特集1
令和8年版男女共同参画白書
内閣府男女共同参画局総務課調査室
令和8年版男女共同参画白書が7月10日に閣議決定・公表されました。この白書は、「男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)」に基づいて国会に毎年報告されるもので、法定白書として通算で27回目となります。
【 白 書 構 成 】
1 令和7年度男女共同参画社会の形成の状況
特 集 仕事や職業キャリアに関する女性の学び直し・暮らしを充実させる男性の学び直し~学び直しの現状と分析~
2 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第1部 令和7年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第2部 令和8年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

令和8年版男女共同参画白書の特集は、「仕事や職業キャリアに関する女性の学び直し・暮らしを充実させる男性の学び直し~学び直しの現状と分析~」をテーマにしています。女性も男性も暮らしやすい多様な幸せ(well-being)の実現に向けて、政府統計や新たに実施した意識調査の結果等を用いて、社会環境の変化と学び直しに対する人々の意識について明らかにするとともに、多様な学び直しの促進の重要性とその支援の在り方について考察しています。
以下、特集のポイントをご紹介します。
Ⅰ 人生100年時代における生活や社会構造の変化
近年、平均寿命・健康寿命が延伸するとともに、女性・高齢者の就業率の向上を含め、働き方や社会構造に大きな変化が見られます。長い人生を見据え、「教育、仕事、老後」という単線型の人生設計ではなく、人生のステージに応じた多様な働き方、生き方を選択できることが男女を問わず重要となっています。
こうした中で、いわゆる「L字カーブ」を始めとする男女間の格差は依然として存在しています。令和4年の調査では、職業訓練や自己啓発をした者の割合をみると、女性22.2%、男性30.1%と、女性は男性に比べて低くなっています(図1)。
他方で、役割や居場所を持つことは、長い人生を豊かにする大切な要素と考えられるところ、令和4年度の調査によると、男性は女性に比べて、孤独や社会的孤立に陥りやすい傾向があることが明らかとなっています。
また、デジタル分野を始めとするテクノロジーの進展は、生産性の向上、就業環境の改善、生涯にわたる質の高い教育や医療の提供、行政サービスのアクセス向上等を通じて、女性も男性も暮らしやすく、多様な幸せ(well-being)が実現される男女共同参画社会の形成に大きく寄与していく可能性があります。一方で、急速なテクノロジーの進展には、そのスピードに取り残される可能性(デジタルデバイド)の存在やAIのもたらし得るリスク等、負の側面があり、デジタルリテラシーの向上を含め対応していく必要があります。
以上のような社会の変化に対応するため、人生100年時代において多様な働き方、学び方及び生き方の選択肢を広げ、誰もが継続して学び続けられる環境の重要性について整理をしました。
図1 職業訓練・自己啓発をした者の数及び割合(男女、年齢各歳別・令和4年)

Ⅱ 人生を豊かにする学び直しへの意欲と障壁
令和7年度に内閣府男女共同参画局で実施した意識調査によると、「何歳になっても、能力を伸ばし続けることができる」という考え方について「そう思う(計)」とする者の割合は、女性が47.5%、男性が37.9%でした。また、「社会の変化に対応するために、学び続けることが必要だ」という考え方に対し、「そう思う(計)」とする者の割合は、女性が44.7%、男性は40.3%になっています。以上のとおり、相当の割合の人々が、学びの一般的な意義・必要性を認めています。特に中高年の女性でその割合が高くなっています(図2)。
他方、学びの経験と普段の暮らしの中での役割や居場所について聞いたところ、男女ともに、1年以内に学んでいる者は、そうでない者に比べ、現在の普段の暮らしの中で自分の役割や居場所が「あると思う」とする者の割合が顕著に高くなっています。
しかし、学び直しの意欲があっても、実際に学び直しを行っている者は多いとはいえません。仕事や職業キャリアに関する学び直しについて、「学ぶ意欲がある」と答えている者のうち、女性の約7割、男性の約6割が「学ぶ意欲があるが、過去1年以内に学んでいない」と回答しています。暮らしを充実させる学び直しについても、男女とも7割前後の者が「学ぶ意欲がある」と答えていますが、その半分以上は「学ぶ意欲はあるが、過去1年以内に学んでいない」としています。
「学び直しへの障壁」について聞いてみると、仕事や職業キャリアに関する学び直しについては、女性では「金銭的余裕がない」、「学んでも収入アップにつながらない」、「何を学んでいいか分からない」の順に多く、一方、男性では「金銭的余裕がない」、「仕事が忙しくて時間がない」、「学んでも収入アップにつながらない」の順に高くなっています。男女差をみると「家事・育児・介護等が忙しくて時間がない」において最も差が大きく、女性の方が男性より7.4%ポイント高くなっています。次いで「金銭的余裕がない」、「何を学んでいいか分からない」等においても、女性の方が高くなっている一方、「仕事が忙しくて時間がない」等は男性が高くなっています(図3-1)。他方、暮らしを充実させる学び直しへの障壁については、女性では「学ぶための費用がかかるから」、「何を学んでいいか分からないから」の順に、男性では、「仕事が忙しくて時間がないから」、「何を学んでいいか分からないから」の順に高くなっています。男女差をみると、「家事・育児・介護等が忙しくて時間がないから」において最も差が大きく、女性の方が6.9%ポイント高くなっている一方、「仕事が忙しくて時間がないから」、「学んでも職場などから評価されないから」は男性の方が高くなっています(図3-2)。
図2 学びに関連する意識(男女、年代別)

図3-1 仕事や職業キャリアに関する学び直しへの障壁(男女、年代別・有業者又は就業意向のある無業者)

図3-2 暮らしを充実させる学び直しへの障壁(男女、年代別)

Ⅲ 多様な豊かさを実現できる社会の形成に向けた学び直しの促進
人生100年時代においては、女性も男性も働き方や学ぶ機会、地域活動の形態が多様化・重層化していきます。このような状況の下では、従来の単線型の人生設計にとどまらず、個人の状況や希望に応じて、多様な形態の就労や社会参加を通じ、多様な豊かさや生活を実現していくことが可能になります。長い人生を豊かに暮らしていくためには、仕事や職業キャリアに関する分野とともに、暮らしを充実させる分野での学びを生涯にわたって続けていくことが重要です。
今回の内閣府の調査結果も踏まえると、経済的事情、仕事や家庭の事情を理由とした時間的制約、学び直しに対する情報の不足や不安などの様々な障壁が存在することが明らかになりました。学び直しの障壁における男女の傾向の差も踏まえ、地域の実情に応じた課題の解決に資する多様な学び直しの機会を提供することが重要です。学び直しは、各人の意思や関心に基づき、主体的に取り組むことが基本ですが、社会の側の環境整備が果たすことができる役割は少なくないということが考えられます。
学び直しに意欲を持つ者が直面するこれら学び直しへの障壁の解消に当たっては、経済的事情にも配慮した教材やプログラムの提供、就業環境の改善を通じた学び直しに充てられる時間の確保、学び直しのイメージの具体化及び地域社会の課題解決にも資するような、具体的な学び直しのテーマや機会の積極的な提示、単なる講座等の実施にとどまらない伴走型の支援を含めたプログラムの提供などが重要と考えられます。
特に、男女共同参画社会の形成の観点においては、地域における連携・協働の拠点である男女共同参画センターが、地域の実情に応じた課題を解決できる支援を充実していくことが重要と考えられます。「人生を豊かにする学び直し」の促進により、個人の成長のみならず、地域・社会課題の解決が図られ、ひいては我が国の経済成長などを通じて、女性も男性も暮らしやすい多様な幸せ(well-being)の実現する社会の形成が促進されることが望まれます。
令和8年版男女共同参画白書は男女共同参画局のHPに掲載しています。
こちらからご覧ください。
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/index.html