トピックス1
女性用トイレの行列問題の改善に向けた取組について
駅や商業施設、イベント会場などで発生している女性用トイレの行列問題について、関係府省が連携し、実態調査や好事例収集、設置数基準の見直し等を進めています。国土交通省では、事例集の作成やガイドライン策定を通じ、誰もが安心して快適に利用できるトイレ環境整備に取り組んでいます。
国土交通省総合政策局共生社会政策課
1.女性用トイレの行列問題と社会的背景
駅や商業施設、イベント会場などにおいて、女性用トイレの行列が発生し、多くの利用者が不便を感じています。背景には、女性の社会進出等に伴う利用実態の変化や、トイレの洋式化等による利用環境の変化等があります。一方、既存施設の多くはこうした変化を十分に踏まえた設計となっておらず、混雑や待ち時間の発生につながっていると考えられています。
こうした状況を踏まえ、「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針2025)」において、女性用トイレの利用環境の改善が位置付けられました。
2.関係府省連携の実態調査と好事例収集
これまでも国土交通省では、バリアフリーやユニバーサルデザインの観点から、誰もが利用しやすいトイレ環境の整備を進めてきました。
女性用トイレの行列問題への対応に当たっては、内閣官房、内閣府、国土交通省、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が連携し、関係府省連絡会議を開催しています。会議では①好事例の収集と普遍化、②トイレ設置数に係る基準の点検・見直しについて議論するとともに、③仮設トイレに係る緊急の呼びかけを行いました。
こうした取組の基礎となる実態把握のため、国土交通省では、国土交通行政インターネットモニターを対象としたアンケート調査や、関係府省と連携し、鉄道駅、高速道路のサービスエリア・パーキングエリア、商業施設等の幅広い施設を対象として実態調査や好事例収集を実施しました。アンケート調査では、女性利用者から「待ち時間が長い」といった不満が多く寄せられていることが確認されました。一方、事業者を対象とした実態調査では、駅や空港、道の駅、スタジアム・アリーナなど多くの施設において、女性便器数が男性便器数(大便器と小便器の合計)以下となっている実態も確認されました。
3.事例集の作成と全国的な横展開
国土交通省を含む関係府省において収集した好事例を広く共有し、全国的な横展開を図るため、内閣府が「女性用トイレ行列解消に向けた課題対策事例集」および「施設事例集」をとりまとめました。事例集では、鉄道駅や高速道路のサービスエリア・パーキングエリア、商業施設等における改善事例として、空室情報の提供による利用分散や動線改善、男女のトイレ区画の柔軟な運用など、既存施設でも導入可能な工夫を取り上げています。

JR西日本大阪駅のトイレにおいて、利用率の変化に対応できるよう、男女間で可動式間仕切りを設置

東北自動車道佐野SA(下り線)のトイレにおいて、トイレ満空表示モニタ(左)、トイレブース使用状況表示器(右)を設置
4.協議会での基準見直しとガイドライン策定
さらに、国土交通省では、「トイレ設置数の基準と適用のあり方に関する協議会」を設置し、トイレの便器数に係る基準の点検・見直しに関する基本的な考え方等について検討を進めてきました。協議会は、学識経験者、関係事業者、自治体等のように多岐に渡る関係者が出席しており、今後の対応方針について、活発な議論が行われました。
協議会では、単純な便器数の比較にとどまらず、施設の用途や利用者の属性、時期・時間帯等も考慮しながら、多様な利用実態に対応するための考え方を整理しました。また、ハード面の整備に加え、空室表示や混雑情報の提供など、デジタル技術を活用した運用面での対応についても、議論が行われました。
こうした議論に加え、令和8年3月から4月にかけて実施した、パブリックコメントの結果も踏まえ、「トイレの便器数に係る基準と適用のあり方に関するガイドライン」を策定しました。
ガイドラインでは、トイレの便器数に関する「基準のあり方」、その基準の「適用のあり方」、その他の「行列改善に向けた取組」の3つの観点から対応方針を示しています。
具体的には、便器数に関する基準を策定する学会や行政、施設管理者等が、基準の点検・見直しを行う際の基本的な考え方として、
① 利用者構成や占有時間の変化等を踏まえ、男女問わず快適にトイレを利用できる基準とすること。
② 男女の性差を踏まえ、トイレの待ち時間が平等になるように、原則として、利用者が概ね男女同数である施設においては女性便器数が男性便器数(大便器と小便器の合計)以上となる基準とすること。
を示しています。さらに、基準を適用する際には、実態調査等によるデータを活用しながら施設ごとの利用実態に応じた調整を行うことや、必要となる便器数や設備を踏まえた適切なトイレの面積の設定を求めています。また、行列改善に向けた取組として、便器数の増設に加え、イベント等で利用者の男女比が大きく変動する施設においては、男女の便器数を柔軟に調整できる仕組みの導入なども推奨しています。
5.今後の取組
女性用トイレの行列問題の改善に向けては、利用者ニーズや社会状況の変化を踏まえた環境整備が重要です。今後も関係府省等と連携しながら、好事例の横展開、ガイドラインの周知・普及等を進め、男女問わず誰もが安心して快適に利用できるトイレ環境の実現を目指し、トイレの行列問題の改善に取り組んでまいります。
本取組の詳細は、こちらをご覧ください。
トイレ設置数の基準と適用のあり方に関する協議会
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000374.html
女性用トイレにおける行列問題の改善に向けた関係府省連絡会議
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/powder-room/index.html