(開催要領)
- 日時:平成15年2月3日(月)16:30~18:26
- 場所:内閣府3階特別会議室
(出席者)
- 古橋
- 会長
- 庄司
- 委員
- 伊藤(陽)
- 委員
- 岡谷
- 委員
- 鹿嶋
- 委員
- 神田
- 委員
- 桜井
- 委員
- 佐藤
- 委員
- 広岡
- 委員
- 深尾
- 委員
- 山口
- 委員
(議事次第)
- 開会
- 平成14年度監視「情報の収集・整備・提供」について
- 統計調査等の実施状況について
- その他
- 閉 会
(概要)
平成14年度重点監視施策「情報の収集・整備・提供」に関して、事務局より統計調査等の実施状況等について説明した。これに関する主な議論は以下のとおり。
- 伊藤(陽)委員
- 男女共同参画を具体化していく上で、性別と他の属性とのクロス集計が必要である。更に、保育所の状況など施設関係、企業での両立支援策、家庭での育児、介護、家事負担 など性別でなくても男女共同参画に資する統計について広くとらえ、それが欠けているという議論が必要である。また、ジェンダー統計について、各統計機関での担当責任者を設 定した方がよい。
- 古橋会長
- 各省別ではなく、例えば、基本法の5つの理念に沿って、男女共同参画推進の観点からこういう統計が必要だという見方で、統計の優先順位を決めていくことが専門調査会の大 きな役割ではないか。
- 佐藤委員
- 例えば、雇用関係のジェンダー統計の整備については、どういう統計が必要かという観点から、性別を入れるべきだとか、こういう集計があれば使えるとか、欠落しているといった 議論をする必要がある。ただ、それは難しく、例えば中途採用について言えば、中途採用の性別比率がわかるということは、どういう意味で必要なのかというのを書かなければいけ ない。求人は男女別にやってはいけないのだが、そうすると何人採ったかだけのデータに意味があるのか難しい。
- 古橋会長
- 統計審議会で男女共同参画の観点からの議論をしてほしいということを提言することは大切なことだと思う。
- 佐藤委員
- 分野ごとに基本的な考え方を2,3つ挙げれば良いのではないか。そして統計審議会などで、こういうことでさらに議論してくださいと言えばいいと思う。
- 古橋会長
- 例えば、影響調査専門調査会での税金についての議論であれば、それに関わる統計について、どういうものが欠けているかということを基本法の理念に照らし提案するということ が必要ではないか。更に、具体的にどうするのか明らかにしないと各省に説得力がない。
- 佐藤委員
- 各分野、大きなポイントを3つぐらい書き、それぞれに1個ずつぐらいの改善点や提案など説得的なものを書ければいいのではないか。
- 広岡委員
- NPO関係では役員の男女別の数などはかなり重要だと思うが、そういう統計がない。
- 古橋会長
- 現在、NPOは重要な役割を占めており、その組織活動の中における女性の状況については、男女共同参画の観点から非常に大切だと思う。
- 桜井委員
- NPOに関連して、世の中に芽が出てきたような新しい問題については、その業界や分野の専門家たちだけではなかなか問題が表面化してこない。ジェンダーの視点でとらえ直 すとどうなのかといったことを我々が言う必要がある。また、民間女性シェルターについては、例えば、全国にいくつあるか、経営はどうなっているか、何人ぐらい受け入れられるか ということは婦人相談員などには必要な情報である。新しい問題については、こういうデータが必要なのだということを言える仕組みが必要だろう。
- 古橋会長
- 政策についての問題意識をはっきりさせた上で、その統計があるかないか、どういう統計が必要かという分析をやっていかなければだめだと思う。
- 鹿嶋委員
-
例えば家計調査では、妻の収入は、専業主婦と働いている主婦の収入の平均値を出していて、実態を正確にあらわしていない。もう少し細分化して、家計に対する妻の貢献度な ども実態把握できるような手法の分析をやるべきではないか。
また、各省の白書の中で、男女共同参画という視点で網がかかっているのは、男女共同参画白書ぐらいだろう。国民は白書を通して調査に身近に接するということがあるので、 全白書について共同参画の視点を持つという教育をしてもらい、そういう視点から、管轄する調査統計を分析してもらいたい。 - 神田委員
- この統計データで実態がつかめているか、問題が明らかにされているか、施策に結びつけられるかという観点で整理する必要がある。
- 山口委員
- 警察の交通関係の性別データもほしい。また、各省が補助金を出して外郭団体が種々の調査を行なっている。これらの調査の中で、男女別というものがわかるようにできないか。 また、ITに関して、コンピュータが導入されると、男女格差が広がるのではないか。学校教育では対等かもしれないが、社会に出てどう使われているかというような調査はあるの か。
- 事務局
- IT関係は、平成13年度ぐらいから調査項目として増えてきている。
- 古橋会長
- 外郭団体に限らず、意識調査をやるときにジェンダーの視点が重要であると指摘してもよい。
- 伊藤(陽)委員
- 統計調査はたくさんあるが、それぞれ十分公開されているのか疑わしい。特にヒアリングで出た司法、警察関係の統計の充分な公開と配布の必要を強調したい。
- 古橋会長
-
情報公開と情報の提示、つまり、国民は権利を利用して公開を求めるということと、自ら積極的に情報を提示するということが必要である。
警察関係は出していない統計が結構ある。現状がこういうふうに変わってきているから、男女共同参画の視点から、こういう施策が必要であるというようなことを啓発していく必要 があるのではないか。 - 庄司委員
- 利用者のニーズに対応した提供については、何年も言われている割には進んでいない。一般に広く公開されたデータでなくても、研究したい人がアクセスできるデータベースに なっていれば良いのだが。
- 佐藤委員
-
5~6年前の統計の長期ビジョンにもいろいろ書かれていたが、実際は進んでいない。
統計法でカバーされてない内閣府の世論調査のデータ(個票)を公表して使えるようにしたらどうか。あるいは男女共同参画局が関わるデータから公開を始めればいいと思う。個人 が特定されなければよいのであって、男女の役割分業意識がどう変わってきて、どこに問題があるかを把握するには、こうしたデータが必要という議論をするべき。 - 坂東局長
- 統計に対する対象者の協力度合いが低下している。例えば、昔は回収率8割あったのが、今は7割くらいである。
- 佐藤委員
- 他の役所のデータをすぐ使えないから、それぞれの役所が独自で調査をする。研究者や自治体も独自に調査をする。データが公開されないから独自に調査をやらないといけなくなり、調査が増える。同じような調査がたくさんあるので、そういうことも提言に書いた方がいいのかもしれない。
- 庄司委員
- 統計の非専門家からいろいろ意見を出して、そのことの非現実性は統計の専門家にはっきり指摘していただくことも含めて、両者の議論の場が必要である。
- 古橋会長
- 統計審議会でパブリック・コメントや統計利用者について意見を聴くということは、行なわれているか。
- 事務局
- 統計調査ごとに利用者との意見交換やパブリック・コメントの聴取を行なっているものもある。それをもっと促進すべきではないかということで、現在、総務省の会議でもそういう テーマで議論がされている。
- 坂東局長
- 統計に対するニーズは山ほどあり、精微な統計をつくることには大変なマンパワーや間接的な人件費が費やされている。
- 古橋会長
- 世論調査の個票を出すというのは、コストなど関係なくできるのではないか。ただ、個別の統計についての改善を言うときには、コスト面を考慮して、かつ改善するときの優先順位 を言わないと無責任である。男女共同参画の観点からの優先順位というものを我が方で議論をする必要がある。
- 伊藤(陽)委員
- 匿名化個票開示について統計機関は大変センシティブである。
- 古橋会長
- 公開すればかえって信頼性が高まるとか、協力が得られるとか、そういうようなことを言えばいいのではないか。彼らがセンシティブになっている個人情報保護とか、そういうこと がないように担保できればいいのではないか。
- 坂東局長
- 匿名化個票開示に慎重なのは、公益性ということもある。例えばマーケティングなど企業に活用されるということが予想される。
- 佐藤委員
- それについては、国際的な基準に則って公開すればいい。研究者について言えば、個人を対象とした国の調査の匿名化個票はかなり公開されている。
- 伊藤(陽)委員
- 公表データに性別はなくても、利用者側で研究してくださいというふうに匿名化個票が提供されれば、コスト低減にもなる。
- 佐藤委員
- 日本の場合、科学研究費を使って大規模調査をやってもデータを公開するというようなルールがない。データは研究者個人のものという感じがある。これも問題なので、そういう ことも書いた方がいいと思う。
- 坂東局長
- 伊藤先生の発言で、ジェンダー統計に関して、要望を受け付けるような責任者を指名するということは、具体的に実現性がある。将来のネットワークとして、有用ではないかと思 う。