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「共同参画」2026年1月号

特集2

女性用トイレにおける行列問題の改善に向けた取組について

内閣府男女共同参画局総務課

政府では、「骨太の方針2025」に基づき、女性用トイレにおける行列問題の改善に向けた取組を推進しています。本稿では、関係省庁におけるこれまでの取組について紹介します。

概要

女性用トイレについては、駅や百貨店、アリーナを含む様々なイベント会場、施設などで長い行列が見られることがあります。国土交通省が実施した調査によれば、駅や交通施設、大規模商業施設において、女性の多くが不満を感じているという結果が明らかになっています。

特に女性用トイレで行列が発生している要因のひとつとして、女性の社会進出が進んだことにより、当初は男性利用が多いことを前提に設置されたトイレが、利用実態に沿わなくなってしまったことが考えられます。また、便器の洋式化などによりトイレの快適性が向上したことや、化粧等の多目的な利用により、個室の占有時間が長時間化していることなども考えられます。

こうした状況を踏まえ、昨年6月、政府は、「骨太の方針2025」 において、「女性用トイレの利用環境の改善」について盛り込みました。

そして、7月には、政府横断の推進体制となる関係府省連絡会議を開催し、女性用トイレの行列の改善を推進するため、

① 仮設トイレに係る緊急の呼びかけ

② 行列の改善に向けた取組事例の収集

③ トイレの設置数に係る基準の点検・見直し

の3つの取組を関係府省庁で行っていくことを確認しました。以下では、昨年7月以降、政府において実施した取組内容と、今後の取組について紹介します。

仮設トイレに係る緊急の呼びかけ

昨年7月以降、政府は、花火大会等の際に設置される仮設トイレについて、設置個数や男女比率を検討する際に、過去の行列の状況等を勘案し、男女間の行列の著しい差が発生しないよう、イベント主催者に、広く緊急の呼びかけを行いました。

各省庁において、所管業界等に対して事務連絡を発出し、広く周知を図った結果、一部のイベントでは、「働きかけ」を踏まえ、例年より女性用の仮設トイレの数を増設する等の対応がとられました。

行列の改善に向けた取組事例の収集・展開

政府では、女性用トイレの行列問題について、改善に向けた取組が全国的に広がるよう、行列の改善に向けて積極的に取り組んでいる事例を全国各地から収集しました。昨年12月、とりまとめた事例集を内閣府HP等で公開し、さらに、関係府省を通じて横展開を図ることで、多くの施設等で改善に向けた取組が広がるよう促しています。

事例集については、各施設の取組をまとめた「施設事例集」に加えて、トイレに行列ができてしまう原因として以下の3つを取り上げ、それぞれへの対策事例を紹介した「課題対策事例集」を作成しました。

(1)女性用トイレの個数の不足への対応

そもそも施設内のトイレの個数が少ないために行列ができてしまう場合があります。また、女性の割合が多い行事の場合には、女性用トイレの行列が長くなる場合があります。

事例集では、対策として、女性用トイレの面積を増やし個室を増設した事例や、男女のトイレの混雑状況に応じて両トイレを隔てる可動式の間仕切りを移動させることにより、男女の個室数を調整する事例を掲載しています。また、トイレ入口にあるサインを手動で切り替えて、混雑状況に応じて男女のトイレを入れ替えることのできる事例も紹介しています。


可動式の間仕切り(群馬コンベンションセンター(Gメッセ群馬))
可動式の間仕切り(群馬コンベンションセンター(Gメッセ群馬))


手動で切り替えられるサイン(国立競技場)
手動で切り替えられるサイン(国立競技場)


(2)女性用トイレの長時間利用への対応

女性用トイレでは、化粧など様々な利用のために個室での滞在時間が長くなることで、行列ができてしまうことがあります。また、洗面台で化粧利用のための混雑が発生し、行列につながることもあります。

事例集では、トイレ内にパウダーコーナーを設けている事例や、洗面台利用のための待ち時間緩和のため、あえて洗面台に鏡を設けず、パウダーコーナーに誘導するような事例を紹介しています。

また、個室内に設置された滞在時間を表示するモニターや、長時間利用を控えるよう案内するポスターにより、長時間利用の自発的な抑制を促す取組も掲載しています。


滞在時間を表示するモニター(ジョイナス)
滞在時間を表示するモニター(ジョイナス)


(3)空室状況の見えにくさへの対応

空室状況が分かりにくいなどにより、使用可能なトイレが使用されておらず、行列ができてしまうこともあります。

対策として、ランプやサイン等で分かりやすく空室状況を可視化している事例や、デジタルサイネージ等を通じて、施設内の空いているトイレに誘導する事例などを紹介しています。


空室状況を可視化するサイン(JR東日本 東京駅)
空室状況を可視化するサイン(JR東日本 東京駅)


「取組事例集」のホームページ
https://www.gender.go.jp/toilet.html


トイレの設置数に係る基準の点検・見直し

国土交通省において、学会や各種法人が設けているトイレの設置数の基準についての「ガイドライン」を取りまとめることを目的に、有識者や事業者を交えた「協議会」を開催しています。

昨年11月の第1回会議では、空気調和・衛生工学会から、同学会における衛生器具の設置基準について、説明が行われました。各委員からは、トイレのスペースが限られており、個室の増設を諦めたことがあったなどの意見がありました。また、各施設管理者からは、各施設のトイレ設置数の考え方について説明がありました。

12月に開催された第2回会議では、ガイドラインの骨子が示されました。今後、令和7年度中のガイドラインの策定に向け、男女比や待ち時間を踏まえた男女の便器数の在り方などの各論点について議論が行われていく予定です。


トイレ設置数の基準と適用のあり方に関する協議会のホームページ
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000374.html


おわりに

トイレは、男女を問わず、すべての人にとって欠かせないものです。関係省庁において、女性用トイレの行列の改善に向けた取組を推進していきます。

また、女性用トイレは待ち時間が長くなることが当たり前と思われています。今回の取組は、これまでの常識に疑問を持ち、対応を進めるという、男女共同参画の観点からの一つの取組事例でもあると考えられます。