特集3
第62回国連女性の地位委員会の開催
内閣府男女共同参画局総務課
第62回国連女性の地位委員会(CSW)が、2018年3月12日から23日まで国連本部(ニューヨーク)において、「農山漁村の女性と女児のジェンダー平等及びエンパワーメント達成のための課題と機会」を優先テーマに、「メディア及びICTへの女性の参加及びアクセス、それがもたらす影響、女性の地位向上及びエンパワーメントの手段としての活用」をレビューテーマとして開催されました。
開会式の様子
我が国からは、山下雄平日本政府代表(内閣府大臣政務官)、田中由美子日本代表(城西国際大学国際人文学部招聘教授)の下、外務省、内閣府、厚生労働省、農林水産省、独立行政法人国際協力機構(JICA)及び独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)の政府等関係者並びにNGO代表、ユース代表が出席しました。
CSWでは、各国代表や国連機関、NGO代表等によるステートメント、優先テーマに関する閣僚級ラウンドテーブルや対話型専門家パネル、合意結論や決議についての協議等が行われました。
一般討論ステートメント
我が国は、14日に田中由美子日本代表によるステートメントを実施しました。
ステートメントでは、我が国における、農山漁村地域の女性を含む全ての女性が自分らしく活躍できる社会の実現を目指し様々な取組を実施していることを紹介しました。
具体的には、国内における取組として、「家族経営協定」の締結の推進、「農業女子プロジェクト」の推進、2020年までの具体的な数値目標を定め、農業委員会の委員や農業協同組合の役員の女性の割合を拡大することで、農山漁村における女性が政策・方針決定過程への参画拡大を促進していること等を紹介しました。
また、我が国の国際的な取組として、ケニアにて「農業における女性のエンパワーメントセミナー」を実施したり、2016年から2018年の3年間で30億ドルを超す女性支援の実施を行っていること、昨年7月に世銀に立ち上げられた途上国における女性起業家支援を目的とした「女性起業家資金イニシアティブ」に5,000万ドルの拠出を表明したことなどを述べました。
閣僚級ラウンドテーブル
優先テーマに関する閣僚級ラウンドテーブルは、(a)「教育、インフラ技術、食糧保全と栄養へのアクセスを含む農山漁村の女性と女児のエンパワーメントにおける優良事例」、(b)「ジェンダーに基づく暴力の予防及び司法、社会福祉、ヘルスケアへのアクセスを含む農村女性と女児のエンパワーメントにおける優良事例」、の2つのテーマで開催されました。
会議の様子(田中代表による発言)
我が国からは、12日に田中由美子代表がテーマ(b)のラウンドテーブルに出席し、我が国は、農山漁村の女性をエンパワーし、活躍を助けることが、地方活性化と日本全体でのジェンダー平等を達成するために重要との考え方の下、様々な取組を行っていることを述べました。
具体的には「農業女子プロジェクト」の推進、農業経営者の経営力向上のためのWeb研修「オンラインアグリビジネススクール」の実施やICTを活用した園芸施設や家畜の管理、搾乳ロボット等の省力的技術の導入を通じ、生産性の向上とともに働きやすい環境整備をするための補助事業を実施していることなどを紹介しました。
また、女性に対する暴力への取組として、全国278か所(平成29年11月現在)に「配偶者暴力相談支援センター」を設置していることや「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」を全国の都道府県に最低一か所設置するよう、取組を進めていることなどを紹介しました。
合意結論及び決議
今回のCSWの成果として、合意結論及び決議が採択されました。
「合意結論」では、農山漁村女性の土地、土地保有、財産、相続権などの権利を保護するための法整備を進めていくことや、農山漁村の女性のICTへのアクセスを保障し、デジタル・ディバイドを解消することなどが要請されています。
決議としては、「パレスチナ女性の状況及びその支援」、「紛争下で捕虜とされた女性・児童及び拘置された者の釈放」、「女性、女児とHIV及びAIDS」、「女性の地位に関する今後の組織と作業方法」、「第4回世界女性会議25周年」が採択されました。
サイドイベント
会期中、各国政府、国連機関、NGO等により様々なサイドイベントなどが開催されました。
今回のCSWでは、初日の3月12日に日本政府とUN Women との共催で「LEAP ラウンドテーブル」、2日目の3月13日に国連日本政府代表部が日本のNGOと共催して「農山漁村地域の女性と少女のエンパワーメントに向けての活動」と題するサイドイベント、3日目の3月14日に国連日本政府代表部、国連インドネシア政府代表部、ジョージタウン大学、UN Womenとの共催で、WAW!2017フォローアップ及び国際的な発信を目的としたサイドイベント「女性のエンパワーメントを通じたコミュニティにおける暴力的過激主義(PVE):平和安全保障プログラムからの教訓」が行われました。
「LEAP ラウンドテーブル」では、自然災害や紛争などの危機影響下における女性及び女児のエンパワーメントについて議論され、出席した山下内閣府大臣政務官からは、国際社会の一員として、各国と共に女性及び女児のレジリエンス向上に向けた取組を加速していきたいとの発言がありました。
サイドイベント(LEAP ラウンドテーブル)
「農山漁村地域の女性と少女のエンパワーメントに向けての活動」をテーマにしたサイドイベントでは、日本の女性農業者を代表して農業女子メンバーであり、山形県で果樹園を経営している、結城こずえ氏がスピーカーとして登場しました。結城氏は、農業女子プロジェクトを通じて知り合った女性農業者のネットワークが加工や販路開拓など自身の経営の発展に繋がった、これからは次世代のリーダー育成のための環境づくりにも取り組んでいきたい、と述べられました。
サイドイベント(農山漁村地域の女性)
WAW!2017フォローアップのサイドイベントでは、日本の支援でUN Womenが実施するプロジェクトに触れつつ、コミュニティにおける小さなトリガーや他者の変化に気がつきやすい女性は、平和を推進する担い手であり、暴力的過激主義に対する女性の意識醸成と防止の取組における女性の参画は必須である旨が強調されました。
サイドイベント(WAW!2017フォローアップ)
来年のCSWについて
来年(2019年)の第63回CSWは、「Social protection systems, access to public services and sustainable infrastructure for gender equality and the empowerment of women and girls(社会保障制度、公共サービスへのアクセス、ジェンダー平等及び女性と女児のエンパワーメントのための持続可能なインフラストラクチャー)」をテーマに開催される予定です。