特集4
「キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因に関する調査」を実施しました
内閣府男女共同参画局推進課
キャリア形成と育児等の両立は、仕事と家庭の両立を望む人々にとって大きな課題です。今回の調査では、特に育児休業から復帰した男女を対象に、キャリア形成における意識調査を行いました。育児期における職場環境や制度の利用状況、評価への影響、将来のキャリア展望等を分析し、両立を阻害する実態を明らかにしました。調査結果は、男女が共にライフイベントとキャリアを両立できる環境づくりに向けたヒントを提供しています。
調査の概要
本調査は、キャリア形成と育児等の両立に関して意識調査を行ったものです。対象は、全国の20〜49歳の男女で、育児休業の取得経験があり、小学生以下の子どもと同居している方々です。令和7年1月にインターネットによるアンケート調査を行い、2,853件の回答を得ました。
育休取得前後のキャリアプランの変化
育児休業復帰後、35歳以上の女性の約半数が「当初描いていたキャリアプランよりもキャリアをセーブすることになった・なりそう」と回答。一方、男性の約8割が「現在のキャリア/今後のキャリア展望は、ほぼ育児休業取得前に描いていたキャリアプランどおりである」または「当初描いていたキャリアプランよりもキャリアアップできた・できそう」と感じており、男女間でキャリアプランの継続性に大きな差が見られました(下記グラフ参照)。
キャリアプランを変更せずに両立を行うための支援
両立支援に必要な要素として、男女ともに「柔軟な勤務制度・制度の利用のしやすさ」「上司の姿勢」「職場全体の雰囲気」が上位に挙げられました。特に男女差が大きいのは「柔軟な勤務制度・制度の利用しやすさ」や「配偶者・パートナーの育児への理解や参画」等であり、家庭内外の支援の重要性を強く感じていることが分かりました。
難易度の高い業務の経験
男女共に、育児休業取得前に、一般的に難易度が高いとされる業務経験を積んだ者は、こうした経験を積んでいない者に比べると、育児休業からの復帰後に「キャリアをセーブする」割合が低く、「現在のキャリア/今後のキャリアの展望がほぼプランどおりである」割合が高く、また、「仕事に対するモチベーション」も高い傾向にありました。女性は、育児休業取得前に、難易度の高い業務を経験している者の割合が男性と比べ低いことから、女性についても、若いうちから、難易度の高い仕事を経験する機会を増やしていくことが重要です。
復帰後のモチベーションなど
育児休業取得前に将来のキャリアプランを立てていた者は、立てていなかった者に比べると、復帰後の「仕事に対するモチベーション」や「生活全体への満足度」が高い傾向にありました。若いうちからキャリア形成を考えていくことや、そうした取組を企業等が支援していくことが重要です。
おわりに
育児との両立を目指す働き手を支援する制度と環境の整備が求められているなかで、本調査からは、育児期の働き手が直面する課題と、それを乗り越えるための支援のあり方が見えてきました。調査結果を、今後の職場環境の整備や支援策の検討のヒントとしていただければと思います。

グラフ「育休取得前後のキャリアプランの変化」
<調査結果の詳細はこちらをご覧ください>
令和7年8月公表 「令和6年度 仕事と生活の調和推進のための調査研究~キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因に関する調査~」
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/research.html#r06
