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計画実⾏・監視専⾨調査会(第48回)議事録

  • ⽇時︓令和8年8⽉4⽇(火) 16︓00〜17︓35
    場所︓オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  • 1.開会
  • 2.議題

      (1)専門委員からのプレゼンテーション

      (2)事務局からの報告

      (3)女子差別撤廃委員会からの最終見解のフォローアップについて

  • 3.閉会

【配布資料】

資料1
  AIを知る(石黒委員提出資料) [PDF形式:1,452KB]別ウインドウで開きます
資料2
  AI時代の⼥性活躍推進ーテクノロジーの進展を踏まえた働き方改革と人的資本投資-(山本委員提出資料) [PDF形式:2,913KB] 別ウインドウで開きます
資料3
  内閣府説明資料 [PDF形式:2,721KB]別ウインドウで開きます
資料4
  女子差別撤廃条約(CEDAW)の実施状況のフォローアップについて [PDF形式:164KB] 別ウインドウで開きます
資料5
  選択的夫婦別氏制度について(法務省提出資料)[PDF形式:3,943KB]別ウインドウで開きます
資料6
  緊急避妊薬含む現代的避妊法の提供について(厚生労働省提出資料)[PDF形式:510KB]別ウインドウで開きます
資料7
  母体保護法について(こども家庭庁提出資料)[PDF形式:298KB]別ウインドウで開きます
資料8
  フォローアップ事項に係る第6次男女共同参画基本計画(令和8年3月閣議決定)における記載[PDF形式:280KB]別ウインドウで開きます
参考資料
  計画実行・監視専門調査会委員名簿[PDF形式:55KB] 別ウインドウで開きます

【出席者】

会長 山田 昌弘 中央大学文学部教授
委員 石黒 不二代 世界経済フォーラム チェア・オブ・ジャパン
同 井上 久美枝 日本労働組合総連合会参与
同 大崎 麻子 (特活)Gender Action Platform理事
同 小林 哲也 小林総合法律事務所弁護士
同 佐々木 成江 東北大学DEI推進センター教授、
横浜国立大学教授/学長特任補佐「ジェンダード・イノベーション担当」
同 治部 れんげ 東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同 徳倉 康之 NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同 山本 勲 慶應義塾大学商学部教授
内閣府 岡田 恵子 男女共同参画局長
同 由布 和嘉子 大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同 吉田 真晃 男女共同参画局 総務課長
同 手倉森 一郎 男女共同参画局 推進課長
同 佐藤 勇輔 男女共同参画局 参事官(地域政策担当)
こども家庭庁 田中 彰子 成育局 母子保健課長
総務省 松林 直邦 自治行政局 選挙部選挙課企画官
法務省 笹井 朋昭 民事局 民事法制管理官
厚生労働省 紀平 哲也 医薬局 医薬品審査管理課長

議事録

○山田会長 皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまより第48回「計画実行・監視専門調査会」を開催いたします。
 本日、白波瀬委員、山口委員は御欠席と伺っております。
 初めに、御報告となりますが、男女共同参画会議議員として本調査会に参画いただいていた桑原委員が7月9日をもって退任されておりますので、お知らせいたします。
 本日の議事についてですが、本日はまず、石黒委員と山本委員から、今後、男女共同参画を推進していく上で重要な分野であると考えられるAIやテクノロジーに関し、雇用への影響やリスキリングなどについてプレゼンテーションいただき、その内容について、委員を交えて意見交換を行いたいと思います。
 その後、事務局から御報告を行っていただき、最後に、女子差別撤廃委員会からの最終見解のフォローアップについて、関係省庁から御報告をいただく予定です。
 では、早速議事に入ります。
 初めに、石黒委員と山本委員からプレゼンをいただき、それぞれの内容について意見交換を行いたいと思います。
 石黒委員、よろしいでしょうか。

○石黒委員 では、画面共有させていただきます。
 今日なのですけれども、恐らく皆さんどういう職業がなくなっていくのかとか、そういうところにご興味があられると思うのですが、今、AIの進展を見てみると、いずれ本当にAIが全て支配するというような世の中がなきにしもあらず、可能性として私はあると思っていて、ただ、さはさりとて、現在、私たちが日々刻々とAIのできることが拡大していくため、今日の判断と明日の判断が違ってくることも事実です。
 こういうときに非常に大事なのは、そもそもAIって何なのかとか、ITとか、コンピューターとか、過去30年、例えばプラットフォーマーとしてアメリカの独り勝ちになった原因とか、そういう俯瞰的に物を見るということを訓練しておいたほうがいいと思っていて、少なくともこの委員の方々と今後柔軟な判断ができるために、AIを俯瞰的に見る、コンピューターやITを俯瞰的に見る、というところに議論のポイントを置いておきたいと思っています。ですから、前半部分はAIの歴史だとかそういうこともお話しするのですが、一部の方はもうご存じだということもありますが、委員の方々の共通認識という意味合いで今日お話をさせていただきます。
 では、今日お話しすることです。AIを使う上で知っておくべきこと、それから歴史、先ほどのAIを俯瞰的に見るということ、それから職業の話、さらにAI時代に求められるスキルというのをお話ししたいと思っています。
 AIを使う上で知っておくべきことということで、まずAIの歴史をおさらいしたいと思います。
 AIというのは、実は70年以上前、チューリングさんという人が人工知能の父と呼ばれている人なのですが、1950年にまず、機械が人間になれるのかという問いかけ、チューリングテストを行いました。判断者が人間と機械その両方を見て、機械が人間と同じような判断をして、この人が人間か機械か見抜けなければ、テストをパスみたいな実験をやったのが初めなのです。
 ところが、それで非常に注目はされたのですけれども、ずっとAIは冬の時代が続いていました。AIの研究者の人は、何でAIやっているんですかみたいな目でいつも見られて、そういうことをよくお話しになるAIの研究者の方がいらっしゃるのですけれども、本当に支援も枯渇して冬の時代が続きました。
 AIというのは、当たり前なのですけれどもAI自体はもともと何も持っていないわけです。それに人間がルールを教えてあげる。例えば人間はこういう顔であるとか、Yという文字は斜め線・斜め線・縦線であるとか、ルールを全て教えていき、それをAIが覚え込むというようなやり方でした。その後、初めてのハイプは、1990年時代に機械学習というものです。マシンラーニングと呼ばれています。
 機械学習というのは、今までのルールを全部人間が教えてきたものから何が違うかというと、一部なのですけれども、AIがデータからルールを自分で学ぶようになった。つまり、大量のデータを見せて、正解を見せて、それをひもづけてルールというものをAIが学ぶようになったのです。これは人間の脳の動き方とは違うやり方ではあるが、結果としてできることは近くなりました。
 ここからもう一つハイプがあって、2012年、ディープラーニング革命みたいなものが起こってきました。機械学習とディープラーニングの違いは、先ほどデータからAIが自分でルールを見つけ出すと言ったのですけれども、これは一部だったのです。特徴みたいなものはやはり人間がAIにあらかじめ教えておかないといけないというものです。ただ、ディープラーニングになりますと、これが本当に全てのルールをAIが分かって、そして認識するということができるようになりました。
 当時、よく言われたことが、犬と猫を区別することができるようになったということでした。そんなこと当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、私たちも長い間、ずっと犬や猫を見てきて、やっとその違いを認識できるようになってきたのです。AIでは、大量のデータ量とコンピューティング能力の向上でディープラーニングが可能になりました。
 ただ、ここにもまだ限界があって、例えば文章とか文脈とかというものがAIには、まだ認識できなかったのです。これを認識できるようになり、AIの革命とも呼べる今に至ります。トランスフォーマーと呼んでいるのですけれども、ChatGPTはじめ、言語を理解するということです。言語というのは、私たちは小学生から国語をものすごく長い間学んできてやっと分かるという本当に難しいものですよね。意味合いみたいなものも難しいものです。けれども、これを理解し始めたというのが非常に今回のAIのハイプです。
 生成AIブームというのは、ChatGPTがローンチされてから2か月で1億人以上の利用者となり、この誰でも使えるようになったというのが非常に大きな意味を持ちます。専門家だけではなくて、誰でも使えるようになった。つまり、市場の広がりの土台になったということです。
 これを簡単にまとめたのがこの図なのですけれども、本来のAIはルールベースで動いてきたものが、機械学習でルールを一部学べるようになった。ディープラーニングで特徴さえも自分で発見するようになった。そしてトランスフォーマー、文脈とか言語を理解するようになったというのが歴史だと思っています。
 左側がその歴史で、右側にユーザー数みたいなものがあります。当初は、当たり前なのですけれども、研究者の人たちだけが使っていた数百人規模のAIの利用者だったものがだんだん大きくなって、ハイプがあるごとに大きくなって、今は一般ユーザーの人が使い始め、世界を変えるAIになったと思います。ChatGPTだけで10億人以上の人、つまり労働人口の17%にあたる人が利用者となったのです。
 マーケティングでキャズムの壁という言葉をご存知の方も多いと思います。要するに全利用者の16%の壁を超えると大きく広がっていく。その壁に到達しないと、いい技術でも結局なくなってしまうという壁なのですけれども、労働人口17%というものは、もう既にキャズムの壁をChatGPTだけで超えているのです。これは爆発的に広がるサインだと思います。
 今まで人間がデータを扱うときに、何をやってきたかということを次にお話ししたいと思います。
 私はデジタルマーケティングの会社を経営していたので常にこういうことをやってきたのですけれども、まず、世の中のデータは全てデータ化されていない非構造化データと呼ばれる構造化されていないデータに溢れています。文章とか音声とか画像とか映像とか、私たちが常に接しているものです。これはみんな私たちの世界では非構造化、構造化されていないデータです。これらのデータを使ってビジネスはなかなかできません。それをビジネスにするために、簡単にお話をすると、これを構造化データに変えるということを各企業はやってきました。
 構造化データとは何かというと、例えば銀行で石黒不二代という人が口座を作ります。彼女は千代田区千代田1-1-1に住んでいます。これは恐らくユニークな世界で一つのIDとなります。曖昧なデータを世界で一つのユニークなIDというものにして、それをコンピューターが分かるような言語にします。これが構造化データと呼ばれるものです。簡単に言うと主にアルファベットと数字の組合せが各個人につくユニークなIDです。これを本当に簡単に言ってしまうとエクセルシートの中に埋め込めるような形にする。こういうことを企業はずっとやってきたのです。
 ところが、今回の生成AIの登場でこれをする必要がなくなった。ただ、恐らくアプリケーションレベルでは、もっと細かいレベルではこれをしなくてはいけないかもしれないのですけれども、基本的には非構造化データから構造化データへの変換はする必要がなくなりました。
 また話は替わってコンピューターの話をします。
 コンピューターというのができたのはAIより前なのですけれども、左側が単独のコンピューター、私たちが普段使っているコンピューターです。これはコンピューターのレイヤーなのです。レイヤーを認識するということがすごく大事で、コンピューターを動かすためのレイヤーをすごく単純化したものが左の図です。いわゆるハードウエアやチップがあって、その上にMacでもありますよね。OSがあります。簡単に言うと順番を決めるみたいな、私たちがWordを使いながら、Excelを使おうと言うとささっと移動できるのはこのOSがあるからです。
 アプリケーションというのは、私たちが日々触っているものです。メールだとか、ECだとか、非常に細かいアプリケーション、皆さんiPhoneを出すといろいろなマークが出てくる。そのほとんどがアプリケーションなのですけれども、それがその上に載っています。ただ、単独のコンピューターの場合は単独でこれがあったのですけれども、インターネットが出てきてから右側のほうに移ってきます。これはネットワークにつながった場合のコンピューターです。ネットワークにつながるということは非常に価値の高いもので、ほぼ全ての通信機器がこれに当たるのですが、電話は1台では全く意味がないもの。でも2台つながるとすごく価値が出て、これが日本中つながるともっと価値が出て、世界中つながるともっと価値が出る。ネットワーク外部性と言うのですけれども、そういうふうになると、やはりハードウエア、OSというのは必要なのですけれども、それを早く動かすためにクラウドというものを使うようになります。有名なのはAmazonのAWSみたいなもの、今ではデータセンターも絡んでくるのですけれども、こういったネットワークがコンピューターの中に入ってきて、実はこのネットワークレイヤーはいろいろなレイヤーに関わってくるのですけれども、ここでは、取りあえずOSの上に置いています。その上に今のGAFAMみたいなものがプラットフォーマーとして出てきたわけなのです。
 このプラットフォーマーはなぜ出てきたかというと、アメリカ企業はこの図が常に頭の中に必ず入っていたのです。日本企業はこれが入っていなかった。これが物すごく勝敗を分けることになります。プラットフォーマーは自分たち、皆さんのiPhoneとかを見ていただければ分かるように、アプリケーションを提供しているのはほとんどAppleではなくて、いろいろなサードパーティです。APIというものを使って接続して、いろいろなアプリケーションを提供しています。だからiPhoneの価値が上がる。Amazonにしてもそうです。Amazonは全部の商品を作っているわけではなく、各店舗がつながることによってECの価値が上がっていく。この図を常にアメリカの経営者は熟知していたにもかかわらず、日本企業はそうでなかったのです。
 なぜこれを今更お話しているかというと、今後、AIというものも、産業で考えるとこういったレイヤーになってくると思うからです。このレイヤーが、ハードウエア、OS、ネットワーク、プラットフォームとあるのと同じように、しかも、以前のコンピューター構造と同じように、レイヤーを超えて垂直統合をしてくる企業も出てきます。価値があれば、今のOpenAIとかAnthropicもアプリケーションを作り始めます。その間のミドルウエアみたいなものも作り始めます。そのような動きを私たちは常に熟知しながら、今度はどんな形になるのだろうということを考えていくというのが職業を考える上でも必要になってくると思います。
 これはコンピューターとAIのレイヤーの対比の図なのですけれども、左側が今のネットワークにつながったコンピューターの主要プレーヤーです。ハードウエア、OS、それからクラウドインフラ、GAFAMに代表されるプラットフォーマー、その上のアプリケーション、それと同じようにAIも今、半導体、ハードウェアが一番基本にあります。中心はNVIDIAです。この上にいわゆる基盤となるAIを提供しているのがOpenAIとかAnthropicとかGeminiとかXAIとかそういった企業、ファンデーション、LLM、大規模言語モデルの分析をわーっとやっている企業、AIを作っている人たちと表現しても良いでしょう。クラウドは相変わらず今後も存在し続けます。
 トランスフォーマーとかファンデーションとか呼ばれているのですが、ここはまたもう一つ上にもう少しアプリに近いものを出してきます。今既に出しています。Anthropicなどはコーディングできるソフトを出していますし、この上にまたいわゆるAPI接続でいろいろなプレーヤーが個別の産業別なものだとか、各職業別のようなアプリを出してくると思います。
 これが対応している図ですね。AIはこんな感じになるのではないかなと思います。ハードウエア、その上のファンデーションモデル、あくまで基盤、クラウドインフラ、その上のファンデーションモデル企業がよりアプリに近いものを出す。最終的には産業別などの特化サービスができてくるはずです。
 これは一体誰がもうけるのかなということを考えるのも非常に大事で、実はインターネット産業ではAIでいうOpenAIとかAnthropicに当たるプラットフォーマーが莫大な利益を得たのですけれども、このような形になるかもしれない。
 あと、インターネットのときに全く違ったのは、一番下のレイヤーがあまりもうかっていなかったということです。ただ、NVIDIAは圧倒的なシェアを持って今、独り勝ちをしています。こういうところを見極めていくのも、どんな形で成長していくか、そういった意味のことを私たちは考えなくてはいけないなと思います。
 ここまでが前段なのですけれども、ここから私たちが今後考えていく、AIで職業がなくなっていくのかなとか、果たして職業というのがなくなるのかとか、そういったお話です。
 こちらではそのままILOが作った2025年に発表しているものを掲載させていただいたのですけれども、ILOがジョブのデザインということで、仕事の再設計ということで、職業を4段階に分けて、なくなっていきそうな職業、なっていかなそうな職業というのをこの図に表しています。
 段階1というのは、職業の中にもいろいろなタスクがあって、そのタスクがまだばらばらで、あまりタスクとしても置き換えられるかどうか分からない。結果的に職業というのもあまり置換えが取りあえず進まないだろうというもの。
 段階4というのは、その職業の中のタスクのほとんどが置き換わる。よって、段階4のものがAIに置き換わりそうだというのがこの図で、段階4というのが赤の三角形で示されています。
 これが実は男女別もありまして、ジェンダー別の影響をILOがやはり出していまして、これを見ていただくと分かるように、世界中で赤の部分、段階4、なくなっていく職業というのが、やはり女性が今就いている職業において非常に影響が大きいということが一応ILOの主張です。私もそう思います。なくなっていく職業の代表的なものは、ほとんど反復、繰り返しがあるものが中心ですので、そういった職業に今現在女性が就いているパターンが多いということです。
 高所得の国とか、下位の国とか、所得別にも表れているのですけれども、低所得の国があまり差異がないというのは、こういった国はまだまだいわゆるブルーカラーみたいなものが多いので、置換えがまだ始まらないということだと思います。
 ここでAIが各産業に及ぼす影響を見ていただきたいと思うのですけれども、私たちは今まで、まずホワイトカラーが影響を受けるのではないかという議論をしてきました。ブルーカラーの方、エッセンシャルワーカーの方は比較的後になるだろうと言っていたのですけれども、実はAnthropicがClaude Codeを出したことで、IT産業が一番今、侵食を受けています。IT産業を次のスライドでお見せするのですけれども、ほとんど今、コーディングのところがAIに代替されています。職業別に表すと、先ほどの女性と男性というところにも表れているのですけれども、4象限に表すと右上が今、最も代替されやすい職業になっています。データ入力とか経理、あと翻訳、コールセンター、それからコーディング、プログラミングのところ、ここには下流と書いてありますけれども、実は今もうプログラミングとかコーディングは下流でもなくて、ほとんどが置き換えられるようになってきています。
 仕事は全部影響を受けるわけではないのだけれども、部分的に代替が起こったり、それによって効率化が進むのが右下、会計士さんとか、税理士さんとか、いわゆる士業、それから記者、ライター、マーケターというところです。
 左上はまだまだ人間中心のところがあって、一部業務は代替されるけれども、当面、と言っても、この時間軸が非常にこれから問題になってくるのですが、まず、当面安全なもの。
 左下がAIによって新しく生み出される職業と、AIがあってもなかなか淘汰されないものです。
 IT産業を見ていきます。ここで起こっていることは今後ほとんどの業界で起こるであろうと思いますので、まず、この話をさせてください。
 いわゆるSIer(エスアイヤー)さんというところでは、大手のエスアイヤーさんがコメントで生産性が5倍になったというようなことをおっしゃっています。これら、IT、いわゆるシステムをつくる会社はどういう仕事をしてきたかというと、ここの左のようにお客さんと話して、要求定義と言うのですけれども、課題整理して、目的を定義して、これをコンピューターの要件に落として、設計して、プログラミングして、評価して、テストするというのが一連の流れなのですね。AIが今どこを代替しているようになるかというと、これ全部ではないのですけれども、主にプログラミング、一部は要件定義、それからテストのところ、これは代替しています。
 AIが代替する以前と以降の違いを見ると、実は今までの人間がやってきたときは、上流工程と下流工程があって、その間のプログラミングとかコーディングというのは完全にロジックがあって、そのとおりにつくっていたのです。つまりホワイトボックス、評価をしやすい、本当にロジックどおりにつくっているかということを検証すればよかったのですけれども、AIが代替することで起こっていることは、この部分が完全にブラックボックスになってしまっているのです。AIが全部やるので、どういったロジックに従ってやっているのか分からない。しかしながら、私たちが今後の職業を考える上において何に気をつけなければいけないかというと、AIがこれらを全部やる可能性もあるとはいえ、今のところ人間がやっていることで代替できないものは、お客様との対話、そこから要求定義をきちんと設計すること、それから要件定義をすること、そして最後のコーディングの評価というものです。
 ところが、これがブラックボックスなのですけれども、しかも生産性が5倍になったということは、プログラマーは5人に4人はもう必要なくなっているわけなのです。じゃあプログラマーが要らないのかといったら、やはり評価をする人間が必要です。5人が5人要らないわけではなくて、評価をする人間が必要で、しかも、私が考えるには、評価をする人間は単純なプログラミングができる人ではなくて、かなり高度な知識を持った人でないといけない。これが、今、アメリカで起こっていることです。エンジニアが解雇されているというニュースはよく耳にすると思いますが、プログラミングだけをするエンジニアは数としては削減される、しかし、AIの行った仕事を評価しながらプロジェクトを仕上げるエンジニアは必要というのが実態だと思います。
 ところが、日本に同じことが起こるかというとそうではないと私は考えます。その理由は、残念ながら、日本では、DXやシステムの実装が遅れているからです。大手Sierは、今まで、人手が足りなくて、大きな仕事も断っているという事実があり、つまり需要が供給を上回っていました。ですから、非常に単純な言い方をすると、生産性が5倍になることは、エンジニアの解雇に繋がらず、受注が5倍かどうかはわからないが、少なくとも増える。時間軸は、まだわかりませんが、需給バランスが拮抗した時に、プログラミングだけ行っているエンジニアが削減されるようになる。ただし、スキルとしてのプログラミング、教育としてのプログラミングはAIを理解する上で、数学的なアプローチ、合理的な思考が必要なので、これからも必要ではないかと考えるわけです。
 このITスキームを他産業にも当てはめると、人の数はそれほど要らなくて、高度な知識を持った人だけが必要なのではないか。AI時代に求められる、職業が全部なくなるとかというよりも、タスクとか、いわゆる重点が移っていくという、少なくとも今の段階ではそういうふうだと思っています。
 これをスキルに置き換えると比較的考えやすくて、スキルを3つに分けてみました。1つはハードスキルと呼ばれるものです。例えば会計とか、法律の知識だとか、プログラミングでもコーディングだとか、翻訳のものだとか、こういう(データとか記録できるものを記憶する)ハードスキルは非常にAIに代替されやすいものです。
 しかしながら、ソフトスキルというものはAIがなかなか代替しにくい。例えばお医者様でも、コミュニケーション能力があるお医者様と話がしたいですよね。コミュニケーション能力だとか、リーダーシップだとか、共感力だとか、チームワークだとか、交渉とか、こういう能力は反対に必要になってくると思います。
 新しく必要な能力というのが、一部で言われている、この言葉がずっと使われるかどうかは分からないのですけれども、メタスキルというものです。メタスキルとはどういうものかというと、例えば問いを立てる力、答えを覚えるのではなく、批判的な思考などがそれにあたります。それからAIを活用するために皆さん今、AIで遊んだり、実際に取り組んでいらっしゃる方がたくさんいると思いますが、あまり取り組んでいない方もいらっしゃると思います。AIを継続的にAIって何かということを突き詰めながら仕事をし続けている人がいるのです。エンジニアに多いのですけれども、そういう継続して学習する能力というものがやはり人によって違っていて、これは非常に重要なスキルになってくると思います。
 これは具体的なスキルをもう少し分解したものなのですけれども、AI時代に価値が低下するもの、それから価値が上昇するもの、非常に今までは注目されなかったけれども重要になってくるものがここに挙げたようなものだと私は思います。
 最後に、今後の教育とかリスキリング、今までは例えばリケジョを増やすためにじゃあプログラミングだって言っていたのですけれども、それ自体が根本的に今、変わってきている中で、何に重点を置けばいいかなというのをまとめてみました。
 先ほどから、いわゆるメタスキルとかコミュニケーションスキル、そこで重要なのはやはり記憶ではなく学び方を学ぶ力だとか問いを立てる力、初等教育を根本的に見直していく、重点を移すべきだと私は思います。
 2つ目として、例えばプログラミングであったように、基礎の学力はむしろ重要になると思っています。哲学だとか、文学だとか、コミュニケーションだとか、数学、物理学、クリティカル・シンキング、論理学、こういったものはむしろ重要になり、これを突き詰めていくことが必要だと思います。

○山田会長 石黒委員、止まってしまっているようなのですが、いかがでしょうか。聞こえていますでしょうか。石黒委員の接続の問題みたいですね。
 では、すみません。石黒委員が再接続するまで時間がかかるかもしれませんので、予定を変えまして、山本委員からのプレゼンを先にお願いできますでしょうか。

○石黒委員 ごめんなさい。インターネットが落ちてしまったので、最後のスライドだけ。

○山田会長 では、石黒委員、お願いします。

○石黒委員 申し訳ありません。
 最後に、女性のリスキリングなのですけれども、スピードがすごく速くAIで変わってくるので、今までよりも柔軟なスケジュール設定が必要だと思っていて、それに対応するチャイルドケアとか、メンター制度とか、キャリアガイダンスとかというのも必要になってくると思います。
 また、各産業別とか各業務別にAIとのすみ分けとか業務の変更を学ぶためのトレーナーみたいなものの育成が必要だと思うと同時に、AIが今後業務範囲を広げていくにしたがって、このスピードに合わせる企業の組織とかをディシジョンメーキングがガバナンスも含めて非常にアジャイルな組織づくりが必要ではないかなと思います。
 以上です。
 途中でいなくなってしまってすみません。以上になります。ありがとうございます。

○山田会長 ありがとうございます。
 予定では個別に質疑応答ということになっておりましたが、少し時間が押しておりますので、山本委員のプレゼンを続けてお願いいただいて、その後、お二人への質問、コメントという形で行いたいと思います。
 山本委員、よろしいでしょうか。よろしくお願いします。

○山本委員 では、画面共有をいたします。
 私は専門が経済学でして、経済学の観点から、テクノロジーの活用と女性活躍推進の関係について説明していきます。
 簡単な自己紹介としては、慶應義塾大学の商学部に所属しておりますけれども、専門は経済学で、その中でも人の働き方を研究する労働経済学でデータを使った検証をしているということで、AIとか女性活躍推進もやっておりますけれども、ウェルビーイングだったりとか、働き方改革だったりとか、最近では人的資本経営とか、それから科研費の特別推進研究という支援を受けて格差の研究を中心的にやっております。
 人工知能との関係では、以前、『人工知能と経済』という経済学で人工知能の影響をどういうふうに予測できるかといったようなことを編さんしたりもしていますので、その内容も少し触れていきたいと思います。
 まず最初は、AIを考えるに当たって、経済学ではテクノロジーがどういう影響を労働市場に与えるかということはかなり研究が蓄積されておりますので、過去のテクノロジーの進展と労働市場の関係を経済学のモデルで少し説明します。
 特にIT化が進んだときに何が起きたかということですけれども、技術革新が進むと雇用がなくなるのではないかという技術失業というのが産業革命の頃から懸念されているのですが、産業革命のときも、そしてIT化が進んだ1980年代以降も、必ずしも技術失業というのは起きていなくて、むしろ生じた影響というのは、賃金格差が拡大するということがあったと言われています。
 これはアメリカの大卒・高卒の賃金格差で、上に行くほど格差が開くということなのですが、80年代以降、コンピューターやITが普及した頃に賃金格差がかなり拡大していて、これがかなり問題になっていたということがあります。
 ただ、1970年代を見ると賃金格差はむしろ縮小していて、こういう格差の縮小・拡大が何で起きるのかというものが、スキルプレミアムモデルというモデルで説明されてきています。エッセンスだけ言うと、賃金格差はハイスキルワーカーとロースキルワーカーというスキルの違いによって賃金の格差がどれぐらい生じるか、これをスキルプレミアムと呼ぶとすると、技術が進展する。ただし、それがハイスキルワーカーが使う技術がより進展する。例えばIT化が生じて、ITを使える人とそうでない人で賃金が変わってきてしまうという要因で、これが起きると人員格差が拡大するのですが、第2項というのがあって、ハイスキルワーカーそのものが増えるとマイナスがついておりまして、賃金格差が縮小すると。直感的には技術革新が起きて、ハイスキルワーカーへの需要が増えて、賃金格差が拡大するのが①、②はハイスキルワーカーの供給が増えることでその希少価値が減って、賃金格差はむしろ縮小すると。①と②のどちらが大きいかによって、技術革新が起きているときの賃金格差の影響というのは変わってくると言われていて、それをTinbergenの競争と言っています。
 先ほど見たグラフで、70年代はなぜ格差が縮小したかというと、ベトナム戦争の関係もあって、アメリカで大学進学率あるいは大卒者が急激に増えていたのが70年代なのです。この時期、またコンピューターがそれほど普及していないというのもあって、①よりも②のほうの影響が大きくて、むしろ格差は縮小していた。80年代以降になると①のほうが大きいので拡大していたということがあって、②に注目することができるのではないかと。つまり、AIの進展を考えたときに、ハイスキルワーカーと呼んでいますけれども、結局ハイスキルワーカーというのはIT化のときにはIT、コンピューターを使える人、AI化で言えばAIが使える人を増やすことができれば、賃金格差の拡大といった負の影響はある程度回避できるのではないかと。
 ということは、よく言われているようにこれを踏まえると、リスキリングだったりとか、学校教育によってハイスキルワーカーを増やす、AIを使える人を増やすということが大事だと思いますし、また、生成AIが出てきたことで、先ほど石黒委員からもありましたけれども、AIを使える人が非常に増えたと。民主化されたと言えるかもしれませんけれども、なぜかというとユーザーインターフェースがすごくしっかりしていて、誰でも使えるようになってきていると。そうするとAIの技術を浸透させていくときに、誰でもスキルがない人でも使えるようにして、そのAIの恩恵を受けられるようにしていくことというのも一つの手になるのではないかというのがスキルプレミアムモデルから言えるのではないかと思います。
 男女共同参画からの観点からいくと、理工系女子の人材が必要だということが特に最近言われていますけれども、このことを考えると、もちろん理工系女子が増えるのは望ましいことなのですけれども、文系女子の人材であってもAIを使えるようになればいいということなので、そこをリスキリングしていくと。そこでは、情報工学の難しい知識というよりは、AIのリテラシーを身につけると。いかにビジネスでAIが使えるかというところを分かってもらうというようなことが大事になってくるのかなと考えます。
 一方で、スキルプレミアムモデルは実は90年代以降、アメリカや世界各国で賃金格差というのが雇用の二極化という形でスキルの高いところと低いところを両方とも雇用が増えるという、いわゆる二極化があって、スキルプレミアムモデルはスキルの低い人たちの需要が増えるということが説明しにくいということで、タスクモデルというのが開発されて使われるようになりました。
 先ほど石黒委員が紹介されていたILOの研究もタスクモデルに基づいたもので、IT化の影響を考えるときには非常にシンプルにルーチンタスク、定型的なタスクか、そうでないタスク、あるいは分析・相互というオフィスワークか、あるいは手仕事のような2つの軸で4つの象限でタスクを分けることで、ルーチンタスクに関してはITの影響、ITに代替されやすいと。ノンルーチンは代替されにくいと。手仕事の中でもルーチンタスクはロボットに代替されやすくて、ノンルーチンは代替されにくいというようなことが示されていて、先ほどの二極化の図に照らし合わせると、職種別の雇用のシェアの変化なのですけれども、減ったところというのは多くの職業がルーチンタスクが多かったと。増えたところの職業はノンルーチンタスクが多かったということで、ルーチンかノンルーチンかで雇用が増えるか減るかが変わっていたということで、これで二極化が説明できるということで、Routinization仮説、定型化仮説と呼ばれています。
 増えているノンルーチンのタスクが多い職業というのが、一つは分析・相互という割と高度な仕事で、スキルあるいは賃金も高いと。一方でノンルーチンの手仕事というサービスだったりとか、修理だったりとか、運転だったりとか、この辺りはスキルは低いかもしれないのだけれども、ITではまだまだできなかったと。なので、人への需要が相対的に増えたと。言ってみれば、ルーチンタスクを追われた人の受皿としてのノンルーチンの手仕事というところが生かされていたとも言えます。
 あるいは、別の観点で見ると、たとえルーチンタスクを担っている人が技術革新の影響で仕事がなくなりそうになっても、タスクを変えて、テクノロジーでできないタスクにタスクをトランスフォームと我々は呼んでいますけれども、タスクトランスフォーメーションが起きてノンルーチンのタスクに変わることができれば仕事は守られるということが言えるかと思います。
 ですので、IT化に関しても、AIが得意なタスクというのは、ITよりもAIは幅広いタスクができるようになりますので、AIができるタスクというのは仕事を代替してしまうと。けれども、代替されるタスクを担っていた人はそのままだと仕事がなくなってしまうのですけれども、タスクを変えていくということができればまだ何とかなるだろうということが言えるかと思います。
 一方で、近年少し研究で言われているのは、AIの発展段階ではむしろAIがタスクを支援すると。例えばカスタマーサービスの職に生成AIが導入されていて、低いスキルの人でも高い生産性を上げるということで、むしろ生産性の低い人がAIの恩恵をこうむっていると。なので、一時的に格差が縮小するという研究が報告されています。
 ただ、これも先ほどの石黒委員のILOの研究などでも言えることなのですけれども、もっともっとAIが発展していくとそもそもカスタマーサービス職自体が要らなくなるので、支援ではなくてそもそもAIができてしまうということになると、やはり代替されていくのかなと思いまして、そうなったときにタスクをどう変えられるかということが大事ということが言えるかと思います。
 ちなみに、日本でも日本家計パネル調査という同一の人物を毎年追跡している調査で、職場でAIが導入された人とそうでない人たちで賃金や労働時間や生産性やエンゲージメントがどう変わったかと見ると、軒並みいい影響が出て、賃金が高くなったり、労働時間が減ったり、生産性が高まったり、エンゲージメントが高いというのが出てきていて、この背後で何があるかというと、タスクの構成が変わっていると。職場で導入された人は、ノンルーチン、抽象タスクというのは、高度なタスクがどれぐらい多いかということを表す指標だと思っていただければと思いますが、それが大きく増えているということで、この時期、少し前の時期ですけれども、この頃からAIを職場で導入しているような企業では、タスクのトランスフォーメーションが生じていて、それでポジティブな影響が出ていたと考えることができるかと思います。
 今言ったことと女性活躍推進法を照らし合わせると、日本ではタスクはどういう分布になっているのだろうかと。これは以前、JST(科学技術振興機構)のプロジェクトで行った調査結果ですけれども、この指標は先ほどの指標と逆側で、ルーチンタスクの度合いがどれだけ大きいかということを示すもので、正規と非正規で比べています。もっと細かくも比べていますけれども、2種類の指標があるのですが、どちらで見てもルーチンタスクの度合いが非正規で圧倒的に多いと。正規ではむしろ相対的に低いということになっています。つまり、ルーチンタスク、ITでもできるようなタスクが非正規に偏っているということが言えます。
 ということは、これがAIになるとかなり非正規雇用、ここは多くを女性が担っているので、影響を受けやすい、ITでもできるようなルーチンタスクで、アメリカなどではかなりITに置き換わっていたものが、日本ではまだまだ非正規雇用という人がやっているという状態でAIが進展してくると、その影響がダイレクトに生じる可能性があると。非正規の場合、企業内で配置転換などが行われる可能性も低いですし、リスキリングが生じる可能性も低いということがこれまでの研究でも分かってきていると。
 ということは、多くの女性の非正規雇用のAIの負の影響を緩和するには公的な支援が必要不可欠で、公的職業訓練によってリスキリングを行ったりとか、転職を支援する。それから正規雇用化というのはやはり大事だということが言えると思います。
 そういう意味では、男女共同参画でもL字カーブの是正がとても大事だということがしきりに訴えられていますけれども、AIの影響を考えたときを見ても、正規雇用になっておくと、ある程度企業によって配置転換によるタスクトランスフォーメーションだったりとか、リスキリングが生じて、それによってタスクを変えてもらえるというようなことも多少期待できるので、AIの影響を考えたときに、L字カーブの是正というのはとても大事なことだということが含意として言えるかと思います。
 それから、もう一つ、非正規については今言ったとおりなのですけれども、正規に関しては非正規と比べると代替は生じにくい。特に注目すべきは人的資本経営が非常に広がってきているということで、かなり人への投資を行うようになってきている。ただし、これは正規に限ったことなので正規化が大事なのですけれども、正規雇用になると期待されるのが企業によるリスキリングだったりとか、あるいは企業がAIを導入するときにユーザーインターフェースを向上させる、使いやすくするとか、あるいは配置転換によってタスクトランスフォーメーションが起きやすいといったようなことがあるので、そこは人的資本経営が広がっているということで、多少は期待できるところかなと。
 先ほどのILOの資料がよく使われますけれども、事務職が非常に危険だと言われていますけれども、そこも企業の中で何とか変わっていってもらえる可能性もなきにしもあらずかなと思っています。そういう意味では、女性活躍推進という人的資本として女性を最大限に活用するという意味では、人的資本経営と位置づけることもできているかと思います。
 本当に女性活躍推進が人的資本経営という経営にとってプラスになるのかというところで、最近行ってきているエビデンスを少しお示ししたいと思います。
 女性活躍推進を進めることで企業業績がどう変わってくるかというのは、本来であれば適材適所で男女が登用されていれば関係ないのですけれども、ただ、日本のように環境が変化していると。かつての男性中心モデルが、今の環境では人手不足やグローバル競争もあって適さなくなってきている。そういう状況では、いち早く女性活躍推進を行っている企業では業績がよくなっている可能性があると思います。
 そこで、日経スマートワークプロジェクトというもので、上場企業のデータを使って2016年から23年までの追跡データを使って、できるだけ因果関係を特定するような形での因果推論を行っています。管理職女性比率や正社員女性比率が増えることで利益率がどう変わるかということを推計した結果になるのですが、1年前、2年前、3年前と書いてあるのは、女性比率が高まってもすぐには影響しないだろうということで、ラグを考慮しています。
 これを見ると、管理職女性比率が高まると、2年前、3年前というところからプラスの影響が出てきていて、信頼区間を表していますけれども、設計誤差を加味しても統計的に有意な影響が出ていると。つまり、管理職女性比率を高めると、すぐには業績はよくならないのだけれども、2年後、3年後にはよくなる。あるいは、正社員女性比率を高めると、1年後には業績がよくなるという効果があって、日本では女性活躍推進を進めることで業績がよくなる可能性があると。
 ただ、注意しなければいけないのが、このことを企業の特性によって2つに分けてみると違った姿も見えてきていて、例えば正社員女性比率が高い企業と低い企業で2つに分けると、先ほど見たプラスの影響というのが、正社員女性比率が高い企業でしか見られないと。管理職女性比率で見ても同じで、中央値未満の企業群ではプラスの影響が見られなくなってしまうということがあります。つまり、女性活躍推進がある程度なされていないと、女性活躍推進をさらに行うことでの業績アップというのがなかなか見られないということになってしまっています。
 同じことが離入職率、雇用の流動性が高い企業のほうが効果が見られると。あるいは、賃金カーブで見ても、賃金カーブが小さい、つまり年功的な賃金になっていない企業でプラスの影響が見られるということが言えます。
 ここで言えるのは、まず効果にはラグがありますということと、女性比率が高いとか、あるいは日本的雇用慣行からある程度脱却しているような雇用の流動性が高いとか賃金カーブが小さい企業では効果が出やすいということで、誰もが能力を発揮しやすいような環境を整えた上で女性活躍推進をすることで、中長期的に効果が出てくるということが言えるのかなと思っています。
 ちなみに、10年以上前に経済産業研究所の研究で、どういう企業で女性の比率が高くなっているかというのを見ると、やはり似たような形で、長時間労働を行っていない、あるいは流動性が高いとか、賃金カーブが寝ているとか、賃金の分散が結構あるというような、そうした日本的雇用慣行から脱却しているような企業で正社員女性比率を中心に高くなっているということが分かってきていますので、女性活躍推進を進める上で、働き方自体を変えること。それによって女性も増えるし、増えたことによる効果が出てくるということが言えるかと思います。
 最後、ちょっとだけダイバーシティについての研究も行っていまして、御存じのことなので特にここではダイバーシティを2つに分けてデモグラフィックダイバーシティとコグニティブダイバーシティと。やはり人口統計的なデモグラフィックダイバーシティが注目されるのですけれども、アメリカの研究などではコグニティブダイバーシティ、つまり属性ではなくて多様な考え方だったり、働き方だったり、その期待を受け止めよう、認めようというようなことがなされていることが大事だということが言われていまして、日本の企業のデータでもそういうデータが取れたので、ここに載せた項目で、従業員がどれぐらい認知的DIを高めているかという指標をつくって、それが翌年の企業の業績、例えば利益率にどういう影響を与えるかというと、プラスの影響があるということが割とすぐ出てきたりするということが出てきていまして、アメリカの研究とかなり似た結果になってきているということで、女性活躍推進ももちろん大事なのですけれども、その手段として、むしろ女性だけではなくて多様な人材の考え方を認めるというような認知的多様性を浸透させるということも重要なのではないかなと思っています。
 最後、まとめですけれども、今、AIの関係で言えることは、AI時代に女性が活躍できる環境としては、リスキリングやユーザーインターフェースを向上させて、タスクトランスフォーメーションを起こしていくと。AIにできないタスクを担うように変えていくことが大事だということと、また、人的資本経営の枠組みで女性活躍推進を行ってAI時代に適応していくという意味では、日本的雇用慣行を修正していくということも大事ですし、認知的DIを推進していくことも大事だということかと思います。
 政策のポイントとしては、繰り返しですが人的資本経営を推進したりとか、L字カーブ是正を政策として位置づけたりとか、非正規女性の公的な支援というところも大事になってくるのかなと考えております。
 以上になります。

○山田会長 ありがとうございました。
 ただいまのプレゼンについて、これから意見交換を行いたいと思います。ただ、時間が相当押しておりますので、ぜひ御意見やコメントは手短にしていただくようお願いいたします。御意見がある方は挙手機能を使ってお願いいたします。
 では、誰からでもお願いいたします。意見が全部出終わりました後、石黒委員と山本委員から回答をお願いしたいと思います。
 治部委員、大崎委員の順でお願いいたします。

○治部委員 遅れて来ましたが、よろしくお願いいたします。
 山本先生に教えていただきたいのですけれども、女性活躍が既にある程度進んでいる企業とそうでない企業で効果の程が違う。非常に興味深かったです。この場合、高いとか進んでいるというのは境界線をどれぐらいのところに置かれているかということを伺えればと思います。女性従業員比率はどれくらいとかといった辺りであればと思っております。
 もう一つは、どちらに伺ったらいいか分からないのですけれども、英語圏では御存じのとおりLinkedInのデータ等々を使ってジュニアレベルのジョブが結構減っているということが既に言われているのですけれども、私の周りで見ておりましても、例えばコンピューターサイエンスを専攻している欧州からの留学生から、2年前にはあったジョブがもうないといったようなかなりリアルな声を聞きますが、日本のジョブマーケットにおいてはこういった話はまだそこまで聞かないように思うのですが、こういったことがもう実は既に起きているけれども私が理解していないだけなのか、もしくは山本委員のお話にありましたとおり、労働者の供給が十分増えていくとまた状況が変わってくるということがあったりするのかもしれませんので、どのように日本語圏の労働市場へのAIの影響を考えたらよいのかということを御示唆いただければと思います。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございます。
 大崎委員、小林委員の順でお願いいたします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 大変勉強になりました。石黒委員と山本委員、本当にありがとうございました。
 この話はもっとたくさんの人に聞いていただきたいと思うので、今日はオープンにしていると思うのですけれども、あまり周知されていないのでもったいないなと思います。
 石黒委員への御質問になるかと思うのですけれども、私、もともと1990年代から2000年代半ばまで、国連で開発途上国の女性のエンパワーメントに従事しておりまして、とりわけ女性の経済的エンパワーメントというのが非常に重要でした。なぜなら経済力を持つことで家族に依存せずに自己決定しながら生きるということがエンパワーメントの本質的な目標だからです。途上国は当時、会社などの雇用基盤がほとんどないので、基本的にはアントレプレナーシップ、起業支援が女性の経済的エンパワーメント支援の中核だったのです。
 ICTが90年代半ばから出てきましたので、モバイルだったり、eコマースといったものを活用しながら女性の起業支援がずっと継続されています。アジアやアフリカでは、自分の経験とかスキルを活かして身近なところからビジネスを始めて、それを安定した収入源につなげていっている事例が日本よりも一般的なのだろうと思うのですけれども、お聞きしたいのは日本でもその可能性があるかということです。日本では会社に勤めて会社を通じて自分のスキルや能力を市場に提供してきたわけですけれども、今日のお話ですと、生成AIがこれから社会実装されていくと、会社で働くということ自体、かなりトランスフォームしていくだろうと。地方の職場のジェンダーギャップは今、一生懸命解消していますが、本当にホープレスというか、未だにハラスメントや賃金格差が物すごくあります。これを変えるのは20年、30年かかるのではないかと思う中で、既に女性が関わっているケアだったりとか、地方へ行きますと観光とか、フードテックとか、一次産業とか、そういったところでの女性の視点からのビジネスというのは、生成AIを活用することで、会社を通じなくても起業支援という形でもうちょっとポテンシャルがないのかという気がしてしまうのですが、そういった辺りでの日本の可能性をどういうふうに御覧になるかぜひお聞きしたいです。お願いします。

○山田会長 ありがとうございます。
 小林委員、徳倉委員の順でお願いいたします。

○小林委員 ありがとうございました。
 今日は大変すばらしい講義を2つも聞かせていただいたという気がするのですが、お二人に質問させていただくと、今、短期的な話になるかと思いますが、AIに関するリスキリングなどの今後の雇用の確保と、それからAIによって合理化される雇用の減少、その比率というのが今後どういうふうになっていくのだろうかというところを教えていただければと思います。
 あと、山本委員にお聞きしたいのは、女性比率の上昇が企業業績の上昇につながるというので、山本委員のレジュメの中でも可能性という言葉をお使いになっているのですが、私が役員をやっている会社であるとか顧問をやっている会社なんかに、女性役員の数の増加とかそういうことを呼びかけるときに、必ずこれをお話しするのだけれども、あくまでも統計的な話なのです。だから、統計的にこうですよということは言えて、山本委員がおっしゃるように、可能性がありますよということは言えるのだけれども、じゃあ本質的に何なのと聞かれたときに、何かお答えがあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○山田会長 ありがとうございます。
 徳倉委員、井上委員の順でお願いいたします。

○徳倉委員 ありがとうございます。
 もう皆さんおっしゃっていますが、石黒さん、山本さんの本当にすばらしい講義をかなり多くの方にもっと聞いていただきたいなと思いました。
 私からは主に2点あります。私自身は今、もう皆さん御存じだと思うのですが、地域の男女センターの運営と国立大学の大学院でマネジメントも教えております。その観点から、例えば40代、50代、60代辺りの非正規の女性に対して、AIのリスキリングを今、内閣府のほうでも各地方自治体を通じて、今、非常に去年、今年度、そして来年度と増えていく傾向ももちろんありますけれども、一般的にはAIの使い方講座みたいなものがまだまだ主流になっている中で、ただ、実際にAIを使いながら、先ほどの山本先生のお話だと、ハイスペックに使っていく、ハイスキルを持つような人材になっていくとなると、もう少し深みのある学習であったりだとかリスキリングが必要になってくると思うのですけれども、特に中高年がもう一度リスキリングをしていこうとするときに、どういうものにアクセスをしながら学習をしてAIを使っていき、経済的自立といいますか、自分の単価を上げていくような働き方につなげていけるかというところを何か一つ国としても地域としても模索していく時に来ているのかなと思うのですが、その辺のことのイメージで結構ですのでお教えいただければなと思います。
 以上になります。

○山田会長 ありがとうございます。
 井上委員、佐々木委員の順でお願いいたします。

○井上委員 ありがとうございます。
 石黒委員、山本委員、大変御示唆に富む内容をありがとうございました。
 お二人に共通しての質問です。連合も、2021年にAIをはじめとする技術革新が雇用や生活に及ぼす影響について議論を行い、報告書として取りまとめたのですけれども、その中でもAI導入の進展が事務職に従事する割合の高い女性を中心に影響が及ぶことを懸念しております。
 少し古いデータではありますが、2018年のIMFレポートでは、AIによる雇用への影響は国ごとの差があり、日本は男女差が最も大きい国とされています。その背景には、AIによる代替可能性が比較的高い職種に非正規雇用をはじめ、女性の割合が高いという現状があると考えられています。
 こうした状況を踏まえると、日本はAIの導入とともに、ジェンダーの視点を踏まえた政策対応を一層強化していくことが重要だと考えております。IMFはその対応策として、女性が適切な技能を身につけられるようにすることや、指導的地位における男女格差を減らすこと、また男女間のデジタル格差を埋めることなど、積極的な政策の支援を提起しております。
 こうした提起も踏まえ、日本として今後どのような取組を重視すべきとお考えか、御見解をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○山田会長 ありがとうございます。
 佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 石黒委員、山本委員、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
 石黒委員にお聞きしたいのですが、先ほど山本委員が熟練労働者が増えれば賃金格差が抑えられるというお話だったのですが、その中で、理工系女子人材だけではなくても、AIを使える文系女子人材も熟練労働者になれる時代なのか、つまりリスキリングだけで熟練労働者になれるということであっておりますでしょうか。AIがとても速いスピードでどんどん進化していく中で、そのスピードに対応できる人材を育成するためには、もっと早い教育課程から変えなければいけないような気もします。
 また、女性版デジタル人材育成のプランが出ましたけれども、それももうかなり古くなっているのではないかなと思っていて、AI開発のスピードに追いついていくためには、どれぐらいの頻度で改定していかなければいけないのか、毎年なのか、2年ごとぐらいには少なくとも見直さなければいけないのか、そういうイメージを教えていただければと思います。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございます。
 最後に私から何点かお願いしたいのですけれども、AIは教育現場にも相当浸透しておりまして、例えばAIでレポートとかプレゼンを作る学生が増えてきて、どう対処したらいいのかというような問題がありますし、さらに就職活動においては、AIでエントリーシートを作成するなんていうのはもう当たり前になってきて、企業も、一次面接がAIだったという企業も増えてきていると言っております。
 私は、実はAIがプライベートな領域にどういうふうに変化するかというところを今、調査していまして、AI恋人、AIと結婚した人といったようなものも調査していますが、その中で、いわゆるカウンセラーですよね。石黒委員は、共感力があるのはAIに代替できないのではないかとおっしゃいましたけれども、どうもアメリカではカウンセリングに相当AIが応用されていて、実はカウンセラーが失業し始めているのではないかというような本も出ております。つまり、AIはうそをつかないし、寄り添ってくれるし、全部自分が言ったことを覚えていてくれる。私も調査する中で、プライベートにAIを使うがもう日本でも半分を超えていまして、さらにそのうち半分がAIに個人的な悩みを相談しているというふうになっているということがあります。
 あと、山本委員のほうに、いわゆるカウンセラーの4分の3は女性ですので、そういうところに影響するかどうかというところもお聞きしたいです。
 山本委員には、代替されない仕事として、一つはルーチンな手仕事があるとおっしゃいましたけれども、ただ、それが低賃金なのは日本だからではないのかなという気がいたしまして、日経新聞等では、いわゆるブルーカラービリオネアというものが現れてきて、下手なホワイトカラーよりも、エレベーター修理とかエアコン修理のような仕事のほうが高賃金が得られるので、そちらの専門学校に行く人が増えているというのを聞きますので、いわゆる非正規雇用の人を誘導する、無理やり高度なAIを学ぶというような方向もあるのだけれども、いわゆるノンルーチンな手仕事というものに誘導して、それを高賃金にしていくというような方法というのは考えられないだろうかというのが山本委員への質問です。
 あと、お二人に聞きたいのですけれども、そういうAIを教えられる人材というのは、どういうふうに養成したらいいと思われるかというのを聞きたいと思います。今、大学でもとても困っております。よろしくお願いいたします。
 時間が押しておりますけれども、石黒委員、山本委員の順番で答えられることに関して答えていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

○石黒委員 それぞれお答えしたいと思います。
 治部委員の日本のITの労働ですね。既に雇用に影響が出ているか。日本は規制があるので、あとちょっと遅れているので、影響はもう出ています。例えばさっきお話ししたIT産業で生産性が5倍になったということは、5人に4人はもう本当は要らないのです。これが企業努力により、ほかの職種を企業内で探すとか、そういう形で今かなり大手のエスアイヤーさんなんかは今、対応をしています。それに従って、リスキリングとか教育をどうしてくかということを彼らも真剣に考えています。ということで、本来は影響があるのだけれども、表面化はしていないということです。
 それから、大崎委員の非常に本質的な質問で、いわゆる発展途上国とか、アントレプレナー支援みたいなものができないかということなのですけれども、例えば日本とか米国では既に労働システムのスキームが出来上がっているので、例えば固定電話がないからモバイルがすごく進んだみたいな形で、途上国では意外な形で発展していくことがあるのですけれども、あるかどうかというとなきにしもあらずというぐらいの答えだと思います。
 日本はもともとアントレプレナー支援というのが少ないので、全体的には増えているし、本来は女性はもっとそちらのほうをやるべきだと思うのですけれども、AIの産業においては今、LLMなんかをやっている企業はファンダメンタルに物すごくお金が必要なのです。そういうところでも日本は絶対に対抗ができないです。お金も必要だし、人材もいないし。ところが、これが上のほうのアプリレイヤーになると、地方も含めてアプリケーションで、この産業で、というのが今もう既に開発をたくさんの企業が特にアメリカでされているのですけれども、日本はそこのアプリのレイヤーで起業みたいな形でやっていくことは可能性があると思います。
 小林委員のAIのリスキリングと雇用の比較です。長期的にどうなるかというと、私は残念ながら長期的に雇用は少なくなっていくと思います。これは世界全体で対応していかなくてはいけなくて、AIの進展が今はまだこの分野なのですけれども、どんどん前より賢くなっていくので、本当に人間を超えるというのが、時間軸がどれかということは、本当に専門家の間でも分かれているのですけれども、これはもう全く別な対応が必要になると思います。
 それから、徳倉委員の地域の男女、特に40代、50代、60代、これは本当に難しい問題です。特にITがなかなか苦手な方で、地方でそういったもののリスキリングをするのは難しいと言わざるを得なくて、例えばAIの使い方講座もあるということですけれども、どんなものを使ったらいいかというのは、皆さんに通じるのですけれども、例えばChatGPTとか、Claudeとか、そんなに高くないし無料でも使えるのですが、これが今できることは物すごく多いのです。積極的に個人でもこれを使われたらいいと思います。
 例えばの話なのですけれども、英語の学習をやってみてください。英語の学習は今アプリケーションが出ていますけれども、どのアプリケーションよりもClaudeとかChatGPTの方が優れていると思います。自分が音声で英語のレッスンをしたいと言えば、英語で答えてくれて、自分の英語のレベルはこのぐらいであって、細かなコレクションはいいから、大きな間違いだけ直してくれと言うともう延々に話してくれます。無料でできます。AIを作っている企業の幅が半端ないので、これらを利用することができます。
 それから、井上委員の国ごとの差が大きくて、女性がデジタル格差、もうおっしゃるとおりで、私もお話ししたのですけれども、日本は事務職に就いていらっしゃる方が大きいので、特にこれから大変になるということは見えていると思います。女性がデジタル格差というのがあるので、これは全体なのですけれども、女性だけではなくて男性も、日本は全部デジタルが遅れているのです。積極的に使っていただく。それの使い方を国を挙げて底上げをしていかなくてはいけないと思います。お答えになっているかどうか分からないのですけれども。
 それから、山田委員の共感力、カウンセラーというのは、本当にそれは同意します。ただし、カウンセラーはそうなのですが、これは1対1の話なのです。AIはみんな褒めてくれるし、恋人になりやすいのです。ところが、これがグループだとかチームだとかで共感力をやっていくとなると、Aの人とBの人が違うことを言ったときにAIがどうするかというと、こういうところはまだできていないと思います。だから、本来の共感力、褒めるだけのことはできるのですけれども、そこのもう一段上というのはAIはまだできないので、大切です。
 それからブルーカラーのことを山田委員がおっしゃったと思うのですが、さっき私が示したITで一番早く影響が出ていると。次はホワイトカラーだと。アメリカもコンピューターサイエンスで職がなくなったという人がたくさんいます。スタンフォード大学のコンピューターサイエンスを出ても、職がないという人もいます。その人たちが直接というわけではないのですけれども、ブルーカラーが今、人手不足ということもあって、かなり賃金が高くなっているので、そちらへの移行というのもあるとは思いますが、ブルーカラーにも影響が時間軸の違いで出てきます。フィジカルAIは、倉庫のロボットのレベルでは、Amazonなんかはすでに積極的に使っていますし、ブルーカラーが影響を受けにくいというのは、非常に行動に多様性があるのでなかなか置き換えにくいという側面もあるものの、ここも時間とともに代替されていくと思いますので、それがどのくらい続くかということで職業の選択は一時的にはあるかもしれませんけれども、あまり安易にここは考えないほうがいいと思います。
 以上で何となく私の答えのほうはこのぐらいかなと思います。

○山田会長 ありがとうございます。
 手短にまとめていただいてありがとうございます。
 山本委員、お願いいたします。

○山本委員 数多くの御質問ありがとうございました。
 治部委員からあった女性比率、管理職比率の中央値がどれぐらいかということですけれども、今ささっと計算しただけなので、このデータで見ると管理職女性比率は4.3%ぐらいが中央値です。正社員女性比率は21.5%が中央値ということになっております。
 小林委員から、雇用がどうなっていくのかということだったと思いますけれども、こういう雇用が減るというのは試算しやすいのですけれども、こういう雇用がつくられていくというのはなかなか試算しにくいと。AIによる影響でかなり注目されたのが、オックスフォード大学のマイケル・オズボーンの論文で、十数年前に出た論文ですけれども、今頃には雇用の半分がなくなるということを指摘して、センセーショナルに取り上げられていましたけれども、結局そんなことはなかったし、また、増える雇用というのは全くカウントされていないということもあって、なかなか難しいと思います。減るのは当然減ってくるところがあるのですけれども、タスクを変えていく、いろいろな対処もするので、すぐに雇用が激減するということは私はないのだろうなと思いまして、むしろそうならないように、プラスの影響をつくっていくということを考える必要があるのかなと考えています。
 徳倉委員の女性が業績アップにつながるということで、確かに私が示しているのは統計的な結果ですので、確実に因果関係があるというのも言いにくいと。もちろん因果推論はしているのですけれどもというのが一つ。あとは、多くの企業のデータを使って共通項を見いだしているということがありますので、その出た傾向が個別の企業全てに当てはまるとも限らないのです。ですので、その辺りはきちんと前提条件をしっかりしなければいけないのですが、ただ、本質的には今の日本のこの状況にあって、女性を活用しないよりはしたほうが様々な能力の開発が引き出されたり、イノベーションが生まれるということは考えられるので、そこの概念的なところと組み合わせて示していくと腹落ちしてもらえるのではないのかなとも思いました。
 あと、中高年のリスキリングに関して、佐々木委員からも熟練労働者にリスキリングでなれるのかという御質問がありましたけれども、私は決して熟練というのが先ほどの説明ではやや言葉として、かつては熟練と非熟練という区分けがイメージとしてあったと思うのですけれども、生成AIになってくると誰でも使えるようになってきているということで、それをうまくビジネスに使える人がハイスキルワーカーで使えない人がロースキルワーカーだということを考えると、決して例えば情報工学のPh.D.を取るということは必要なくて、AIが何ができるのかということが分かって、それを意欲的に効果的にビジネスに適用していけるかと。それができる人をつくっていくということで、それができるようなリスキリングを見いだしていく。それは決して中高年だからできないということではなくて、むしろこれまでの例えばコンピューターが普及したときというのは、なかなか中高年はキーボードを打つということで障壁があったと思うのですけれども、そういうのもないので、要は適応できるかできないかという姿勢の問題もあると思いますので、決して中高年だから低いというわけではないし、多くの人がリスキリングでプラスの影響を受ける側に回れる可能性があると。そこが大事かなと思っております。
 井上委員のAIの影響が日本では女性が大きい、そのとおりだと思います。それもあるので、事務職は多くが非正規雇用でもあったりするので、そこを正規転換していく、あるいは事務職のやっているタスクを変えていくということで、リスキリングも大事ですし、また、山田委員がおっしゃったブルーカラーが登用されるというところ、そこに誘導していくという意味では、配管工だけではなくて、介護だったりとかという対人サービスも日本ではむしろ需要が大きいので、そこに何とかシフトしていくとまだ雇用が残っていく可能性はあるのではないかなと思います。
 そういう意味では、AIに代替されない職に一時的にでも誘導していくというのは大事だとは思うのですが、ただ、石黒委員が言われたように、どこでAIが適用されて、そのタスクが人は必要なくなってくるというふうになるのか予測がなかなか難しいので、政策的にこの分野に女性をというふうに言えるかというと、なかなか難しいとは思うのです。そういう意味で、AIを教える人材というのも、結局はすぐに固定的なことは何も言えないと思います。むしろ石黒委員がメタスキルということを言われていましたけれども、教育経済とか教育学では非認知能力というふうに、性格特性とかということでもありますけれども、そういうスキルをとにかくキャッチアップをしていくといったようなところ。ただ、これは就学前教育でしか身につかないとも言われているので、できるだけ早くからそういう教育をしていくということが大事になるのかなと思いました。
 私からは以上です。

○山田会長 ありがとうございます。
 時間が押しておりますので、意見交換は終了したいと思います。
 続きまして、事務局から御報告をお願いいたします。

○由布審議官 事務局から資料3について、全て御報告事項でございますので、簡潔に説明させていただきます。
 まず2ページがいわゆる骨太の方針、次に4ページが日本成長戦略、次に7ページが地域未来戦略と、政府のそれぞれ重要な文書にこういったようなことが盛り込まれましたということの御報告でございます。これらは概算要求に生かして、取組を着実に実施していきたいと思っております。
 次に、8ページ、9ページが政府全体の男女共同参画関係予算を取りまとめましたので、その御報告でございます。約4430億円となっております。
 次に、10ページ以降が女性用トイレにおける行列問題の改善に向けた取組ということで、取組の事例集ですとかガイドラインを取りまとめておりますので、適宜御参照ください。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございました。
 今の御報告について、何か質問、御意見はありますでしょうか。ありましたら挙手をお願いいたします。大丈夫でしょうか。
 では、続きまして、最後に女子差別撤廃委員会からの最終見解のフォローアップについて、関係省庁から御報告いただきます。
 それでは、内閣府、法務省、総務省、厚生労働省、こども家庭庁の順に御説明をお願いいたします。
 よろしくお願いします。

○吉田課長 男女局総務課長の吉田です。まず冒頭、全体の説明をさせていただきます。
 女子差別撤廃条約の締約国は、定期的に実施状況を報告しておりますけれども、それにつきまして、女子差別撤廃委員会の審査を踏まえて、委員会のほうから締約国に対して勧告を含む最終見解を発することになっております。なお、最終見解に法的拘束力はありません。
 令和6年10月に、我が国の女子差別撤廃条約の実施状況第9回報告に対する委員会の最終見解が出されまして、その見解の中では、最終見解発出から2年以内に4項目の実施状況についてフォローアップを行い、同委員会へ報告書を提出するよう要請されております。
 具体的なフォローアップ事項は、資料下部の四角囲みの中に記載されておりますけれども、それぞれのフォローアップ事項について各施策の担当省庁から説明いたします。
 では、法務省からよろしくお願いいたします。

○法務省 法務省でございます。
 女子差別撤廃委員会からの最終見解のフォローアップ、法務省は12の(a)というところで、いわゆる夫婦別氏制度について御指摘をいただいております。
 こちらにつきましては、最高裁判所におきまして、現行制度について合憲であるという判断が示されるとともに、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であるという指摘がされております。
 国会におきましては、昨年、令和7年ですけれども、2つの野党からそれぞれ選択的夫婦別氏制度の導入を内容とする法案、また他の野党から旧氏使用の法制化を内容とする法案が提出されまして、同時に審議されましたが、いずれも可決に至らず、令和8年1月の衆議院解散に伴い廃案とされております。
 選択的夫婦別氏制度の導入の是非につきましては、現在でも国民の間に様々な意見があるものと承知しておりまして、法務省といたしましては、第6次基本計画に基づきまして、引き続き国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえてさらなる検討を進める必要があると考えております。
 法務省からは以上でございます。

○山田会長 ありがとうございます。
 続きまして、総務省、よろしくお願いいたします。

○総務省 総務省選挙部でございます。
 私どもの担当といたしましては、選挙の立候補の際の供託金の関係ということで、勧告では、女性の平等な代表性を促進するための暫定的特別措置として、供託金の削減をというところがございました。
 こちらの制度を御説明させていただきますと、供託金の制度そのものというものにつきましては、当選する意志がないというような形で、売名目的で候補者がみだりに多数立候補するということを防止することによりまして、自由かつ公正な選挙の実現を目的として設けられているというところでございます。
 この点、金額を含めた制度の在り方の具体的な決定につきましては、国会に委ねられていると考えられているところでございます。この制度そのものにつきましては、司法においても認められたものと認識をしているところでございます。
 その上で、供託金額の在り方につきましては、選挙制度の根幹に関わる事柄でございますので、国会において御議論いただくべきものと考えているところでございます。
 総務省からは以上でございます。

○山田会長 ありがとうございます。
 厚生労働省の方、お願いいたします。

○厚生労働省 厚生労働省です。
 資料6を御覧ください。第9回報告についての委員会最終見解につきまして、こちらにお示ししおります。
 避妊薬について記載がございまして、懸念事項としまして、緊急避妊薬に関する明確な政策の実施スケジュールですとか、インプラント、パッチ、ミニピルなどの現代的な避妊手法へのアクセスが挙げられております。
 その下、勧告のところですけれども、16歳、17歳の女児が緊急避妊薬を入手するために親の同意を得る要件をなくすことですとか、現代的避妊方法への適切なアクセスを提供することといったことが挙げられております。
 国内での対応の状況についてでございます。緊急避妊薬につきましては、昨年10月に薬局・薬店で販売できるOTC医薬品として承認しまして、本年2月から販売が開始されております。この販売に当たりましては、使用年齢の制限は不要としていることですとか、親の同意は不要としております。
 こちらは避妊薬などの種類ですとか国内の承認状況についてまとめたものです。先ほどの最終見解のほうで指摘されておりましたミニピルが下から2つ目にございます。こちらは昨年5月に薬事承認されて、既に販売が開始されております。
 それから、下から5行目のところに避妊リングというものがございます。こちらにつきまして次のページで御紹介します。
 国内では承認されておりませんけれども、学会などからの要望を受けております「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」というところにおきまして検討されて、現在、国内での開発企業の募集を行っているところでございます。
 以上でございます。

○山田会長 ありがとうございます。
 続きまして、こども家庭庁の方、お願いいたします。

○こども家庭庁 こども家庭庁でございます。
 資料7を御覧いただきたいと思います。先ほど内閣府からの御説明にもございましたが、国連の女子差別撤廃委員会から第9回政府報告審査を受けた最終見解において、人工妊娠中絶における配偶者同意要件の削除をするための法改正の勧告がされたところでございます。
 こちらの上段にありますが、母体保護法の人工妊娠中絶は原則配偶者同意が必要としておりますけれども、配偶者が知れないときや意思を表示することができないとき、妊娠後に配偶者が亡くなったときは、本人同意だけで足りるとしています。
 なお、母体保護法の人工妊娠中絶における配偶者同意要件は、議員立法として制定された当初からある規定でございます。その削除については、個人の倫理観や家族観等に関わる問題で、様々な御意見や御議論があることから、国民的な合意形成が必要だと考えています。
 下段に母体保護法第14条第1項第2号に係る解釈について載せておりますけれども、母体保護法の人工妊娠中絶は原則配偶者同意を必要としているけれども、妊娠された方の抱える御事情というものは様々であること等も踏まえ、本人同意だけで足りる場合に該当する解釈の明確化等を行っているところでございます。
 こども家庭庁からは以上でございます。

○山田会長 ありがとうございます。
 ただいまの御説明に関して、御質問がある方は挙手機能を使って御質問をお願いいたします。
 では、井上委員、小林委員の順でお願いいたします。

○井上委員 時間がない中でありがとうございます。質問というよりは意見です。
 選択的夫婦別氏制度について、端的に意見を申し上げます。
 6月26日に公表された女性活躍・男女共同参画の重点方針2026において、旧氏使用拡大の法制化が男女共同参画会議などの審議を経ずに方針に盛り込まれました。第6次計画策定時から、連合をはじめ複数の構成員がプロセスを含む問題点を再三指摘していたにもかかわらず、またしても審議を経ることなく追記されたことは極めて遺憾であります。
 婚姻前の氏を名乗り続けられるかどうかは、個人の尊厳と人権に関わる重要な問題です。旧氏使用拡大の法制化では、本質的な問題解決にはならず、国際社会でも通用しません。日本は夫婦同氏を法律で強制する唯一の国です。女性差別撤廃委員会の勧告を踏まえ、選択的夫婦別氏制度を早期に導入すべきと考えます。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございます。御意見として承りました。
 小林委員、お願いいたします。

○小林委員 同じく選択的夫婦別氏制度について、法務省さんのほうにお伺いしたいのですが、令和8年3月の閣議決定においても、さらなる検討を進めることとされているという記載があるのですが、現在の検討体制と検討状況について教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○山田会長 ありがとうございます。
 ほかにありませんので、では法務省の方、お願いいたします。

○法務省 法務省でございます。
 さらなる検討ということでございますが、ただいま何か法制審議会といった審議会や検討会ですとか、そういった会議体を設置して検討しているというわけではございません。
 ただ、繰り返しになりますけれども、国民各層の様々な意見があると認識をしておりまして、先ほど申し上げました昨年の常会におきまして国会でも議論がされましたけれども、そういった国会の議論の状況、あるいは司法の判断といったところを踏まえて検討していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○山田会長 ありがとうございます。
 最後にですが、先ほど議論の中で石黒委員が質問に答えていない部分があったということで、お願いいたします

○石黒委員 申し訳ありません。
 佐々木委員の御質問です。リスキリングをどういうふうに進めていけばいいか。あと、文系でもいいのかというご質問でした。文系でも大丈夫です。本当にみんなが使えるようになった、自然言語で使えるようになったことが広がっている要因であるということもあると思います。私も文系です。ただ、継続して学ぶ姿勢みたいなものは、分野にかかわらず、そういう資質を持った人が伸びていくと思うのです。という意味では、今までお話ししたように、例えばエンジニアの人にこういう資質を持った人が多いという傾向はあると思いますが、文系・理系に関係なく、継続してどんどん自分で学んでいく力があればよりなっていくと思います。
 あと、女性版デジタル人材の育成で、どのくらいのスピードで改正しているのか。これは非常にいい御質問で、本当にスピード感は分からないのです。どちらかというと私の問題意識というのは、これを変えていかなければいけないスピード感が分からないので、これを適時柔軟に変えていける組織の醸成がこれから必要になってくると思います。それはガバナンスも含めて、誰がいつ何を決めていくのかということが、今までより速いスピードでアジャイルに組織をつくっていくというのが一つの私たちの大きな問題点だと思いますので、そういうところを意識して取り組んでいただければなと思います。

○山田会長 ありがとうございました。
 時間が押しましてどうも申し訳ございません。
 それでは、意見交換を終了いたします。
 本日の議事は以上となりますが、事務局のほうから何かありますでしょうか。

○由布審議官 今日はありがとうございました。時間が押しまして申し訳ございませんでした。

○山田会長 では、これで終了といたします。
 どうもありがとうございました。