特集1
第10回防災推進国民大会「ぼうさいこくたい2025 in 新潟」
「広げよう!女性の防災ネットワーク」セッションを開催しました
内閣府男女共同参画局総務課
国民の防災意識の向上のため2016年から開催している「ぼうさいこくたい」。第10回目となる今年は、2004年に中越地震を経験した新潟県で、「語り合い、支え合い~新潟からオールジャパンで進める防災・減災~」をテーマに9月6日(土)と7日(日)、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(一部オンライン)で開催されました。
プログラム
■男女共同参画局長の挨拶
■情報提供(1)「災害時女性支援プロジェクト」による取組」
■情報提供(2)「よんなな防災会女子部の取組」
■意見交換会「女性防災リーダーのネットワーク構築とは」
■情報提供(3)「使い捨て下着の備蓄について」
男女共同参画局として「ぼうさいこくたい」への参加が5回目となる今回は、女性防災リーダーのネットワーク構築をテーマに、女性たちが地域や組織の枠を越えて「つながる」ことを目的としたセッションを開催しました。全国各地から約100名が参加し、会場は熱気に包まれました。

作:イラストデザインラボ
情報提供(1)「災害時女性支援プロジェクト」による取組」
根上 昌子 先生(ねがみみらいクリニック院長、令和7年女性のチャレンジ賞特別部門賞受賞)
根上先生は、令和6年能登半島地震直後から同僚の医師や女性支援に詳しい専門家とつながり、これまでの災害で発生した性暴力・性犯罪に関する問題や対応策について情報を得て、七尾市にあるご自身のクリニックを開放して被災した女性やこどもの居場所づくりや必要な物資の提供を行われたほか、避難所においてチラシや笛付き防犯ブザーの配布による性暴力被害防止の啓発活動に尽力されました。また、民間団体や有識者等と「性暴力女性被害者支援プロジェクトチーム」を立ち上げ、被災地で性暴力を受けた際の被害者相談や緊急避妊薬をデリバリーする体制をつくり、女性の安心・安全のために現在も活動を続けています。こうしたご経験を踏まえ、災害時の女性支援の大切さや被災地内外の専門家との平時からのネットワークの構築の重要性をお話しいただきました。

作:イラストデザインラボ
情報提供(2)よんなな防災会女子部の取組
森下 美穂さん(よんなな防災会女子部)
女性防災リーダーのネットワークにはさまざまな形があり、支援活動も「できるときに、できる人が、できる範囲でする」ことが活動を継続するためのキーワードです。そこで、昨年の「ぼうさいこくたい」でも災害の現場だけでなく、被災地の外から支援についてお話しいただいた「よんなな防災会女子部」より、能登の方々に想いを寄せながら取り組まれている最近の活動についてご紹介いただきました。
意見交換会「女性防災リーダーのネットワーク構築とは」
【モデレーター】
上園 智美 さん
(よんなな防災会女子部)
【発表者】
小山内 世喜子さん
((⼀社)男⼥共同参画地域みらいねっと)
藤岡 喜美子さん
((⼀社)こども⼥性ネット東海)
沢田 薫さん
((⼀財)⼤阪男⼥いきいき財団)
松島 陽子さん
((特⾮)U.grandma Japan)
令和6年能登半島地震後、男女共同参画局は「男女共同参画の視点からの災害対応状況調査」を行い、その中で平時からつながっていた女性防災リーダーの団体が地震発生後に連携し、支援活動を行ったという事例を発掘しました。自然災害が頻発し、今後は南海トラフ地震や首都直下地震等の発生が想定される中で、女性防災リーダー団体が平時から「顔の見える関係」を構築し、災害時に迅速に連携して災害対応にあたることが重要です。そこで今回は、平時からのネットワークを活用し、能登半島地震で女性の視点に立った被災者支援活動に取り組んだ女性防災リーダー団体の皆様に、今後の災害対応に向けてネットワークを構築していくにあたっての課題や方向性などを意見交換していただきました。

作:イラストデザインラボ
情報提供(3)使い捨て下着の備蓄について
藤田 昌子(内閣府男女共同参画局総務課)
能登半島地震を含むこれまでの災害では、水が使えず洗濯ができないことや男女別の物干し場が設置されていないことが困りごととして挙げられました。そこで、内閣府が令和2年に作成した「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」のうち、p.56「備蓄チェックシート」の改訂内容を紹介するとともに、一般に販売されている使い捨て下着の例や女性用品の備蓄について説明しました。
今後も男女共同参画局では平常時から立場や地域を越えたつながりを大切にし、災害発生時には、被災者のニーズに迅速に対応できるよう、多様な主体と連携して取り組んでまいります。

内閣府男女共同参画局のHPでは令和6年能登半島地震における男女共同参画の視点からの災害対応についての調査報告書を公表しています。女性防災リーダーによる取組事例もご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/notohanto_r7_research.html

詳細は、こちらをご覧ください。
内閣府男女共同参画局のHPではグラレコを拡大してご覧いただけます。
https://www.gender.go.jp/public/event/2025/zenkoku/pdf/251117_01.pdf

令和8年3月31日までの期間限定で、アーカイブ動画をYouTubeに公開しています。ぜひご覧ください!
https://www.youtube.com/watch?v=hcI-Y34cgF4

【共催団体の紹介】
※よんなな防災会女子部
防災分野で少数派として頑張っている女子達をつなぎ、一人ひとりがそれぞれの場で、その能力を発揮し、楽しくいきいきと防災活動ができるよう、オンラインを通じて、定期的な学習会や意見交換会などを開催。

※ジャパン女性防災リーダーの会
全国の女性のエンパワメント支援を行う6団体が養成した300人以上の女性防災リーダーが、ゆるやかに学びあいや協働、交流を進めるネットワークです。能登半島地震発災後には協働して被災地支援活動を行ったり、オンライン学習会を開催。
https://hubplace.jp/theme/bosai/

※イラストデザインラボ
イラストデザインラボは、グラフィック等で対話や学び、思考・思想を可視化することを通じて、様々なバックグラウンドを持つ人々の①新たなきっかけや気付きをつくる②対話や議論を深める③地域や団体等の場の活性化に繋げることを目的としているグラフィッカーのコミュニティである。

「ぼうさいこくたい2025 in 新潟」出展報告
セッション:ジェンダー視点による被災者支援の意義と実際
独立行政法人国立女性教育会館
国立女性教育会館(NWEC)は、9月5日・6日に開催された「ぼうさいこくたい2025 in 新潟」に参加し、全国女性会館協議会及びTEAM防災ジャパンと合同で「ジェンダー視点による被災者支援の意義と実際~男女共同参画センターの活動及び多様な主体の連携の視点から考える~」と題したセッションを行いました。多様なパネリストやコメンテーターが、東日本大震災や能登半島地震等での実体験や事例を基に語り合いました。
災害対応の現場からの報告
まず、災害対応の現場からは、地域社会の高齢化・過疎化により相互扶助の力が弱まっている現状や、被災地支援における女性の力の必要性が浸透してきていること、男女問わず支援者の安心・安全の確保の必要性などが指摘されました。また、自治体等のトップがジェンダーについて理解していても、避難所等では性別役割分担意識が残っていた事例も示されました。災害時に男女共同参画センターが円滑に動くには、自治体の防災計画等に同センターを「災害時女性支援センター」として位置づけ、初動からの役割を明文化しておくことが重要と強調されました。さらに、ジェンダー視点は全ての領域を包含するにもかかわらず、行政組織はまだまだ「縦割り」であり、一般社会にもなかなか浸透しない状況も課題として挙げられました。

会場の様子
多様な主体の連携とジェンダー視点の重要性
被災者支援においては、多様な主体の連携が重要です。行政、社会福祉協議会、NPOの三者連携を通じ、被災者の困りごとをどこからでも適切な支援に繋げる体制の必要性が強調されました。ジェンダー視点は、避難所運営だけでなくNPO活動全般に浸透させるべきであり、「多様性活用ガイドライン」の活用や、災害支援にジェンダー視点を反映させる専門家チームの配置が提案されました。また、全国女性会館協議会の「相互支援ネット」が、能登半島地震では被災者支援に加え、市職員や社協職員など支援者への支援を実施した事例が報告され、現場ニーズに応じた活動の有効性が示されました。

セッションの様子
ジェンダー平等と防災は車の両輪
登壇者それぞれの立場から活発な議論がなされ、「ジェンダー視点は災害を乗り越えるための付加的な配慮ではなく、社会の力を最大限に引き出し、支援の質を高めるための必要条件である」という認識へ転換すべきとの提言がありました。そして、平時から「顔の見える関係」を構築しておくこと、被災した当事者の声を聴くことの重要性を再確認し、ジェンダー平等と防災が車の両輪として機能する社会を目指すため、継続的な対話と連携が必要であると結ばれました。
参加した約140名の参加者からは、「防災初期から男女共同参画の『め』を入れることはとても大切」といった声や、「自分で解決できなくても適切につないでいくことでジェンダー的な支援を強化できる」という再認識の声が寄せられました。

左から萩原なつ子会館理事長、浅野幸子氏、木須八重子氏、坂田静香氏、明城徹也氏、加藤孝明氏
詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.nwec.go.jp/event/event/bousaikokutai2025.html
