- 日時: 平成20年2月18日(月) 15:00~17:00
- 場所: 内閣府庁舎3階特別会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 神津 カンナ 作家
- 同
- 河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会統括本部長
- 同
- 住田 裕子子 弁護士
- 同
- 辻村 みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
- 同
- 山田 昌弘 東京学芸大学教授
- 同
- 渡辺 幸子 多摩市長
- 説明者
- 畠腹 桂子桑折町女性団体連絡協議会会長
- 同
- 有馬真喜子 特定非営利活動法人ユニフェム日本国内委員会理事長、特定非営利活動法人女性人権機構理事長
(議事次第)
- 男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について(地域活動)
- [1]ヒアリング
- 畠腹 桂子(桑折町女性団体連絡協議会会長)
- 有馬真喜子(特定非営利活動法人ユニフェム日本国内委員会理事長・特定非営利活動法人女性人権機構理事長)
- [2]意見交換
(配布資料)
- 資料1
- 畠腹桂子資料
- 資料2
- 加藤委員資料
- 資料3
- 有馬真喜子資料
- [1]ヒアリング
(議事の概要)
男女共同参画に係る地域活動について、桑折町女性団体連絡協議会会長の畠腹桂子氏から報告があり、加藤委員が補足説明を行った(資料1及び2)。
国際的な視点と地域の男女共同参画について、特定非営利活動法人ユニフェム日本国内委員会理事長・特定非営利活動法人女性人権機構理事長の有馬真喜子氏から報告があった(資料2)。
これらの報告後、意見交換が行われた。
○意見交換の概要
【女性団体による地域の男女共同参画推進とまちづくりの活動】
- 海外研修で多くの女性が活動していることを知り、私たちも頑張ろうと町独自で「桃の郷女性のつどい」を10回開催。性別役割分担意識が強く、そのことに疑問も持たれない地域であったが、創作寸劇、小中学校でのゲストティーチャー、ジェンダーかるた、女性模擬議会等により意識啓発に努めている。女性の町会議員が新たに2名誕生。(畠腹桂子)
- 地域交流と観光の拠点として明治時代の蔵を活用した「桑折御蔵」を運営するほか、賑わい創出のための「桑折宿 旅人気分ウォーク」や、「桑折さんちの団子汁」による郷土色の発信等、女性団体が中心になってまちづくり事業も実施。(畠腹)
- 町にとっての効果は、御蔵に人が集まることで、人々が精神的な豊かさを取り戻し、町に賑わいが出てくること。また、地域について学ぶ動きが自然に生まれ、学んだことをまちづくりに活かすとともに次の世代に残すことが出来る。(畠腹)
- 女性が時間をかけて参画する場をつくっていったことにより、女性の視点でのいろいろな新しいアイデアが生まれ、取組が進んだ結果、地域の中に新しい話題や居場所ができ、地域が活性化してきている。
- 地域には多様な人々が暮らしており、価値観の違いを超えて男女共同参画の視点をさまざまな活動を通して差し込んでいくことが大切。多様な人々の資質を活かしその相乗効果を生み出すためには、包括的・総合的な視点で活動するリーダーが必要。(加藤委員)
- 女性団体には、企業における男女共同参画や商品の品質管理、適正取引等を促進するための利害関係者の役割も期待される。(加藤委員)
- 男女共同参画センター等が、地域で「私たちの」活動拠点施設として親しまれる関係性を構築する必要がある。(加藤委員)
- 男女共同参画は助言や指導で浸透するものではなく、行政、企業、NGO・NPO等が対等な関係で連携・協働する必要がある。(加藤委員)
【国際協力・交流と男女共同参画(有馬真喜子)】
- Think Globally Act Locallyの合い言葉どおり、国境を越えて女性たちの現状を知ることは、視野を広げ、理解を深め、刺激を与え、行動を促す。
- 国際協力・交流の分野に横串として男女共同参画の視点を入れることにより、地域で国際協力・交流活動に参加することから新たなネットワークが生まれ、男女共同参画の理解が広がる。
- ユニフェムの活動は、地域と国際がつながっている活動。地域での活動があり、地域での募金活動等で集まった資金が国内委員会に上がってくる。その資金を国連のユニフェムが指定する活動のいずれかに拠出する。
- 国際的な男女共同参画の課題として、国際人身取引を含む女性の人権、女性の貧困、母子保健、女子教育、エイズを含む感染症の問題等がある。課題克服のために、これらは国境を越えた共同作業として取り組むことが重要。
- 男女共同参画センター等または行政の役割は、地域で国際的な課題に関心を持ち活動する個人、団体の結節点になること。背中を押し、あるいは場を提供し、イベントの際に声をかけたりすることで、このような地域の個人、団体を活性化できる。
- 男女共同参画センター等は日本の資源といえる。特に、開発途上国で男女差別意識の強い文化の国々では、女性が集まることができ、職業訓練、保育指導、相談、経済的な自立支援等の機能を持つ場所は重要。ODA等でそのような場をつくれるのではないか。
【リーダー育成・若者への広がり】
- 女性団体が地域でメジャーな組織になってしまうと、若い女性たちとのギャップが生じないか。
→これからの課題。PTAは重要。1人だけが中心になって引っ張るのではなく、多くの人が関われるようにしている。 - 男女共同参画センターが研修等で、地域のリーダーを育成することは可能か。
→リーダーは、具体的な課題解決のために他分野の人々と活動する中で生まれてくる。地域でリーダーになる人は、数多くの活動に関わっている。座学は気づき、刺激、知識獲得のために重要だが、リーダーの育成には適材適所での経験の場を与えることが必要。男女ともロールモデルがいない場合がほとんどであるため、今の時代に合った人が出てくればいいというメッセージを出すだけでもよい。 - 地域の女性団体にとっては、リーダー育成から、後継者づくりや若者への広がりを考えていく段階にきている。
【地域における国際的な課題】
- 外国人のエンパワーメントも含め、内なる国際化の意識をどう定着・発展させていくかも課題。
- 地域で、内なる国際化に対応した男女共同参画の視点からの取組は少ない。横浜では、ファックスを使って学校からのお知らせを読んであげる取組をしたり、審議会に外国人女性を対象とするシェルターのディレクターを入れたりしている。
- 途上国では、男女の差別・格差よりも、階層格差や女性同士の格差の方が大きいことが多い。日本でも、男女雇用機会均等法施行後、女性間の格差が生まれ始めているのではないか。
- 途上国では男女を問わず貧富の格差は大きいが、女性の貧困層が最も困難な状況を抱えている。貧しい女性が生きる希望を持てる状況をつくる必要がある。
(以上)