責任として,女性の活躍の推進や働きやすい環境の整備に自主的に取り組もうとする動きが進んでいる。
  • 公務部門においては,女性の採用・登用の拡大のための取組を推進してきたが,国際的にみると,なお女性の採用・登用は低い水準にとどまっているため,近年はより積極的な措置が採られるようになった。

第2節 地域社会における男女共同参画の進展

  • 地方においても,男女共同参画の推進体制の整備,政策・方針決定過程への女性の参画の拡大など,男女共同参画社会に向けてのあゆみは着実に進展している。
  • NPO活動を始めとする地域活動が近年活発化しているが,その活動内容は福祉分野,地域づくりなど多様であり,女性が主体となって活躍し,貢献している好事例が注目される。
  • 地域社会における女性の活躍を支援するため,地域の実情に応じたチャレンジ支援の取組が始まっている。

第3節 男女の意識とライフステージ

  • 男女共同参画社会の実現のための制度的枠組みの整備状況に比較して,政治・行政分野,労働分野及び家庭内のいずれにおいても男女共同参画のあゆみが緩やかであると言えるが,背景の一つに男女の意識がある。
  • 女性の就業の増加は,女性の職業を肯定的にとらえる意識に支えられている。しかし,就業スタイルについては,女性に一時中断型就業を支持する者も依然として多く,中断なし就業を望む男性の意識との間に差が生じている。これは女性が就業している場合でも家事・育児を主に女性が行っている状況が背景にあると思われる。
  • 「夫は外で働き妻は家庭を守る」という固定的性別役割分担の考え方に反対する割合は大幅に増加しているが,依然として現在も半数近くが賛成しており,男女とも反対と賛成の割合がほぼ拮抗している。性別では,女性より男性の方が賛成する割合が高く,世代別でみると,20歳代,30歳代の女性で反対が多い。しかしこの世代の女性でも,結婚後は自分自身のことよりも夫や子どもなど家族を中心に考えて生活した方がよいと考える人の割合が半数近くになっている。
  • 男女ともライフサイクルが伸び,それぞれのライフステージにおける出来事が総じて遅くなっているが,比較的多様な選択が可能になってきている現在,いかなる人生を送るのかを主体的に考えることがますます重要となってきている。
  • 若年層の就職環境は悪化している。また,若年女性雇用者数を就業形態別にみると,正規雇用者は近年減少が続いている一方,正規雇用に比べて労働条件が不利であることの多い非正規雇用が増加している。
  • 非婚化・晩婚化が進展しているが,特に男性は結婚の必要性を感じないとする者が一貫して増加しており未婚率も上昇している。
  • 育児のために仕事を辞める女性は少なくないが,その要因の一つとして共働き世帯においても妻に家事・育児の負担が偏っており,妻が仕事も家事・育児も担っている状況が挙げられる。これは,固定的性別役割分担意識がいまだ根強いということでもあるが,男性が仕事に忙しく家事・育児を行う余裕がないということでもある。また,女性の再就職はパートタイムが多くなっており,共働き世帯における妻の収入は補助的なものにとどまっている。
  • 長寿化が進展しており,生涯設計を考える重要性は増している。夫婦と子ども2人の世帯を設定して,妻が出産後退職し,末子が小学校に入学した時にパートタイムで再就職した場合における,生涯にわたる収入と支出を試算すると,生涯収支は黒字となるが,結婚後の妻のパートタイム勤務の収入分が無ければ生涯収支の黒字分の大半は無くなり,家計には厳しい状況となっている。また,この試算は年功序列的な賃金構造や現行の社会保険制度等を前提としており,今後は必ずしも十分に期待できる収入ではないと考えられ,その分家計収入に占める女性の収入の割合が高まると見込まれる。

おわりに

  • 女性が男性とともに職場や地域の場でその個性と能力を十分に発揮する機会が保障され,男女共同参画が進展することによって初めて,日本の社会・経済の明るい未来への展望が開けてくると言える。
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