巻頭言
地域社会における男女共同参画の推進を
今年、第6次男女共同参画基本計画がスタートしました。その一つの柱が、「地域社会、特に地方における男女共同参画の推進」です。
世界的に見て遅れている日本の男女共同参画状況ですが、東京など大都市部では、男女共同参画がある程度進んでいます。都知事は女性ですし、中央では日本初の女性総理大臣が誕生しました。女性議員が半数を占める区議会もあります。都市部の大企業や官庁などではキャリアを積み上げて活躍する女性も増えてきました。しかし、地域社会、特に地方に目を転じると男女共同参画の進展度に大きな格差が生じているのも事実です。
私は、社会学者として実態調査や結婚支援のお手伝いで地方に行くことが多いのですが、現地の若い女性にヒアリングする度に、女性差別について愚痴をこぼされます。特に、地方議会や町内会、中小企業や農林水産業や商工会などの業界団体など地域に根ざした中間団体に性差別的慣行が根強く残っています。男性は全員正社員なのに、女性の大部分が非正規社員という企業もまだ多いです。地元の農業の将来を話し合う寄り合いには男性しかおらず、女性は「嫁」として家事や農作業の手伝いをするだけというケースにも出会いました。ある地方の商工会の懇親会ではセクハラまがいのことが行われているという話も聞きました。もちろん、女性を活躍させる中小企業もありますが、ある学生は、法事で実家に帰ったとき、女性は老いも若きも料理の支度やお酌に大忙しで、男性は飲み食いを楽しんでいるという姿を見て、「二度と地元には戻らない」決意をしたそうです。
今までの伝統なんだとか、男性も仕事が大変なんだなど意見があるかもしれません。でも、今は現代です。誰も差別されているところで生活したいとは思いません。その結果、やる気がある女性は、仕事での差別が少ない都市部、特に東京に自分の活躍の場を持とうとします。結婚に関しても、女性だけが下働きをさせられるような地域社会を嫌って、都会での結婚生活に憧れます。
その結果、若年女性が東京などの大都市部に移動し、そこで実力を発揮します。また、育児休業や保育所の充実など都会での共働き環境が整い、結婚環境が整います。その結果、全国的に少子化が深刻化する中、東京での出生数の数はあまり減らず、大都市のない地方でのこども数の減少に歯止めがかかりません。
地方活性化の鍵は、男女共同参画にある、それも、地域に根ざした企業、団体における女性活躍にあります。地方で、女性差別的慣習がなくなり、女性活躍が推進することを、切に願っています。

山田 昌弘
YAMADA Masahiro
中央大学文学部教授
男女共同参画会議議員