- 日時: 平成14年9月27日(金) 13:30~16:00
- 場所: 内閣府3階特別会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 岩男 壽美子 武蔵工業大学教授
- 会長代理
- 八代 尚宏 (社)日本経済研究センター理事長
- 委員
- 伊藤 公雄 大阪大学教授
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 高橋 和之 東京大学教授
- 同
- 竹信 三恵子 朝日新聞企画報道部記者
- 同
- 松田 保彦 帝京大学教授
- 同
- 山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事
(議事次第)
- 開会
- 女性のチャレンジ支援について
- 「女性のチャレンジ支援策について」今後の進め方(案)について
- 閉会
(配布資料)
- 岩男会長
-
それでは、ただいまから男女共同参画会議基本問題専門調査会の第16回会合を開催させていただきま す。
前回に引き続き、中間まとめ案について議論を深めていきたいと思います。
本中間まとめ案は、10月17日木曜日に開催予定の男女共同参画会議に提出されるため本日の専門調査会でとりまと めたいと考えておりますので、皆様方の御協力をぜひよろしくお願いいたします。
それでは、「女性のチャレンジ支援策について 中間まとめ(案)」について、それぞれの部分の論点を事務局から御説 明をいただいた後に御議論をいただきたいと思います。
まず、中間まとめ案の「はじめに」及び「I なぜ今、女性のチャレンジ支援が必要なのか」について、事務局から御説 明をお願いいたします。 - 村上課長
-
「中間まとめ(案)」の最初は「はじめに」としてまとめることとなると思いますが、その後の「女性のチャレン ジ支援策について 中間まとめ(案)」の必要性をまとめる「I なぜ今、女性のチャレンジ支援が必要か」と重複しないよ う簡素化した方がいいのではないかという会長からの御指摘がありました。
それから、「-女性の元気は、男性のゆとり、社会の活気-」というキャッチコピーのご提案がございますが、これにつき ましては、この「男性のゆとり」はどうかという御意見もあったことから、樋口委員から追加意見をいただいておりますの で、御議論いただければと思います。
次に北村委員から「そもそも平等」論に立った言及も必要ではないかということで、冒頭に書くとしたら「男女共同参画社 会の実現」に関する文章を入れてはどうかというご意見がございましたので御議論いただければと存じます。
次に、少子化に関しては、前回、議論がございました。留意事項としてどこかに書いてはどうかという御意見もございまし た。最近、この議論が高まってきておりますので、書くとしたらどのような表現がいいか御議論いただければと存じます。
高橋委員からは、このチャレンジ支援は少子化対策として検討がなされたわけではないので、再考が必要ではないかと いう御意見がありました。それから、古橋委員からは、短時間正社員制度の導入支援、有期労働契約制度の適用範囲の 拡大、契約期間の延長等再チャレンジの選択肢を広げることが大事だという御意見をいただいております。これは御議論 があろうかと思います。
以上、簡単に御説明させていただきました。 - 岩男会長
- それでは、ただいまの御説明について、御意見を伺いたいと思います。
- 岩男会長
- まず、北村委員が御提案の「男女共同参画社会の実現」というセクションをIの冒頭に付けてはどうかとい う御提案ですけれども、これについてはいかがでしょうか。
- 高橋委員
- 私は、非常に重要な御指摘だと思いますので、ぜひ入れていただきたいと思います。
- 岩男会長
-
私もそのように考えますので、よろしゅうございますね。
これについては、入れさせていただくことにさせていただきます。
2つ目の点でございますけれども、高橋委員からの御意見、古橋委員からの御意見について、何か御意見がございま すか。 - 山口委員
- 高橋先生が御指摘されたことは全く賛成で、つい現実にとらわれて引きずられたかなという感じで私も反省 しているのですが、少子化対策は大事だけれども、これはあえて入れなくていいのではないか。男女共同参画社会の形 成を目的とするものであることが前段に出ていれば、よいと思います。
- 岩男会長
- どなたかほかに御意見ございますか。
- 八代会長代理
- おっしゃることはそのとおりだと思います。なぜ少子化対策に言及されたかというと、前にこの場でも議 論されたと思うんですが、男女共同参画社会は結構ですけど、そうしたら少子化対策と逆行するという意見がかなり根強 くあるわけで、そうではないことを指摘しておく必要があると思います。少子化対策としてのチャレンジ支援というのは確か に言い過ぎかもしれませんが、少子化対策と矛盾しないチャレンジ支援というか、そういう表現で一言コメントしておくこと は重要ではないかと思います。
- 山口委員
- 前に、民法改正、選択的夫婦別氏の議論の中で、実現すると便利だからとか、といった理由がわかりやす いからという議論がありましたけれど、やはりあれは、個人が大事だということで、それは男女共同参画社会基本法から 照らしても重要だからという議論があったと思います。それと似たような議論だなと思いましたので、今、八代先生がおっ しゃることはわかりましたけれども、少子化対策としては、それほど強調しなくても文脈から読み取れるなという感じがいた します。
- 岩男会長
- 他にご意見はありますでしょうか。少子化対策のためにチャレンジ支援をしているのでないことについては 合意があると思うんです。要するに、チャレンジ支援策を推進していると、結果として少子化を進めているようなさまざま な問題の解決にもつながっていくということだと思うんです。
- 山口委員
- 21世紀の社会が活性化を目指しても現実は少子化ではそうならない。したがって、少子化対策も、女性の 社会における活躍も鍵なので、関連はしていると思います。そういう意味では理解できます。
- 岩男会長
- したがってチャレンジ支援をしっかりやらなければいけないと。
- 松田委員
- 資料に入るかどうかわかりませんが、他の国で、少子化と女性の社会参加は決して矛盾しないという本文 にそれに相当する記述がどこかにある方がいいと思います。前に八代委員がおっしゃったように、矛盾しないどころか、か えって両立するというようなものを。
- 山口委員
- そういうことならわかりますね。スウェーデンの例なんかもありますから。
- 岩男会長
- そうしましたら、中間まとめにおいて少子化に関連する記述や位置付けを工夫するということで、高橋委員、 よろしゅうございますか。
- 高橋委員
- はい。
- 伊藤委員
- そのデータは資料としてありますか。もしあれば「注」の形ででもメンションする必要はないでしょうかね。
- 松田委員
- できれば、そこに直接目がいくようにした方がいいと思います。
- 岩男会長
- そうですね。「注」を入れるようにいたしましょう。
- 坂東局長
- 有期労働契約については、他のところでまた検討しますので。
- 岩男会長
-
このセクションでは扱わないということです。
それでは、「II どのような支援を行っていくのか 1.意欲と能力がある女性が活躍できる職場づくり-『上』-へのチャ レンジ」について、事務局から御説明をお願いいたします。 - 村上課長
-
前回ご意見もありましたので男女共同参画社会基本法第2条に積極的改善措置の定義もあり、均等法で のポジティブ・アクションの位置付けなどについて、冒頭で明確になるようまとめることとなると考えております。
それから、ポジティブ・アクションの積極的取組として、法的な検討を行うとすれば、もう少しわかりやすく具体的にすべ きではないかという御指摘がございましたので、「企業に対して、雇用状況の報告書を提出やポジティブ・アクションの計 画の策定を求める等」というように、諸外国の例をわかりやすく書き、文章を工夫してはどうかと考えております。
次に、実際に各企業はどのようなポジティブ・アクションに関する取組を行っていくかというイメージがつかみにくいので はということから、例を付け加えてはどうかと考えております。
次に、「イ.新たな方策の検討」で、「公契約」についての言及ですが、前回、もう少し具体的に書けないかというご指摘 がありましたので例えば、「諸外国の類似の制度の紹介等を行う」とか、それから、「新しい要件として加えることを考えら れる」等まとめてはどうかと考えております。
実際、地方公共団体において、ポジティブ・アクション計画の策定の有無、男女雇用機会均等法の違反に係る企業名公 表の有無等を入札の参加登録の「新しい審査項目として加えることが考えられる」というのは、これでもかなり踏み込んで 書いておりまして、このような取組を検討しておられる地方公共団体に対するアイデア提供という意味で意義があると思 います。
以上でございます。 - 岩男会長
- それでは、まずポジティブ・アクションのところにつきまして、御説明がございましたけれども、委員の先生 方、どのようにお考えでしょうか。御意見を伺わせていただきたいと思います。
- 高橋委員
- 表現について「イ、新たな方策の検討」については、分かりにくいので表現をもう少し分かりやすくしていただ きたいと思います。
- 岩男会長
-
そうですね。
高橋先生がお聞きになって意味がとれないというのは、ほかの人がお読みになっても意味がとれないと思いますから。 - 村上課長
- 表現を洗練させたいと思います。
- 山口委員
- 今朝、NHKで聞いたのですが、神奈川県が、地域への貢献度を入札要件にすると。これからはそういうも のがだんだん出てきますから、男女共同参画社会という新しい行政をしようというところではもっと積極的に書いた方がい いと私は思いました。
- 岩男会長
- そうでしたね。心強く思いながら聞いていました。
- 村上課長
- 地方公共団体においてISOシリーズ等を審査貢目とする例はありますが、男女共同参画に関連する貢目 の例はまだございませんので、このような提案をすることの意味は大きいということです。ただ、表現の洗練の必要性は おっしゃるとおりですので、工夫したいと思います。
- 岩男会長
- それでは、ここはもう少しすっきりした分かりやすい表現にさせていただきたいと思います。
- 住田委員
- 先ほどのIについて戻ってよろしいでしょうか。
- 岩男会長
- どうぞ。
- 住田委員
-
「就業状況」についてですが、管理職と男女の給与所得差の2つが挙げられています。この2つが、我が国 のGEMを諸外国と比して低くしている大きな原因の一つであることはどこかで書けませんか。私は、この給与所得差が 今なお継続して広がっていることに対しては非常に危機感を持っております。やはりこれが今の我が国の女性の問題の 大きな原因の一つであり、年金制度に関しても響く大きな問題であるという認識を持っています。
もう1つは、「就業継続の障害」ですが、ここでは2つ。1つは雇用側の意識、さらに男性の働き方の問題が挙げられま す。また、保育所の不足などの制度自体がまだまだ不十分であるという状況があると思いました。それが現在は少子化 対策にもつながっているものなので、これに関しては、簡単にでもいいですから入れていただく方がよろしいのではないか と思いました。 - 岩男会長
- 今の点は、書き込んでも特に問題はないと思います。
- 松田委員
- これは重要な指摘なので入れておくべきですね。
- 岩男会長
-
ほかによろしゅうございますか。
「公契約」のところで古橋委員から「男女共同参画推進の見地から望ましい」という表現は、行政としての表現になじまな いのではないかという御意見がありましたが。 - 坂東局長
- 言うまでもないことですが、男女共同参画行政というのはまさしく自治事務で、我々としては技術的助言をす る立場なものですから、こういうことが考えられるというような、アイデアを提供するような表現になっているわけです。
- 岩男会長
- 「イ、新たな方策の検討」について、「補助金の交付要件」に関しての取組は先ほど御説明があったわけで すけれども、古橋委員から御意見のありました男女共同参画推進の観点を「今後とも推進すべきである」というのは強す ぎるように思いますので、「検討」という表現はいかがでしょうか。
- 村上課長
- 現状はそのような例が余りないと言ってもいい状況ですので、本当はもっと研究が必要なのかもしれませ ん。
- 岩男会長
- 恐らく古橋委員は、だから今後ともいろいろ検討して推進すべきであるということをおっしゃったのだろうと思 うんですけど。
- 竹信委員
-
それであれば、検討すべきということですか。
具体的なものが入っている方がわかりやすいと思うので、「検討」ぐらいでもいいから入れておかないと、何をするのか さっぱりわからないことになりますので。 - 村上課長
- 「推進」は強いと思いますが。
- 岩男会長
- そうですね。
- 住田委員
- 好事例の紹介は、紹介だけではなく、いろいろ収集し、聴取をした上で、各地方公共団体にもこのような情報 を提供するという意味合いです。紹介では少し弱いかなという気がしたので、そこを膨らませていただければと思います。 そうすると、各地方公共団体もこぞって、こういう工夫をしていますという事例を報告してくださるのではないかという期待 はしたいと思っております。
- 岩男会長
- それでは、今のセクションはそのようなことで、次の「-『横』-へのチャレンジ」について説明をお願いしま す。
- 村上課長
-
次に「-『横』-へのチャレンジ」です。冒頭には前回、「-『横』へのチャレンジ-」の夢が広がるようにとい うお話がございまして、活躍されている具体的な例といいましょうか、町おこし、村おこしで活躍されているような方とか、少 し「横」へのチャレンジのイメージが膨らむような事例を少し書いてはどうかと考えております。ここは、参考資料の中に例 として載せていきたいと思っております。
次に、北村委員から、「起業する女性」について、「女性の起業自体がもたらす社会的インパクトに言及してはどうでしょ うか」ということと、「NPO法人で活躍する女性」のところで、「女だから、NPOで安働き」ということにならないようにという ことがわかるような表現をここに入れてはどうかという御意見がありました。
次に「女子学生・女子生徒」のところですけれども、古橋委員の御意見として、「従来型の雇用慣行が変化する中、企業 は、基礎学力の上に立って情勢の変化に対応できる人材を求める傾向が強くなるとともに、従来企業内で行ってきた人 材育成を行う余裕がなくなり、個人自らの職業能力向上のための努力を求める傾向が強くなると思われる」という現状認 識に関するご指摘がございました。
「多様化する働き方」の「雇用情勢」についてで、八代委員と竹信委員から御意見がございました、現状に関して、労働市 場での働き方の二極分化についての言及であります。あわせて御議論いただければと存じます。
次に、山口委員から、「女性起業に対する支援」の関連で、「女性が自発性や創造性を発揮し、起業やSOHO・テレ ワークにチャレンジするには」と具体的に言及した方がよいのではないかという御意見がございました。
次に、「女子学生、女子生徒へのチャレンジ支援」についてですが、「女子学生・女子生徒の職業指導、進路指導の一 層の充実に努めるとともに、また、NPO法人も含めた関係団体、関係省庁が連携して、女子学生の採用に際して差別的 取扱いがなかったかどうかについての監視、指導体制を一層強化する」という文言を入れてはどうかという御提案がござ いました。
差別的取扱いが行われないような取組がなされる必要があるという趣旨であろうかと思います。ただ、「監視、指導」とい うと、これは男女雇用機会均等法に基づきまして厚生労働省の都道府県、労働局雇用均等室で具体的には監視、指導 が厳しくなされているところであります。そこに十分情報が届きにくい現状にあるとしたら、それが問題なわけですから、こ こでは「監視、指導」という表現がいいのか。差別的取扱いが行われないような取組がなされる必要があるという趣旨を 適切に書けばいいのではないかと考えております。
次に、「チャレンジ支援のためのネットワーク等環境整備」については、これは非常に重要で、女性のチャレンジ支援の ための環境を整備するにあたり支援に関する情報ネットワーク化の意味が大きいので、その環境整備について重要性を 打ち出していくことが必要だという御意見がございました。
関連して、古橋委員からですが、ネットワークの在り方等を検討する「チャレンジ支援実行委員会(仮称)」という名称が 誤解を招くかもしれないという御指摘でした。「内閣府男女共同参画局長の諮問機関として」としてはどうかと。この御意見 の趣旨は、「委員会」というと3条委員会を連想され、そのようなものをつくる気があるのかと発想されたのですが、そのよ うな大げさなことではありませんで、イメージとしては、実行部隊として組織的にやろうというものです。 - 岩男会長
- 前回、高橋委員から、阻害要因に対してどういう支援策をするか、そこを一緒にするという構成の御提案が あって、私どももそれがいい考えであると合意をいたしましたが、そのようになっておりませんので、構成についても御説 明ください。
- 村上課長
- ほかのところも、「現状と阻害要因」とまとまった形で書いていますので、こちらも阻害要因は阻害要因で、 相互に関連しているものもありますし、支援策は支援策で書いた方がいいのではないかなということも考えまして、構成上 の他とのバランスも考慮してこのような形にさせていただいております。
- 岩男会長
- それではまず、北村委員から、「女性の起業自体がもたらす社会的なインパクトに言及してはどうでしょう か」という御提案があります。「最近の起業事例には、育児、家事、介護支援等従来女性が家庭内で無償労働としてこなし ていた業務がビジネスとして顕在化してきたものが少なくない。新しい分野を開拓し、経済的刺激をもたらすという積極的 な効果に注目したい。また、女性の起業は、女性の無償労働を有償に転換させ、見えにくかった経済需要を顕在化させる という役割も果たしている」という御意見ですが、これについていかがお考えになりますか。
- 八代会長代理
- その趣旨がよくわからないです。「女性の起業は女性の無償労働を有償のものに転換させ」というと、 いわば家事労働を報酬を得る労働に転換ということになりますが、それは別に起業だけではなくて、サラリーマンとして働 いても同じことであって、なぜ起業の場合とだけこれが結び付くのかよくわからなくなりますが。
- 岩男会長
- 恐らく、無償労働として女性たちがこなしていることが、さまざまなビジネスにつながっているというくらいの 気持ちで指摘されたのではないかと、私は理解したのですけれども。
- 竹信委員
- 無償労働の部分については、実際に会社をやっている人にはなかなか見えにくい部分なので、女の人たち が自分たちで興すことによって起業化しやすくなるということが、北村委員がおっしゃっていることに含まれていると思いま す。ワーカーズ・コレクティブとか、そういったイメージがあるのではないかと思います。
- 八代会長代理
- 単純にそういうところにビジネスチャンスがあるということならわかるんですが、ちょっと大げさに考えす ぎていないでしょうか。家事労働が市場労働にどんどん代替されていくというのは、需要に応じた供給側の行動であり、そ れは中立的なもので、それに社会政策的な意義があるような評価も、やや抵抗があります。別にサラリーマンとして働く 人も同じように、無償労働から有償労働への転換をしているわけだから、あえて起業とだけ結び付ける必要がなぜあるの かということだけを疑問に思っただけです。
- 山口委員
- アンペイドワークに対する労働評価がされておらず、これを積極的に起業化していくというのは、社会的な評 価であり、単なるビジネスではない。だから、あえて無償労働と書くのは、こことしては意味があると思いました。
- 八代会長代理
- 私は家事労働をきちんと評価しているわけで、無償労働として、軽視しているのではありません。個人 が専業主婦として家事労働するか、あるいは、家事労働と代替的なサービスに従事するかは本人の自由であって、あえ て家事労働をしてはいけない、起業したり、サラリーマンとして働かなければいけないということも言い過ぎではないかと思 うだけです。それは中立的な本人の自由な選択であればいい。おっしゃるように、就業機会が乏しくて無理やり家事労働 に追い込まれていたというのであれば、それは直さなければいけない。多分そういう前提があるんだと思います。
- 住田委員
-
私も自分の考えがまだまとまっていないのですが、この底流には、今までの家事労働が有償労働化すると いうのは、少子高齢化の中で労働力人口の減少に伴って必然の流れだとは思うんですが、その流れを見据えた上で女性が社会に出ていくためには、当面、このような、自分の手の中にあるものを有償労働化して社会にチャレンジしていくと いう手段としては非常に有効である、そういう意味での雇用創出の意味があるということを申し上げたいことが1つ。
また、無償労働だったものを、いつまでも無償にするのではなく、対外的サービスとするからには必ず有償労働化して ほしい気持ちが非常に強いわけです。そのときに、以前発言して、いろいろなところから異論をいただいたんですけれど も、ベビーシッター業につきましても、ファミリーサポートセンターの中で、余りにも地域の助け合いとしてのボランティア活 動としての無償に近いものは、私は反対であると。きちんとベビーシッターサービスとするなら、それなりの有資格者がそ れなりの正当な対価を持って行うことが、女性にとっても、男性にとっても、社会にとっても重要なビジネスチャンスだと思 うということを、以前申し上げました。
それをこの中でどこかに込めていただければありがたいと思います。 - 八代会長代理
- それは北村委員のコメントにありますね。
- 住田委員
- そうですね。私も考えがまとまっていないですが、趣旨としてはそういうことです。
- 伊藤委員
- ただ、八代委員がおっしゃるように、このままではわかりにくいですね。書くならもうちょっとわかりやすい表 現で、従来女性が担ってきた無償労働を、起業の中で経済的な評価に結び付くような方向へ転換をするんだという話を もっとはっきり書かれた方がいいのではないか。「無償労働」という言葉自体がまだ十分に認知されていない上に、この文 章から訴えたいことを読者がつかみ取るのは難しいのではないかと思います。この辺はちょっと工夫が要ると思います。
- 岩男会長
- それでは、そういった趣旨は是非入れたいと思いますので、今の御指摘のように、表現ぶりは誤解がないよ うに丁寧に表現するようにしたいと思います。
- 松田委員
- 同じことだと思いますが、ビジネスチャンスというか、経済活動の減少が一方において起こっている中で、こ ういうものが経済活動の一環として、いわゆるマーケット・メカニズムに乗ってくるようになることは、日本にとっては一種 のニューフロンティアじゃないかと思っていますので、この辺を少し強く言ってもいいのではないかという気がします。
- 伊藤委員
-
経済的な評価という点では、従来、女性が担ってきたとされている家事や育児、介護という労働の価値を、 経済面で評価するということの意味合いが本当は必要なのでしょうけれども、そこまで書き込むかどうかというのは重要 な議論だと思います。
従来の女性が担っていた無償労働は安い労働になりがちなわけですけれども、これからの少子高齢社会を考えたとき に、教育とかケア労働とかの人的資源に対するサービスみたいなものの経済的な評価をもっと高めていくことが大切に なってくると思います。そのような議論ができたらいいなと思いますけど、それは難しい話になってくる。 - 八代会長代理
- そうだと思います。先ほど伊藤委員と住田委員が言われたことは非常によくわかります。ですから、起 業の次に挙げられるNPO法人に過度に頼るのではなくて、きちんとした報酬を得たサービスを受けるべきだという話はよ く理解できますし、そういう意味で更に家事労働から市場労働に転換していくことは結構なことだと思いますが、それはあく までも政策的には中立でなければいけない。専業主婦にとどまる方が有利になる税制とか、社会制度を変えることは当 然ですが、それは中立的に変えるのであって、中立をさらに越えて、無償の家事労働をできるだけ有償労働に変える方 向にまで政策を進めていくことには、経済学の立場からすると、やや異論があります。
- 山口委員
-
起業とSOHOにも関係しますが、男性が中心になってつくってきた社会が出来上がっているわけで、そうい うところに女性が参入することは非常に難しい。そうすると、そこに参入するには、今まで無償労働をしていた分野、しかも 世の中が社会化を要求している時代になって、家事とか育児とか、そういうことで入り込むことは女性としては一つのアイ デアだと思います。
経済学者の考え方と、女性運動の人たちの考え方と、少し異なるかと思い申し上げましたが、結論においてはそう変わ らないと思います。表現の仕方だと思います。 - 八代会長代理
- それでは、そこは分かるように表現を工夫していただきたい。
- 岩男会長
-
そうですね。
それでは、北村委員の2点目の御意見として、「安い労働力だからNPO法人は女の力で、という性別役割分担の構図 に陥らないように」という御意見ついては、今すでに御指摘がありましたから、文章に付け加えるということだと思います。 - 山口委員
- 私は、どうもNPO法人に対して十分に共通理解を持っていないのではないかと思います。やはり民間企業 の利潤追求とNPO法人の目的は最初から、関わる人たちの姿勢が違うと思うんですよ。その結果、NPO法人の取組の ような公共の問題を積極的にやっていこうという人は、ある程度、賃金が安いのは仕方がないと思います。ただ、そこに関 わる主要スタッフの報償などは保証しなければいけないですが。さきほど私は北村さんを支持しましたが、NPOが関わる 目的には、もっと、公共性とか社会への貢献とかいう意味があるので、安い労働賃金の場所とは考えたくないと思います。 むしろ、こういう活動にどんどん女性たちが中心になって入り込むことが社会の活性化につながると思うんです。いかが でしょうか。
- 竹信委員
-
おっしゃる意味はとてもよくわかるのですが、「収入が確保できない仕事だから」というくだりをなくして、問題 は、性別役割分業が今のところはまだ出てくるんですよ。男性の方が賃金が高かったり、家族を養うという構造がなくなら ないと、安い労働力となると女性ということになってしまうということがある。女性だけで担うことは、NPO法人自身も健全 な発展が阻害されます。現にもっと労働時間が短くなって、男性がそういうところに進出できるようになれば男女ともに担 える、もっと豊かなNPO法人ができるはずなのに、今のところはそうなっていないというのが事実です。
ですから、仕事だからということをやめて、「安い労働だからNPO法人は女の力で」というところは直してもいいけど、一 応生かして、「性別役割分担の構図に陥らないようにして健全な発展を」とした方がいいかと思いました。 - 岩男会長
- これは小さな御質問ですけど、アメリカのNPO法人などは、ノンプロフィット・オーガナイゼーションでスター トしても、プロフィットメーキングになる事業ができてくると、それを独立させて非常に大きなビジネスにしたりしているんで すけれども、日本の場合はそういうものは視野に入れてはいけないのでしょうか。もっと夢があると思いますが。
- 山口委員
- 逆に言うと、アメリカなどに行きますと、例えば女性に対する暴力のシェルターのNPO法人がありますが、 他にもいろいろなNPO法人がありますよね。日本と比べたら比較にならないほど。今、あの人たちも文句を言っているん ですよ。アメリカの政府は余りにもNPO法人とかNGOにたよりすぎると。そういう批判があります。だけど、日本は少なす ぎるという批判がある。
- 住田委員
- アメリカはNPO法人の寄付税制がかなり発展していますので、政府が出さなくても民間へ資金が集まると いう仕組みはよくできていると思います。やはり日本でもそういう方向は検討してほしいと思いますね。
- 山口委員
- そうしないともっと伸びないですよね。
- 住田委員
- そうですね。
- 伊藤委員
- 今の住田委員の御意見を、僕もサポートしたいと思います。NPO法人に対する免税措置等々についての検 討は、これまでも行われているわけですよね。それを一言入れてもいいのではないかと思います。
- 岩男会長
- NPO法人への支援として入りますね。
- 山口委員
- 考えてみると、NPOで活躍するというのは、女性だけじゃなくて男性もなんですよね。つまり、純然たる企業 だけではなくて、男性ももっとNPO法人に参加するというか、まさにこれは男女共同参画のこれからの大事な点ではない かと思います。きっと、女性だけの支援というと、ここは少し抵抗があるかもしれませんが。いかがでしょうか。
- 坂東局長
- アメリカなどでも、お金を儲けたい人は企業に行くわけで、NPO法人で働く人は決して高い収入を得ようと 思ってNPO法人に入ってきているわけではない。しかし、それ相応の、暮らしていける程度の収入は得られるけど、日本 の場合はまだ余りにも低すぎるので、NPO法人には女性だけになりがちではないかということを北村さんは指摘している と思います。
- 河崎専門職
- 現状分析のデータとして、そもそも我が国のNPO法人に女性が多いというデータがございます。財政規 模も弱いという現状分析が中心になっておりましたので、こういう現状分析があることを踏まえ、北村委員のご指摘を文章 にさせていただきたいと思います。参考資料にも、現状分析のもとになるようなデータを添付する予定ですが、NPO法人 には、女性の家事従事者(主婦等)が多いというデータも添付します。
- 岩男会長
-
ほかによろしゅうございますか。
それでは、古橋委員の御提案ですけれども、「基礎学力の上に立って」というご指摘を挿入するということについてはい かがでしょうか。 - 村上課長
- ご指摘の主旨は、企業が求めているのは即戦力ということでは必ずしもなくて、基礎学力があって応用がき く人材ということです。そういうことを強調したいので、このような表現がよいということを言っておられました。
- 岩男会長
-
それでは、誤解がないような形にこれは基本的には挿入するということにしたいと思います。
次に、多様な働き方について八代委員と竹信委員からのご意見について御議論をいただきたいと思います。 - 八代会長代理
-
もとの文書を変えて、現状の説明ですが、現状分析の説明をもう少しクリアにしてはどうかということで す。その主旨は、働き方の多様化は決して一時的なものではないということだけです。それに対して竹信さんのご意見 は、最初の長期雇用でない非正規社員が増加する要因として人件費の削減などを挙げることはそのとおりだと思うんで すが、あとのところは、もう一点、人員削減による長時間労働者の増加と、低賃金の短時間労働者の増加が同時に進行 しているとする書き方では、働き方の多様化は悪であるということになるんです。つまり、労働時間が長くなり、低賃金の 人が増えるということですから、今までの議論の趣旨からはかなり逆行するのではないか。この場では、働き方の多様化 はそれなりに評価して書いてあるので、それとの矛盾みたいなものが生じるのではないかということが1点あります。
それから、その直前の文章との並びで見ますと、「長期雇用でない非正規社員(パートタイム労働者、アルバイト、契約 社員、派遣社員など)も増加しており」と書いてあるのですが、このうちパートやアルバイトは確かに低賃金かもしれませ んが、契約・派遣社員は、専門的な分野であればそういう人たちの賃金は決して低くはないわけで、それを全部低賃金と 言うべきなのか。あるいは、彼らは、パートタイムやアルバイトは短時間労働者かもしれませんが、派遣とか契約は必ずし もそうではなくて、むしろ短期間労働者である。短時間と短期間が混在しているのが非正規社員の特徴なので、それが 「働き方の多様化」というテーマになるわけですから、要約の仕方としてどうでしょうかというコメントです。 - 竹信委員
-
御趣旨はよくわかりました。
八代委員は、後の方の意見はおっしゃる趣旨がよくわかりましたので、取り下げても構いません。
ただ、もとの文章の「雇用情勢」のところで、週60時間働く人の割合が高まるという現状分析において「調整がなされて いる」というご指摘がありこの調整の意味が何かよくわからなったので、それをもう少し鮮明にした方がいいという意味もあ りました。ですから、後の方は、確かに「多様化」には2つの意味があるので、一方だけに引っ張りすぎるのは、いろいろな 説明が必要となってくるというのはおっしゃるとおりだと思いますので、後の意見は結構です。
前の方には一応、今の現状ではこっちに引っ張られているだろうなと思ったので、これを入れておきますと、単に多様化 と言っても両面あることがわかりますので。 - 岩男会長
-
それでは、前のご意見だけを現状分析に入れるということで、ただいまの部分については合意が得られたこ とにさせていただきます。
それでは、次に山口委員からのご指摘については。 - 岩男会長
- これは、女性の起業に対する支援策の方向において「女性が自発性や創造性を発揮し起業やSOHO・テレ ワークにチャレンジするには更なる支援策の充実が必要」という意見を追加するということですね。
- 山口委員
- そうです。
- 岩男会長
-
これは特に問題がないかと思いますけど、よろしいですか。
では、そのような形で処理させていただきます。
その次は、竹信委員からの御指摘です。 - 竹信委員
-
今の女子学生の問題点として、男女の差で、ジェンダーで言うと、女性の場合、差別的な扱いとか何かが ちゃんと解決されていないことが結構多いんです。そういった差別の解消につながるものを、あえて何らかの形で入れた 方がいい、何らかの監視のための情報把握を一層強化し差別的取扱いがあった場合に必要な対応ができるようにすると か、法的に支えるものが必要だろうと思いました。
それと、これを言いますと、確かに現状では、都道府県労働局雇用均等室の人員が大変少なくて、全て対応するのは大 変だろうということは、私も取材等々で承知しております。雇用均等室でやるかどうかはまた別の問題で、例えばそういっ た就職支援を行うNPO法人や女性センターの相談窓口との連携を図り、ひどいものは雇用均等室で扱っていただいて、 軽微な相談は違う解決の方法をするとか、何もそこだけに全部負わせるという意味ではありません。そのような現状も踏 まえこのような意見を入れた方がいいかと思いました。 - 山口委員
- 大学はどうでしょう。就職を一生懸命に進めながら、こういう状況を受けても、大学はそれから先は受けない わけですよね。大学自身がこういうデータを集めて申入れをしてくれたりするといいんですけどね。
- 岩男会長
- 現在の大学は、とにかく就職率を高めることで手一杯ですね。
- 山口委員
- クレームなんか言っていったら、もう入れてくれないという逆効果があるのでしょうか。
- 伊藤委員
- 関西は、いわゆる部落差別の問題も含めて、就職採用の段階で差別的な取扱いがなかったかどうかを、 チェック票を学生に配付して対応しているところもあります。それを女性差別に拡大する形で対応することも可能だろうと 思います。
- 山口委員
- チェックリストを出された先はどう処理されるんですか。
- 伊藤委員
- 大学の方でまとめて、企業側にこういうことがあったようですから注意してくださいと申し上げる形です。
- 山口委員
- そういうルートがあるといいんですけどね。
- 岩男会長
- あるいは、そういう制度を提案することはできると思うんです。
- 山口委員
- それはそんなに労力がかかることではないと思いますし。
- 伊藤委員
- 就職差別の申し出のフォームが決まっていまして、そのフォームを学生に配付して、何かあった場合は、大 阪の大学連合の中で処理して、問題がある企業に関しては申入れをするという仕組みです。
- 岩男会長
- それは別に大阪に限らず、全国でやればいいと思います。
- 伊藤委員
-
その通りだと思います。
就職差別ということで対応していますから、人権一般で対応できるはずです。特に女性差別の問題に広げるという形で 適用することも十分可能ではないかと思います。
ただ、ある種独自の努力の中で行われるということで、それを促進することが政策的には重要だろうと思います。 - 山口委員
- 女子学生が元気を出して欲しい。差別的取扱いに対してちゃんと異義を申し立てるというか。
- 伊藤委員
- 相手側には匿名で情報を収集してそれを分析した上で申し入れます。確かに個人が特定されない形の対応 が前提でないとなかなか対応しにくいと思います。
- 坂東局長
- NPO法人や大学等も含めた関係団体が連携して、差別的取扱いがなかったかどうかについての情報把 握、指導体制を一層強化するということですね。
- 山口委員
- 今、局長がおっしゃられたように、差別的取扱いについての情報把握の強化というのはいいのではないで しょうか。もちろん、それに対して監視指導体制につながっていくわけですから。情報がないと言えませんものね。
- 村上課長
- 情報が寄せられましたら、労働局はまじめに対応しています。私は昔室長をしておりましたけど。ですから、 まず情報が来ることが大事なので、そこのところに重点を置いて書かさせていただきたいと思います。
- 山口委員
- 女子学生が役所に行くというのはなかなか厄介なので、だから大学とか身近なところで対応できないかとい うのが私の考え方です。
- 伊藤委員
- 一部のNPO法人で、これを独自にやっておられるところが去年からあります。こういったところと提携するの も良いと思います。でも、あまり集まらなかった。僕も協力してやったんですけど、3通くらいしか来なかった。しかし、書い てあるのはひどい差別的扱いを受けたと訴えている女子学生がほとんどでした。
- 竹信委員
- できれば、大学で女子学生の相談に乗るときに、ひどいものについては都道府県労働局雇用均等室へ通 報してくれるという形ができれば本当は一番いいと思うんです。やっぱり、チャレンジって、サポートシステムとして自分が 異義を申し立てれば報われるということがすごく大事なんですよね。何を言ってもだめだと思われているところではできな いということがあります。
- 坂東局長
- みんなあきらめてますものね。
- 八代会長代理
- 別にあきらめているのではない。つまり、すでに働いている労働者の場合だと、そういうことを告発する ことが自分のメリットになるんですが、私が勤めていた大学の女子学生は、そんな差別のあるところに行ってやらないとい う反応で告発する必要は感じない。自然とそんなところはつぶれるだろうという意味で、決して別にあきらめているわけで はなくて、無視しているだけにすぎないというのが私の理解です。
- 竹信委員
- そういう方もいらっしゃいますが、差別的取扱いにあって腹が立って、何とかしたいと思っている人もいます。
- 八代会長代理
- 別にそれには反対しませんが、一方的に弱い女性ばかりではないということです。
- 竹信委員
- 弱いというよりは、そういう問題意識を持つのは強い方ですけど、やはり1人で言っていくというのは、確かに 大変で面倒くさい。それから、報われないことをやる人は誰もいないので、勝てない勝負に出る人はいないんですね。だか ら、勝てる勝負をさせることがある程度必要だという話です。
- 岩男会長
- 次に、高橋委員から「オ、チャレンジ支援のためのネットワーク等環境整備」に関する意見として、その重要 性と情報ネットワークの構築等の環境整備についての重要性をより強く打ち出していくことが必要であるとの御意見があり ました。高橋委員の御意見は、全くおっしゃるとおりだと思います。
- 高橋委員
- 地域におけるネットワーク化を図るということの中に、当然、オンライン上のネットワークもお考えだと思いま したけれども、これを読むだけでは、オンラインよりはオフラインといいますか、現実社会におけるさまざまな機関が相互 に連携してつくっていくというところに重点が置かれているような感じがしたものですから。もちろんそれも重要ですけれど も、もう少しオンライン上でネットワークをつくっていくことも打ち出した方がいいのではないかという趣旨です。
- 岩男会長
- 全く同感でございまして、私はむしろ、オンラインの方を考えておりましたけれども。もう少しはっきり伝わる ような書きぶりにするということでよろしいでしょうか。
- 岩男会長
- それでは、次に、「再チャレンジ支援」のところの御説明を事務局からお願いしたいと思います。
- 村上課長
-
次に、「オ.働き方の選択肢が少ない雇用システム」のところについて、御意見を八代委員からいただいてお ります。「低賃金の短時間労働者」のところには「短期間」も入るのではないかということ。
それから、「世帯主の雇用保障を重視する政策と矛盾することから、新たなチャレンジは難しいと言わざるを得ない」と いうご意見があります。ここは、日本の雇用システムの評価に関わってくるかと存じますので、御議論があるかと思いま す。 - 八代会長代理
- これは、前回の委員会で、たしか古橋委員でしたか、何が障害になっているかが原文ではよくわからな いという御指摘があったので、もう少しはっきり書いたらどうかというだけの話です。
- 村上課長
- 次に、また八代委員から、「カ.社会保障制度・税制等」のところで、「それが周知徹底されていないことや、 依然として配偶者の収入増加によって世帯主の税控除額が減る仕組み自体は残っていること等から就業調整を行って いる者は依然として多い」という文言にしてはどうかという御意見をいただいております。
- 八代会長代理
- 補足させていただきますと、財務省がまさにこういうことを言っているのです。すなわち、消失控除を設 けたことによって逆転減少がなくなったから配偶者控除の問題はもう解決したというわけです。あとは一般の人が誤解し ているだけだという表現をとっておりますので、決して誤解ではなくて、これは50%の限界税率をかけられているのと同じ ですから、当然、就業調整を行うのは当たり前であることを明確にしたいと考えております。
- 伊藤委員
- 基本的に賛成ですけれども、世帯主とか配偶者というのは、必ずしも男性に限らないわけで、「男性の世帯 主」とか、性別についてはっきり書いた方がよくはないですか。世帯主は男性であると、ある面ではそれを前提にした形の 書き方になっていますけれども。
- 八代会長代理
- それは逆であって、別に女性が世帯主であっても税制上の取り扱いは同じです・・・・・・。
- 竹信委員
- 女性世帯主の場合、余り保障されていないことが多いんですよ。シングルマザーのケースは典型的です。
- 八代会長代理
- それを言いますと、財務省からは、税制は男女にとって中立的だという反応が必ず出てきますので。
- 伊藤委員
- 「配偶者の収入増加」というのも、女性配偶者の収入増加ですよね。配偶者は男性の場合もあるわけです から、そこのところはちょっとうまい工夫をした方がいい。ジェンダー化されている状況を前提にした書き方にしない方がい いだろうと思います。
- 村上課長
-
その辺は、関係省庁から言うと、正確な書き方にという話になると思います。
次に、八代先生からの御意見ですが、竹信先生からの御意見とあわせて御議論いただけるとよろしいかと存じます。 「低成長の下で競争力強化のため」とし、また、「過度の雇用保障の下で、男女を問わず、中高年の中途採用機会が抑制 されることは、労働市場の機会均等原則に反するものとなる」と。この辺りをどう書くかということの御議論があろうかと思 います。
それから、長期雇用のところで、「一方、倒産、リストラ等で失業する者も出てくるため」、「再チャレンジの機会の拡充 は、女性のみならず男性にとっても必要である」ということは、これまでもよく議論になっていましたのでご意見として入っ てくることと思います。
それから、竹信委員から、「年齢や性別にとらわれない能力の評価システムが確立されていないこと」を付け加えてはど うかということが出ております。
次に、「ウ.年齢にかかわりなく働ける社会の実現」のところです。八代委員のご意見として「現行の定年までの雇用を 保障する制度・慣行と、定年時の強制解雇とは表裏一体の関係にあり、高齢化社会での人材活用の妨げとなっている」 ということと、一番最後のところに、年齢制限を禁止することのほかに、「また、現在は判例法にゆだねられている解雇の 基準やルールについて立法で明示することを検討すべきである」ということが出されています。これもいろいろ御議論があ ろうと思います。定年を強制解雇という言い方はどうかという話もございましょうし、いろいろ御議論があろうかと思います。
以上です。 - 八代会長代理
- 定年は本質的には解雇ですね。
- 松田委員
- 定年になったときに、「解雇する」と書いてあるものと、「退職する」と書いてあるものとで違ってくるんです。
- 八代会長代理
- 退職金の問題とかもあります。
- 松田委員
- そうです。
- 岩男会長
- それでは、順番に八代委員の御指摘のところから、いかがでしょうか。
- 八代会長代理
- 最初に申し上げました、ここの竹信委員のコメントは、私は全く異義がございません。純然たる追加で すから。
- 岩男会長
- 事務局の方は何か問題がありますか。
- 村上課長
- 「過度の雇用保障」という表現にこだわるところもあるかもしれません。
- 八代会長代理
- それと、先ほど出た「強制解雇」を「強制退職」と変えるのは、別に結構です。あるいは、「合法的解雇」 というのもありますが。
- 村上課長
- どういう表現がよいか、ちょっと相談させていただきます。
- 岩男会長
- 「年齢や性別にとらわれない能力の評価システムが確立されていないこと等が大きな阻害要因となっている と考えられる」という意見を追加をするというのは、竹信委員からの御提案ですね。
- 竹信委員
-
男女で賃金が違うということが未だにそれがしばしば紛争の種になっているという現実がありますので、年 功賃金が問題なのもそうですが、こういう公正な評価システムの確立が必要ということを入れたという程度です。
また、「確立されていない」の前に「十分に」と入れた方がいいかもしれないと思います。 - 岩男会長
- そうですね。
- 村上課長
- 年功的な賃金カーブになっているという賃金システムの問題があるから、それとの関連での表現をどうする かということが意見としてはあるかもしれません。
- 竹信委員
- それは御検討いただければ結構です。
- 岩男会長
- それでは、次に「ウ.年齢にかかわりなく働ける社会の実現」のところで、八代委員からの御提案ですけれど も。
- 八代会長代理
-
補足しますと、今までの議論だと、何が年齢にかかわりなく働ける社会の実現を妨げている要因かとい うことが見えていないのです。だから指針とか何かそういう法律をつくればいいというスタンスになっているんですが、私の 方はそうではなくて、やはりなぜ年齢や性別にかかわりなく働けないかというと、別の保護主義があるからそれと矛盾する のだということです。それから目をそむけて、通達や指針ではほとんど実効性はないでしょうということを明らかにしたいの ですが、それもできるだけ趣旨を残すようなことでがんばっていただきたいと思います。
ここでは、なぜこういう問題があるのかという現状説明が重要なのであって、政策はそう簡単にはできないから、いろいろ と可能性とか検討をうまくやっていただければいいのですが、なぜそういう問題があるのかということはぜひ説明させてい ただきたいということです。 - 村上課長
- このことをどう表現するかについて、相談させていただきたいと思います。
- 岩男会長
- もう1点、八代先生から御提案になっているところで、「現在は判例法にゆだねられている解雇の基準や ルールについて立法で明示する」というご意見は、いかがでしょうか。
- 八代会長代理
-
これは坂口厚生労働大臣がいつも言っておられることで、逆に言うと、先ほどもちょっと議論に出ました が、定年まで待たないと能力のない人でも解雇できないんですよね。それがまさに定年延長等ができない。形式的平等で やらなければいけないということのひとつの原因でもあります。
ですから、きちんとしたルールをつくって、例えば客観的な基準で能力を評価できたとしたら、それに基づいて一定の範囲 の人にとってはきちんとした補償金を払うような形で解雇できるというルールが明確になれば、ある意味で定年の必要性 自体がなくなってくるのではないかという考え方があって、これは経済学界ではかなり広く受け入れられている考え方で す。それを指摘するためにはこういうことも必要ではないかと思います。だから、「検討すべきである」がきつすぎるのであ れば、「検討の可能性」とか、その辺の表現についてはいろいろ妥協の余地はございますけど。
厚生労働省の雇用政策研究会でもこれに近いことは言っていたはずです。 - 松田委員
-
これは2面あって、結局、立法化が難しいのは、判例法自体が変わってきて解雇しやすくなってきている。要 するに、解雇の制限の法理は、社会的客観的合理性とか、社会的に見て妥当と言えるかという、非常に流動的、弾力的 なものですから、今のような厳しい時代になると、能力がない者はクビにしてもしようがないんだと。一番いい例は、最近 特に増えているのは、もともと雇われたものではない仕事に行ったものですから能率が上がらないわけです。それでクビ と。出向させたら仕事ができないからクビというのも裁判所によって認めるというんです。だから、それならむしろ立法化し て、もう少しきっちり解雇制限した方がいいという議論が連合ではあります。
こちらの意見は、今の判例は甘すぎるから、もう少し踏みこんだらどうかという立場ですよね。恐らくその議論はまだ続く と思います。大変難しいところだと思います。 - 八代会長代理
- 松田委員がおっしゃることをちょっと補足しますと、日本経営者団体連盟も立法化には反対です。
- 松田委員
- 立法化についてはそうなんです。日経連は、今のような判例の傾向は、当然、裁判官も、世の中の移り変わ りを見ながら、それが反映していくのはいいことではないかという評価があるんです。
- 八代会長代理
- ただ、問題は、判断のぶれが非常に大きくて、そういう裁判官もいれば、全然違う考え方の裁判官もい て、非常に不確実性がある状況です。
- 松田委員
-
ただ、司法制度改革で言っているように、一般に若手の裁判官は、これは大げさだと思うけど、8割が使用 者側に軍配を上げているというんです。労側は2割しか勝っていない。なぜかというと、労側勝訴の例が全体の解雇労働 者が上げた事案の2割しかなくて、あとの6割、7割は和解で済んでいる。和解というのは、大体は解雇を承認して、退職 金にちょっと色を付けてもらうという形ですから。だから、実質的に救済されるのは2割しかない。結局、若手の裁判官の 感覚は、昔の憲法25条とか27条、28条、そういう感覚が薄れてきているという言い方をしているんですけれども、これは 司法制度改革審議会が言っているわけで、僕はそれには必ずしも賛成ではありません。
ただ、そういう判例にゆだねると、八代委員がおっしゃったように非常にぶれが大きいので、もう少し安定して予測可能な ものにしなければならないという議論は常にあります。だけど、それは、立法によって果たしてその目的が達せられるのか どうかというのは、アメリカでも立法化が必ずしも進まなくて、僕に言わせれば、日本の今の法理の一番問題なのは、解 雇無効ということが現実に反しているということだけです。損害賠償でいいじゃないかと。解雇無効というのは、どう考えて も、訴えた方も実は居心地が悪いのに、なぜ無効にしてしまうのかと思います。 - 八代会長代理
- 賠償のきちんとしたルールをつくればいいと思います。
- 松田委員
- それは立法によってね。だけど、あれは法律が無効にすることになっているんですよね。だから、あれは 我々の責任もありますが、意思表示の無効理論がああいう形で用いられているというのは異例なことなので、それを修正 するための立法措置は必要だと思います。
- 八代会長代理
-
もう1点補足しますと、判例法の問題点は、訴えなければ利益がない。ですから、訴えるだけの資力が ない中小企業の労働者は全く保護されていない状況になって、連合が考えているような、何年でも裁判費用に耐えられる ような大企業の組合は、むしろある意味では現行の判例の方がむしろ望ましい面がある。
ですから、そういういろんな意味があって判例法に全面的に依存するような今の状況は望ましくないのではないかという 考え方です。 - 住田委員
- 先ほどのところに戻りまして、「過度の雇用保障」のくだりのところですが、それによっての弊害としては、中 高年の中途採用機会が抑制されていることは間違いないと思いますが、実質的には新人採用もかなり出ますので、ここ で「特に」と入れておいていただくことによって、新人の、特に女性の新規採用の機会が抑制されているところに心を込め ていただければと思います。
- 岩男会長
-
それでは、「ウ、年齢にかかわりなく働ける社会の実現」について御議論があったところに戻りますけれども、 今いろいろな問題があるということがそれぞれ御指摘がございましたので、当面は、語尾をより明確にするということでい かがでしょうか。
今のようないろいろな御説明を伺うと問題点がよくわかるのですけれども、そこまではなかなか書き込めないのではない かという気がいたします。 - 八代会長代理
- それは前回の委員会で、これでは阻害要因がわからないから、わかるようにしようということで修文し ようということですから。なぜそうなっているかという説明のところは、説明文を入れていただきたいと思います。政策につ いては、もちろん協議しなければいけませんけれども、事実認識はかなりの程度、解釈の幅があってもいいのではないか と思います。
- 岩男会長
- そうですね。現状の阻害要因ですね。
- 八代会長代理
- 厚生労働省の雇用政策研究会の報告はもっと明確に書いてありますよ。あれをぜひ参考にしていただ いてね。それはまた個別にいろいろ協議させていただきたいと思います。
- 岩男会長
- それでは、そういうことで事務局の方は大丈夫ですか。
- 村上課長
- 厚生労働省の研究会とここでは重みが違うということですが、調整をさせていただきます。
- 岩男会長
- 次に、農林水産分野におけるチャレンジ支援に移りたいと思います。
- 村上課長
- 農林水産分野でございますが、竹信委員から御意見をいただいております。「(2) 支援策の方向」において 「また、女性の経営における貢献の明確化を図る観点から、家族経営協定の活用を図る。さらに、男女共同参画を促す 近代的な経営を導入するため、法人化の促進を行う」と書いてはどうかという御意見をいただいております。
- 竹信委員
-
これは、女性を低い位置づけの明確化になってはいけないかなと思ったので、「貢献」にして意味をはっきり させた方がいいかなと思ったことが1つ。
それから、近代的な経営というと、一般的に言うととても両義的で、近代化なら全部女性の地位が上がるかというと必ず しもそうではないケースも歴史的にはあるものですから、より意図をはっきりさせるために、男女共同参画を促す近代的 な経営のためにということで、近代化の目的は生産性の向上だけではなく、男女共同参画のためであるということを一応 入れておいた方がはっきりするのではないかという趣旨です。 - 岩男会長
- いかがでしょうか。何か御意見がございますか。
- 竹信委員
- 目的は、男女平等であることが読み間違われないようにしてくだされば結構です。
- 岩男会長
-
それでは、そういう方向で取り入れるということでよろしいですね。
それから、松田委員から、全体に関する御意見が出ておりますね。 - 松田委員
- はい。気になったものですから。終わりのところに随分、「女性が(は)」という議論が多くありましたので、男 女ともにというまとめではどうかと思っております。
- 村上課長
- 最後の呼びかけにおいて、男性も女性にもアピールするようになると思います。
- 松田委員
- ここで言いたかったのは、必ずしもここでの議論がこのままでは真意が読み取られていないんですよね。本 当は男性も女性もみんなでやろうと言っていることなのですが、それをやる前に、その準備作業としてイコール・フッティン グにしようではないかというだけの話なのに、家庭崩壊等という話になって理解が得られにくい。そうじゃないわけですよ ね。男女ともに、両方が話し合って、形式的なしきたりに基づいた結び付きではなくて、本当に意志をともにしようという、そ のための夫婦別氏制だということが全然認められていないというのは、やはり表現に問題があるのかもしれないと思いま した。男女ともに「レッツ!」という要素を入れることは必要じゃないかなと思ったのですが、どう文章に入るか分からない ものですから、こういう漠然とした言い方をしてしまいました。
- 岩男会長
-
おっしゃっていることは私も全く賛成でございます。
次に、樋口委員から御提案があるわけですね。事務局から説明してください。 - 村上課長
-
樋口委員からのご意見としては、タイトルをどうするかというお話でした。
「生涯にわたる女性のチャレンジ支援プラン」で、提案のところと関連して、具体的にいくつかの案をいただいておりま す。 - 岩男会長
-
検討する1つの点は、最後に具体的な「プラン」にするのか「呼びかけ」にするのかということですね。
まず、樋口委員からの御提案がございましたので、まずこれを検討してはいかがかと思います。 - 八代会長代理
- 先ほど松田委員がおっしゃったのですが、私は「女性の元気は、男性と社会全体の活気につながりま す」がいいのではないかという気がします。
- 岩男会長
-
これは、「女性の元気は、男性と社会全体の活気につながります」という、最後まで言わないとわかりにくい ということでしょうか。
私は最後は「……活気」で体言止めでいいように思いますが、いかがでしょうか。 - 住田委員
- 「……活気に」まではいかがでしょうか。
- 伊藤委員
-
「……男性と社会全体の活気」となると、ちょっともたっとしますね。
「女性の元気は男性の元気」はどうでしょう。社会は何か別のものでもいいですよね。 - 住田委員
- 「女性の元気は男性の元気、社会の活気」とか。
- 岩男会長
- それでいいのではないでしょうか。
- 松田委員
- それでいいと思います。
- 伊藤委員
- それでもいいと思います。「ゆとり」じゃなくて「元気」にして。
- 山口委員
- いいと思います。総理大臣もああおっしゃっているんだから。
- 伊藤委員
- あるいは、「女性の元気」を「チャレンジ」にするとか。「女性のチャレンジは男性の元気、社会の活気」と。
- 岩男会長
- その方がよいですね。
- 松田委員
- その方が元気が出てきますね。
- 岩男会長
-
その方が誤解がないですね。
それから、企業やひとりひとりへの呼びかけについてはどうでしょうか。 - 村上課長
- 呼びかけを提案されていまして、これは無難にまとめた案ですが、樋口委員は「ガールズ ビー アンビシャ ス」という言葉が気に入っておられて、ちょっとキャッチコピー風に書くならばということで、御提案をいただいております。
- 岩男会長
- 年代別に少女から高齢者まで3バージョン出ております。年代別に3バージョンというのはいいと思います が。
- 坂東局長
- シニアの方は、余りこれまで議論をしていないんですよね。
- 岩男会長
- そうですね。「生涯を通じて」という文言は入っていますが。
- 山口委員
- 「ビー アンビシャス」という言葉は、前から意見として伺っていて、これは樋口委員が講演するときにキー ワードとしてお使いになる言葉ですね、3つとも。
- 山口委員
- 樋口さんが考えられたチャレンジ支援プランというものと呼びかけと、どういう関係ですか。
- 河崎専門職
- もともと事務局の方で用意させていただいた提案はあまりよくないということで、全く違うスタイルでというこ とであれば、こういったプランと呼びかけがあるのではないかということでご提案いただきました。
- 岩男会長
- 御説明があったように、もともとのものがお説教調というか、拒否反応がそこで出てきそうな感じだったもの ですから。
- 山口委員
- 考えてみると、ここの提案というか、これを見ると、中身はしっかり書いてあるんだけど、ここがちょっと緩く なって、あんまりインパクトがないというか……。さりとて「ガールズ ビー アンビシャス・プラン」でもないしね。中身は結 構いろいろおもしろいことが書いてあると今回は思っていますが、提案となるとおとなしい感じで、個性がないですよね。基 本的なことは押さえてあるけど。
- 岩男会長
- こちらの提案の方がオーソドックスですね。
- 山口委員
-
そうですね。
1つすごくいいと思うのは、「ひとりひとりへの提案」という言い方はいいですよ、今までは「社会への提案」とかいう呼び かけでしたけど、「ひとりひとりへ」の提案とするのはいいですね。 - 坂東局長
- あるいは、中間まとめのときにはこれは置いておいて、提案は最後の最終案のときに付けるという考え方も あるかと悩んでいます。
- 岩男会長
- それでもいいですね。今、無理に決めてしまうということではなくて。
- 山口委員
- これからまだ幾つかの課題を協議していきますね、「地域社会」だとか。全体として呼びかける部分もあるわ けでしょ。これを項目ごとにお付けになるつもりですか。
- 村上課長
- もし、この中間案を認めていただければ、最終案のときにまた別途そちら向けのものがあり得ると思います けれども、今回、十分検討する時間がないから、あわせて最終案のときに呼びかけようということでもいいかなと思いま す。
- 岩男会長
- キャッチコピーは決まりましたから。
- 松田委員
- 後半を議論した上で、ひょっとしたら「ひとりひとり」への提案をしようということになるかもしれないしね。やっ ぱり後をやってみないと。
- 山口委員
- そうですね。
- 岩男会長
- それでは、提案は後半でもっと検討したものを付けるということにしましょう。
- 山口委員
- 樋口さんもいらっしゃらないことだから、後でやったらいいと思います。
- 岩男会長
-
そうですね。
全体を通して、この中間まとめ案について、構成も含めてですけれども、御意見がございましたらどうぞ。 - 高橋委員
- 言おうかどうしようか迷っていたんですけれども、チャレンジ支援の前提として「少子化抑制にも寄与すると いう観点から」とあります。この「観点」が、最初に私が提案したことに関連するのですが、私の語感では、「観点」は「そう いう目的で」になると思うので、ここは、「寄与することを考慮して」とか、「観点」ではない言葉に変えていただいた方がい いと思います。
- 坂東局長
- そうですね。あるいは、「結果として」という言葉を補うとか。
- 岩男会長
-
そうですね。
ほかに何かございますか。
それでは、この中間まとめ案は、先ほど御説明いたしましたように、10月17日の男女共同参画会議において報告するこ とになっております。論点は本日の議論で概ね整理されたと思いますので、最終的な文言の修正その他は私に御一任を いただければありがたいと思います。きちんとしたものが出来上がりましたら、すぐにお送りして、修文などがございました らお伺いしたいと思います。
それでは、中間まとめ後の今後の基本問題専門調査会の検討の進め方について、事務局に御説明をお願いいたしま す。 - 村上課長
-
資料2を御覧いただきたいと存じます。
資料2に、検討方針としまして、中間まとめで取り上げました経済や農林水産分野のほか、引き続いて研究、行政、各種 団体、地域社会における女性のチャレンジ支援策を検討するということでいかがかと存じます。
検討の進め方につきましては、第6回の男女共同参画会議において了承されました、資料2別添の検討の進め方に基 づきまして、それぞれの分野における基本的な考え方、視点を整理して、女性の参画の現状を把握・分析した上で、こうし た取組を浸透させるための方策を中間的にまとめたものとあわせて総合的に検討して、本年度中にまとめることを考えて おります。
今後の検討分野としましては、まず「研究分野における女性のチャレンジ支援」ということで、例えば国立大学協会や学 会でいろいろ取組が進められておりますので、それをお聞きしたり、大学等研究機関におけるチャレンジ支援をお聞きした いと存じます。
次に、「各種団体における女性のチャレンジ支援」は、職能団体とか団体がいろいろございます。私ども内閣府で、各種 団体の実際の参画状況について調査をいたしておりますので、その御紹介もいたしますとともに、各種団体における支援 策についてヒアリングなども行い議論していただければと存じております。
次の大きな柱は、「地域社会における女性のチャレンジ支援」です。自治会などを中心に地方公共団体として、具体的 に取組を行っておられる地方公共団体もございますので、お話を伺ったり、町づくり、村づくりで女性が大いに参画されて いる例がございますので、その辺りについてもお伺いしてはいかがかと存じます。
次に、「行政分野における女性のチャレンジ支援」ですが、国家公務員、地方公務員、国際公務員、特殊法人などいろ いろございますが、そういう分野におけるチャレンジ支援も対象に加えてはいかがかと考えております。
これからの日程を考えますと、回数も余り多くございませんので、この辺りまでを後半の範囲として考えております。 - 岩男会長
- ただいまの御説明について、御意見、御質問がございますか。
- 山口委員
-
地方議会の問題ですが、議員は立法府や自治体の権限なので除きましたけれども、やはりこことしては、そ の問題を取り上げることが大事だと思います。地域におけるまちづくりの共同参画の現状を把握し、議論する必要がある と思います。男女共同参画白書だって、地方議員の進出状況を報告していますし、進出を妨げている要因があるわけで す。
だからどこかに、項目には挙げてはありませんけれども、それは検討するということで今から要望しておきたいと思いま す。私が少しそのことを調査しておりますから、我が会の調査結果から報告を申し上げてもいいかと思います。私の意見 としては、こういった機会に申し上げたいと思います。 - 岩男会長
-
そういう調査をしておられるのであれば、大変貴重な情報と思いますので、どういう形かは別として、御報告 をお願いします。
他に何かございますか。
それでは、ただいま御説明があったような方での進め方にしたいと思いますので、このような検討を行う旨を男女共同 参画会議に提案することにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異義なし」の声あり) - 岩男会長
- それから、最後に事務局から御連絡事項を伺うのですが、その前に、今になって思い出して恐縮ですけれ ども、この「チャレンジ支援策」に、どういうチャレンジかというイメージがよく伝わるようにということで例示が入っておりま すね。猿橋賞が入っていて、もちろん猿橋賞もいいのですが、どちらかといえば、ジェンダーを問わない賞で女性が受け ている国際的な大きな賞とかいろいろありますから、もし科学者を例示するのであれば他にもあるのではないでしょうか。
- 坂東局長
- ほかに適当な例があったような気がします。
- 岩男会長
-
さらに夢が大きく膨らむようなもので適当な例があったら、そちらの方がいいのではないかと思いましたの で、その例は少し工夫していただくということでお願いしておきたいと思います。
女性だけを対象にした賞を受賞というものではなくてという意味です。 - 坂東局長
- そうですね。
- 坂東局長
- 科学の分野は、男性が多くて女性が少ないというイメージがありますが、芸術分野だともともと女性がかなり 多いことは一般的に共有されているかなということで、科学の分野だけを取り上げたんですけれども、それが猿橋賞では なくて、男女ともにというものを挙げるということですね。
- 岩男会長
-
その方がいいかなということです。
それでは、それは御検討いただくということでお願いします。
それでは、これで基本問題専門調査会第16回会合を終了させていただきます。大変熱心な御議論をいただきまして、あ りがとうございました。
(以上)