特集2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2026
内閣府男女共同参画局総務課
令和8年6月25日に、全閣僚からなる「すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部合同会議」を開催し、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2026(女性版骨太の方針2026)」を決定しました。
今回は、本重点方針の概要や具体策についてご紹介します。
「女性活躍・男女共同参画の重点方針」について
政府では、5年に1度、男女共同参画社会基本法1に基づき、施策の基本的な方向性や成果目標などを示す「男女共同参画基本計画」を策定しています。また、毎年6月を目途に、当該基本計画の実行性確保と施策の充実強化を図るため、政府全体として重点的に取り組むべき事項を「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)」として決定しています。

すべての女性が輝く社会づくり本部(第16回)・男女共同参画推進本部(第26回)合同会議の様子
背景・基本的な方針
女性活躍・男女共同参画は、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会の実現や、我が国の経済社会の持続的発展において不可欠な要素です。
本重点方針では、取組の前提として、本年3月に閣議決定した「第6次男女共同参画基本計画」に基づき、女性活躍・男女共同参画に係る施策を一層強力に推進していくこととしています。
我が国の女性活躍は、政策面での充実や、経済団体や企業による取組が進められた結果、女性の就業者数・就業率の増加や役員・管理職に占める女性割合の上昇などの成果を上げてきています。本重点方針では、こうした成果の上に立ち、女性活躍の裾野を更に広げるとともに、一段高いレベルで進めていくため、従来からの取組に加え、以下のとおり、「健康」・「成長戦略分野」・「地域」の3つを重点分野として焦点を当てて、戦略的、体系的に取組を強化していくこととしています。
主な具体策について
Ⅰ 女性の生涯にわたる健康支援について
「健康」は、個人の生活の質に直結する課題であるとともに、社会において持てる力を十分に発揮する上でも重要です。女性は男性よりも若年期から様々な健康課題と向き合うことが多く、性差に由来する健康課題への対応や、ライフステージに応じた支援など、生涯にわたり女性が適切な健康支援を受けることができるよう、以下の取組を推進します。
(1)「女性の健康総合センター」の機能強化、性差に由来する健康課題に対応する医療の推進
令和6年に開所された「女性の健康総合センター」の機能強化のため、同センターにおける研究の推進や、データ収集・分析機能の充実を図ります。また、更年期障害に苦しむ男女や骨粗しょう症、関節リウマチなどによって中高年期の女性に起こる症状を抱える方が、適切な診断を通じ専門的医療にアクセスできるよう、診療領域を横断した考え方に基づいたガイダンスを作成し、この考え方を、研修等を通じて医療機関に周知するとともに、更年期世代の女性の健康課題に対応できる医療機関を見える化する方策を検討します。さらに、女性の健康課題に関するリテラシー向上のため、ポータルサイトにおいて科学的根拠に基づく情報提供を推進するほか、心身の不調を抱える女性が、自らの情報を活用し、円滑な受診につなげるためのツールの開発・活用を検討します。
女性特有、男性特有の病気の総患者数(年齢階級別、令和5年)

(2)ライフステージに応じた性差に由来する健康課題への対応の推進
全ての女性が、ライフステージごとの健康課題に向き合いながら、学業、仕事、育児、介護、社会活動等との両立を図り、その能力を十分に発揮できる環境を整備するため、学校における月経随伴症状への理解促進や、職場における女性の健康支援の取組を促進します。また、骨粗しょう症検診や子宮頸がん検診・乳がん検診の受診率等の向上を図ることに加え、市町村による健診・検診の受診率向上のための取組を進めます。
(3)企業・保険者等における対応の推進
企業等による健康投資の加速に向け、事業主が保険者と連携して社員の健康づくりを行う仕組みであるコラボヘルスの強化を行うとともに、健康経営優良法人の認定を受けた中小企業に対する補助金についての加点措置のインセンティブを実施します。また、ヘルスケア産業の創出・振興に向けて、フェムテック分野等において、エビデンスに基づくサービス開発を行う事業者への支援を行います。
Ⅱ 17の戦略分野における女性活躍
政府では、我が国経済の更なる成長の実現を目指しており、今後成長戦略を講じていく17の戦略分野(以下「戦略分野」といいます。)を定めています。
戦略分野における女性の活躍は、多様な視点によるイノベーションや担い手の拡大に加えて、女性の所得向上にも資する重要なものです。しかし、戦略分野では、総じて、労働者・管理職・役員に占める女性の割合が低いなど、女性の進出、活躍が進んでおらず、特に、理系人材が不足している状況です。本重点方針では、このような戦略分野における女性活躍の状況を「のびしろ」と捉え、女性活躍を更に進めていくため、以下の取組を推進します。
(1)「文理の壁」打破と各領域での女性活躍に向けた人材育成
理工系女子人材の倍増に向け、大学の工学系学部の女子学生数割合について、直近の状況(2025年、18%)から2040年に36%への倍増を目指し、戦略分野への学部等の新設・転換の推進や理工系への進路選択のための取組などを進めます。また、大学等における理工系女子学生等の増加に向けた取組や、専門高校・専門学校・高校教育における人材育成を推進します。さらに、女子児童・生徒、保護者等の理工系等への興味・関心を高め、理工系等への進路選択を促進するため、戦略分野における理工系分野等において活躍する身近なロールモデル等について積極的に情報発信を行います。
大学(学部)・高専の学生の男女比率(専攻分野別・令和7年度)

(2)女性が能力を発揮でき、希望に応じて全方位型で活躍できる基盤の構築
女性が働きやすく、能力を発揮し活躍できる職場環境の整備のため、ロボットの開発や遠隔操作の導入を促進するとともに、女性用トイレや更衣室の整備などの企業の好事例の周知に取り組みます。
(3)女性活躍・就業継続のための環境整備と企業等の行動変容
働く女性が子育てや介護等によりキャリアを諦めることなく就業を継続できる環境整備に向けて、家事支援サービスやベビーシッターを安心して利用することができるよう、家事支援サービスの国家資格の創設等による品質・信頼性の向上を前提として、税制措置を含む支援策の検討を行います。また、仕事と子育て・介護等との両立支援、ハラスメント対策、多様で柔軟な働き方の実現に向けた取組や、企業における役員や管理職への女性の登用を促進します。
Ⅲ 女性が活躍でき、暮らしやすい地域づくり
本年4月に本格施行された改正男女共同参画社会基本法により、地方公共団体は、関係者相互間の連携と協働を促進するための拠点(男女共同参画センター)としての機能を担う体制を確保するように努めることとされました。また、関係者相互間の連携・協働の促進等を行う中核的な機関として本年4月に独立行政法人男女共同参画機構(以下「JGEPA」といいます。)が発足しました。国レベルでの法制度の整備のみならず、男女共同参画の取組の裾野を全国各地の地域や多様な主体に広げていくことが、ひとりひとりの女性の経済的自立・所得向上、多様な働き方の実現、地域活動の充実とともに、人口減少が進む中において持続可能で活力ある地域社会を実現するために極めて重要であるとの認識の下、以下の取組を推進します。
(1)地域の様々な主体の連携・協働の強化
地域の市民社会・若者・経済界・労働界等様々な主体の連携・協働の強化に向け、地方公共団体において男女共同参画センターの機能を担う体制が確保され法に定められた役割を十全に果たせるよう、「男女共同参画センターにおける業務及び運営についてのガイドライン」の周知徹底を図るともに、地域女性活躍推進交付金等により、男女共同参画センターが行う事業者団体や企業、大学、教育委員会や学校、地域コミュニティ、女性団体、若者等と連携・協働した取組を推進します。
また、JGEPAにおいて、様々な全国団体や関係機関とのネットワーク構築、統計データ等を地域別に集計・整理・分析するとともに、自治体職員向けの研修の質や量の向上と体系化や、情報プラットフォームの構築に向けた制度設計などに取り組み、地方公共団体の支援を行います。
(2)強い地域経済の構築の基盤となる女性人材の育成と就業機会の創出
産学官の連携等による地域産業に必要な女性人材の育成や地域における就業機会の創出は、「女性が活躍でき、暮らしやすい地域づくり」を実現するとともに、地域の経済基盤の強化にも資するものです。このため、「地域未来戦略」との連携による女性活躍推進に向けた取組を推進するともに、農林水産業分野における女性の参画・登用促進に向けて、研修を通じた女性リーダー・農業経営者の育成や、女性林業従事者が活躍できる就業環境整備に向けた雇用主向け研修の支援、農林水産団体等の理事等の女性割合の向上に向けた地方公共団体への働きかけ等に取り組みます。
(3)地域社会を支える男女共同参画の推進
ハラスメント防止のための取組等の実施状況やネットワーク形成等に係る情報収集、女性の政治参画の障壁の解消に向けた調査等を通じて、女性の政治参画の拡大に取り組むとともに、地方公共団体における女性職員の活躍や働き方改革の好事例の収集・周知を行うほか、地方公共団体に設置されている審議会等の委員への女性の参画状況を調査・提供すること等により、審議会等委員への女性の参画を促進します。また、地域活動における男女共同参画を推進するため、自治会における女性登用の現状や課題、取組事例等についての情報収集や分析を進めます。
Ⅳ 安全・安心が確保される社会の実現等
Ⅰ~Ⅲの取組を進める前提として、個人の人権が尊重され、誰もが安全・安心に生活ができる環境整備のため、以下の取組を推進します。
(1)性犯罪・性暴力や配偶者等への暴力への対策などの取組強化
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターと地域における関係機関等とのネットワーク強化を図るとともに、支援員の処遇改善等、人材確保・体制強化に向けた支援の充実に取り組みます。また、こどもに対する性犯罪・性暴力への対策として、こども性暴力防止法2の円滑な施行に向けた取組を推進するとともに、児童福祉法3や教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律4を踏まえたデータベースの活用徹底や厳正な対処等に取り組みます。また、DⅤへの対策の強化に向けて、加害者プログラムの普及推進を行うほか、ストーカー対策の強化として、禁止命令等を受けた加害者全員に対しカウンセリング等を受けるよう働きかける取組を推進します。
(2)男女共同参画の視点からの防災の推進
女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配慮された男女共同参画の視点からの災害対応が行われることが、防災・減災及び災害に強い社会の実現にとって必須であることから、意思決定の場や災害対応の現場への女性の参画、避難生活等における女性と男性の安全・安心の確保、平常時から防災に取り組む女性人材(女性防災リーダー)への支援などを強化します。
(3)WPS(女性・平和・安全保障)の視点からの取組の強化
「第3次女性・平和・安全保障に関する行動計画(2023-2028年度)」も踏まえ、国内の防災・消防・災害対応においてもWPS(Women, Peace and Security:女性・平和・安全保障)を着実に実施するとともに、我が国の経験や好事例を他国に共有する取組を推進します。
むすびに
今回決定した重点方針に基づき、関係府省一体となって取組を進めてまいります。より詳細な考え方や具体策については、以下のリンクから資料を御覧ください。
詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/sokushin.html

1 平成11年法律第78号
2 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(令和6年法律第69号)
3 昭和22年法律第164号
4 令和3年法律第57号