6.国際機関等への日本の女性の参画状況

5 男女共同参画2000年プラン-男女共同参画社会の形成の促進に関する平成12年(西暦2000年)度までの国内行動計画-(抜粋)

平 成 8 年 12 月 13 日
男女共同参画推進本部決定

第2部 施策の基本的方向と具体的施策

I 男女共同参画を推進する社会システムの構築

  1 施策・方針決定過程への女性の参画の拡大

施策の基本的方向

   

具体的施策 担 当 省 庁

政策・方針決定過程への女性の参画は、民主主義の要請であるのみでなく、政策に女性の関心事項が反映されるための必要条件でもある。このため、ナイロビ将来戦略勧告において、意思決定レベルの地位における女性比率を1995年までに30%にするという国際的目標が提示されたが、特に我が国については、公的分野・私的分野を問わず国際的に見て極めて遅れた状況にある。
 しかしながら、我が国においても、審議会等委員への女性の参画の促進のように、目標と達成期限を定める等の方法により一定の成果を上げた取組もある。こうした経験をいかしつつ、まず、政府が率先垂範して政策・方針決定過程への女性の参画の促進について取組を進めるとともに、地方公共団体、企業、各種機関・団体等に対し広く協力要請を行い、その取組を支援する。
 その際、より実効ある取組を進めるという観点から、女性の人材等に関する情報の収集・整備・提供に努めるとともに、諸外国において導入されているポジティブ・アクション(*)について、あらゆる分野において積極的に導入が図られるよう自主的な取組を奨励する。また、我が国におけるポジティブ・アクションの一層の取り入れについて、総合的な検討を行う。

   
(1) 国の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
 公的分野・私的分野を問わず、あらゆる分野において、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大は重要であるが、特に行政の分野については、施策の対象の半数を女性が占め、また、同様に施策の影響も受けることから、とりわけ積極的に進める必要がある。このため、審議会等委員及び国家公務員を中心に国は率先して女性の参画の拡大のための取組を進める。
 審議会等委員への女性の参画の拡大については、平成8年5月21日付け男女共同参画推進本部決定に従い、ナイロビ将来戦略勧告の掲げる「指導的地位に就く女性の割合を少なくとも30%にまで増やす」という国際的目標をおよそ10年程度の間に達成するとともに、当面、平成12年(西暦2000年)度末までのできるだけ早い時期に20%を達成するよう努める。また、女性国家公務員についても、平等取扱いの原則及び成績主義の原則を踏まえ、「男女共同参画社会を目指す中において、女性の一層の活用を図るよう、計画的な人材育成を進める必要がある」旨の平成8年8月1日付け人事院勧告の際の報告も念頭に置きつつ、採用、登用、職域の拡大及び研修・訓練の機会の積極的活用による能力の開発を計画的に促進する。
ア 国の審議会等委員への女性の参画の促進
女性委員の参画状況の定期的な把握等による目標の早期達成
 男女共同参画推進本部が決定した目標の早期達成のため、各審議会の女性委員の人数及び比率を定期的に調査・分析・公表しつつ、計画的に取組を進める。また、引き続き女性委員のいない審議会の解消を目指す。
団体推薦及び職務指定に係る委員への女性の参画の促進
 団体推薦による女性委員が少なく、全体の女性比率を押し下げていることから、審議会に委員を推薦している団体等に対し協力を要請し、特に、推薦委員数が多い団体等については、国の目標値に見合った女性比率が確保されるよ、格段の協力を依頼する。
 職務指定についても、法令においては一定の裁量が与えられているにもかかわらず、運用上、特定の職務にある者や団体の長の登用が慣例化していることが少なくないことから、これらの必然性につき検討を行い、可能なものについては柔軟な対応を検討する。
・その他の委員等への女性の参画を促進するための取組
 法律に基づいて任命・委嘱される委員、国が委嘱する各種のモニター等についても、女性の参画を促進する。

イ 女性国家公務員の採用・登用等の促進
・女性国家公務員の採用・登用等の促進
 女性国家公務員の採用、登用、職域拡大及び能力開発を一層推進する。その際、現状について定期的に把握・分析しながら計画的に取り組むことが効果的であるとの観点から、採用、昇進等の状況を定期的に調査・公表し、改善が必要とされた課題への取組を示した計画を策定することを検討する。

全 省 庁

(2) 地方公共団体等における取組の支援、協力要請
 住民に身近な行政に携わる地方公共団体の政策決定は、一人一人の住民の生活に大きな影響を与えることから、国と同様に地方公共団体における政策・方針決定過程への女性の参画の拡大が望まれる。既にほとんどの都道府県・指定都市において、審議会等委員や公務員への女性の登用を促進する取組が行われてきていることから、これがさらに推進されるよう支援・協力要請を行う。
 また、このような取組を市区町村にも普及するための助言を行うよう、都道府県・政令指定都市に対し協力を要請する。

ア 審議会等委員への女性の参画に関する取組の支援
都道府県・指定都市等における審議会等委員への女性の登用に関する支援
 各都道府県・指定都市・中都市が設定している審議会等委員への女性の参画に関する目標値や、これを達成するための様々な取組、女性比率の現状等を調査し取りまとめて提供するとともに、女性の人材に関する情報を提供する。
市区町村への取組の普及
 市区町村における同様の取組を促進するため、都道府県・指定都市が市区町村に支援と助言を行うよう協力を要請する。また、都道府県・指定都市と市区町村が女性の人材情報を共有できるよう双方に協力を要請する。
 男女共同参画宣言都市に対しては、こうした取組を特に積極的に行うよう奨V励する。

イ 女性地方公務員の採用・登用等に関する協力要請
女性地方公務員の採用・登用等に関する協力要請
 女性地方公務員の採用、登用、職域の拡大及び能力開発について積極的に取り組むよう協力を要請する。
 婦人警察官の積極的採用、登用、職域の拡大及び能力開発についても推進に努める。

全 省 庁

(3) 企業、教育・研究機関、その他各種機関・団体等の取組の支援  政治、経済、社会、文化などあらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画の拡について広く協力要請を行う。その際、政策・方針決定過程に多様な背景を持った者が参画することによって生み出される新たな発想や価値観が、組織全体に有形・無形のメリットをもたらすことについて理解を促す。  また、ポジティブ・アクションに自主的に取り組むことを奨励する。

社会的気運の醸成
 あらゆる機会を通じて、女性の登用等について企業、労働組合、経営者団体、教育・研究機関、PTA、政党、協同組合等各種機関・団体等に協力要請を行うとともに、社会的気運の醸成を図る。その際、ポジティブ・アクションに関する情報の提供等により、可能な範囲で、そうした実効ある方策が取り入れられるよう協力を要請する。
グラス・シーリング(*)解消のための取組
 企業における女性管理職の登用、あるいは労使団体における方針決定過程への女性の参画を進めるため、いわゆるグラス・シーリングの解消についての先進諸国の取組の紹介、関係者との交流等を実施し、企業等における女性登用についての理解を促進する。
大学等への協力要請
 大学を始めとする高等教育機関に対して、女性の教員への採用に配慮した教員採用に努めるなど女性の参画を促進するよう協力を要請する。

全 省 庁

(4) 調査の実施及び情報・資料の収集、提供


 政策・方針決定への女性の参画に関し、様々な分野における現状や問題点を定期的に調査・分析するとともに、我が国への一層の取り入れが期待されているポジティブ・アクションについて総合的な検討を行う。また、女性の人材に関する情報の収集・整備・提供に努める。

ア 政策・方針決定参画に関する調査・研究の実施等


ポジティブ・アクションの検討
 我が国における新たなポジティブ・アクション導入の可能性について、憲法に定める法の下の平等等の法規範との整合性を踏まえ、諸外国において多様な形態で採用されているポジティブ・アクションの実態を参考にしつつ、導入可能な分野、手法、コスト、実効性を担保する仕組み等につき総合的に検討する。
 また、女性の参画が政策・方針決定へ与える影響や女性が政策・方針決定に参画しやすい環境づくり等に関し調査・研究する。
女性の政策・方針決定過程への参画状況に関する定期的な調査の実施
 様々な分野における、女性の政策・方針決定過程への参画状況につき定期的に調査を行い、情報を提供する。
イ 女性の人材に関する情報の収集・整備・提供
女性の人材に関するデータベースの構築及びネットワーク化の検討
 女性の人材に関する幅広い情報を収集し、随時活用できるようなデータベースを構築する。地方公共団体における同様の取組を積極的に支援し、こうした情報が相互に利用できるようネットワーク化についても検討を行う。
女性リーダーの養成
 地方公共団体やNGO等が行う女性リーダーの養成事業について支援を行う。
全 省 庁

*ポジティブ・アクション(positive action):過去における社会的・構造的な差別によって、現在不利益をこうむっている集団(女性や人種的マイノリティー)に対して、一定の範囲で特別な機会を提供すること等により、実質的な機会均等を実現することを目的とした、暫定的な措置。

*グラス・シーリング(glass ceiling):ガラスの天井の意。女性の能力発揮を妨げ、企業における上級管理職への昇進や、労使団体等における意思決定の場への登用を阻害している見えない障壁。

II 職場・家庭・地球における男女共同参画の実現

4 農山漁村におけるパートナーシップの確立(抄)

施策の基本的方向

   

具体的施策 担 当 省 庁
(2) 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
 農林水産業において女性の果たしている役割の重要性に照らして、地域の生産・生活に関するあらゆる方針決定の場において、今後、女性の参画を飛躍的に高めていくための施策を推進する。
政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
 農業協同組合、森林組合及び漁業協同組合に女性が正組合員として加入することを一層促進する。また、女性の意思を組合の運営に反映させるため、役員や農業委員への女性の登用や方針決定過程への参画を促進する。さらに、土地改良区の役員、地域開発事業の計画策定の委員等に女性の参画を進める方策を検討する。
能力の開発と適正な評価
 意欲のある女性が地域における方針決定に参画する上で必要な能力を開発するための研修等を実施する。また、女性の職業、生活管理・地域活動指導等での能力について、地域社会での適正な評価を確保するため、女性農業士等の認定を推奨する。
農林水産省

IV 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献

11 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献(抄)

施策の基本的方向

   

具体的施策 担 当 省 庁

(2) 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献
 「政府開発援助大綱」(平成4年6月30日閣議決定)は、援助の効果的実施のための方策の一つとして「開発への女性の積極的参加及び開発からの女性の受益の確保について十分に配慮する」旨を明記している。これを踏まえ、第4回世界女性会議において発表した「途上国の女性支援(WID:Women in Development)イニシアティブ」に沿って、開発援助の実施に当たり、就学、就業、出産、経済・社会活動といった女性の一生のすべての段階を通じて、女性の地位の強化と男女格差の是正に配慮し、特に、教育、健康、経済・社会活動への参加の3つの分野を重視し、開発途上国及び他の援助国、国際機関、NGOとも協力しつつ、WID分野の開発援助の拡充に努力する。
 その際、国際協力に携わる者のWIDやジェンダーに関する認識の向上も促進する。
 また、国連を中心として展開される世界の女性の地位向上のための諸活動に対する積極的な協力、平和への女性の貢献の促進、国際交流の推進等を進める。
 なお、地球社会の「平等・開発・平和」の推進に当たっては、内外のNGOが重要な役割を果たしており、これらのNGOとの協力、連携を図りつつ取組を進める。    

 

エ 国際分野における政策・方針決定過程への女性の参画の促進
国際分野における政策・方針決定過程への女性の参画の促進
 国際分野における政策決定の場において、女性が積極的な役割を果たし、地球社会の平等・開発・平和に貢献できるよう、国際機関、国際会議への女性の参加を促進する。