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「共同参画」2025年9月号

巻頭言

新法成立、気持ちを新たに!

私の祖父母は戦前、小学校の教員をしていました。祖父は父が6歳の時に他界しましたが、4人の子どもの育児日誌を遺していて、積極的に育児にかかわっていた様子がわかります。祖母は私に、当時の女性教員が置かれていた状況をよく話してくれました。そして1947年5月3日に日本国憲法が施行された数日後の父の日記に書かれていた文章は「これからは男女平等の社会である」。振り返ってみると、母も「働く婦人」でしたから、私は無意識のうちに男女平等に関して“家庭内英才教育”を受けていたのかもしれません。

小さな「はて?」はありつつも、女性であることで不都合をあまり感じることなく生きていた私の前に、分厚い壁が立ちはだかったのが就職活動の時でした。自宅通勤に限るといった女子のみの条件に理不尽さを感じました。女子差別撤廃条約が採択される以前に経験した、なんとも解せないもやもやが、現在の私の原点になっています。1985年に誕生し、改正を重ねながら今年40年を迎えた男女雇用機会均等法は雇用分野における女性差別を解消するための「根拠法」として大事な法律だと心底思っています。

その後、男女共同参画社会基本法、女性活躍推進法、政治分野における男女共同参画推進法等が施行され、さまざまな分野でジェンダーギャップ解消の取組みが進められていますが、未だ多くの課題を抱えており、理想と現実のギャップはなかなか埋まりそうにありません。そのような中、第217回通常国会において、男女共同参画基本計画に定める施策全般の推進を一層促進していくために、独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)を機能強化し、全国の男女共同参画センターをバックアップする「独立行政法人男女共同参画機構」とする法律が成立しました。また、男女共同参画社会基本法が25年ぶりに一部改正され、男女共同参画機構とともに、全国の男女共同参画センターが男女共同参画の形成を促進する重要な拠点として位置づけられたことは画期的なことだと思います。男女共同参画センターの設置の有無を問わず、男女共同参画を担当する職員からは「根拠法があることは、自治体においてジェンダー主流化を進めるための大きな力になります」といった声が寄せられています。NWECがこれまでの蓄積を基盤にして、センターオブセンターズとしての新たな役割を果たせるよう準備を進めてまいります。

萩原 なつ子
萩原 なつ子
Hagiwara Natsuko
独立行政法人国立女性教育会館
理事長